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女の視線で愛と人間を正直に描く「パリ、ただよう花」
女子による女子のための映画・DVDガイド

2014/1/18 6:30
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

今回、紹介する映画は、2013年12月から公開中の話題作「パリ、ただよう花」です。若くして社会学とフランス語の教師という地位に就き、中国からフランスに渡った、いわゆるエリート層の女性が、異国の地でさまざまな男たちと体を重ねながら、愛とセックスのはざまで揺れ動く姿を赤裸々に描いています。

「パリ、ただよう花」。2013年12月21日より、渋谷アップリンク、新宿K's cinemaほか、全国順次公開。配給・宣伝:アップリンク
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/hana/

「パリ、ただよう花」。2013年12月21日より、渋谷アップリンク、新宿K's cinemaほか、全国順次公開。配給・宣伝:アップリンク
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/hana/

28歳の花(ホア:コリーヌ・ヤン)は、北京で出会った恋人の後を追ってパリにやって来ますが、あっさりと捨てられてしまいます。傷ついたホアは、パリの街をさまよい歩き、マルシェの解体現場で作業中の建設工マチュー(タハール・ラヒム)が運んでいた鉄パイプに衝突。幸い、大したけがはありませんでしたが、マチューはホアを心配して追いかけてきます。彼女を食事に誘い、積極的にホアに迫るマチュー。すぐにセックスをする2人。

ホアには、ほかにも体を重ねる男がいましたが、マチューと親密な関係になり、彼と交際するようになります。マチューの職場の友達にも紹介され、楽しく明るく過ごすホア。一方、マチューとのセックスは暴力のように激しく、ホアとマチューは貪るようにお互いの体を求め合います。

ホアを気に入ったマチューは彼女を食事に誘う

ホアを気に入ったマチューは彼女を食事に誘う

出会ったその日に、セックスするホアとマチュー

出会ったその日に、セックスするホアとマチュー

■愛を確かめようと、自分の彼女を友人に誘惑させる

ある日、マチューは、ホアが大学の男友達と親しくする様子に嫉妬し、口論となりますが、すぐに仲直りします。ところが、マチューはホアがほかの男と簡単に寝ないか確かめようと、友達のジョバンニ(ジャリル・レスペール)に彼女を誘惑させます。ホアはジョバンニを拒絶しますが、無理やりレイプされてしまいます。

ホアはマチューとの交際に限界を感じますが、彼女に強く執着するマチュー。そんな中、ホアはマチューに重大な秘密があることを知ります……。

生活環境も考え方も、あまりにも違うホアとマチュー。どんなに体を重ねても、愛し合っているとは言い難い2人。でも、私が引きつけられたのは、ホアがマチューに対して愛情を感じたとき、ものすごく戸惑う彼女の姿です。

ジョバンニとけんかになるマチュー

ジョバンニとけんかになるマチュー

ホアがしていることは、他人から、特に女性から嫌悪感を抱かれるようなことでありながらも、彼女は女性が心のどこかに抱いていることを実行してしまうような人物なのでは、と思いました。それが自分を傷つけることになったとしても、自分を止めることができないホア。本作のロウ・イエ監督は、彼女は"はざまにいる"人物だと語ります。「異なる政治や文化の間、異なる人種や土地の間、セックスと愛の間、暴力と優しさの間、愛と傷の間にいる。それは実に人間らしい感覚だが、同時に孤独でもある」。"はざま"でただようホアの姿に、女性なら何かしらの共感を抱くのではないでしょうか。

ロウ・イエ監督は、その大胆な作風によって、常に中国当局とのあつれきと対峙してきました。5年間の中国国内での映画製作禁止処分が解かれ、公開となった「パリ、ただよう花」。今回、監督は、原作者リウ・ジエの体験を基に書かれた、あまりに赤裸々で過激な性描写で話題となったネット小説「裸」を映画化しました。「この物語には"愛"というテーマが、女性の視線で率直かつ正直に、人間的な視線で提示されている」「人間を描くにはセックスを避けることはできない」と語るロウ・イエ監督。そんな監督の思いが詰まった本作を、ぜひ多くの女性に見てほしいと思います。

■「ロウ・イエ監督の話題作」DVD

「スプリング・フィーバー」

「パリ、ただよう花」同様、中国における5年間の映画製作・上映禁止処分期間中に製作された作品。処分を無視して、フランスと香港から製作資金を確保し、南京でゲリラ的に撮影された。第62回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞。中国では、いまだタブー視されている同性愛を描いている。女性教師リン・シュエ(ジャン・ジャーチー)は、夫ワン・ピン(ウー・ウェイ)が浮気をしているのではないかと疑い、その調査を探偵ルオ・ハイタオ(チェン・スーチョン)に依頼する。尾行の結果、夫の浮気相手はジャン・チョン(チン・ハオ)という青年だと分かるが……。

2009年(中国・フランス):チン・ハオ、チェン・スーチョン
アップリンク:DVD 3800円(税別)、発売中

「パープル・バタフライ」

ロウ・イエ監督が、チャン・ツィイーや仲村トオルを起用した、切ないサスペンス・ロマンス。1930年初頭の上海。平和で美しかったこの街は暴動と混乱に満ちていた。シンシア(チャン・ツィイー)と伊丹(仲村トオル)は満州で出会って恋に落ちるが、国の争いによって引き裂かれる。やがて、上海で再会したシンシアと伊丹。国境を越えた2人の恋は、さらに過激な運命をたどることに。シンシアは「ディンホエ」と名前を変え、レジスタンス組織「パープル・バタフライ」のメンバーになっており、伊丹は日本軍諜報機関のスパイになっていたのだ。

2003年(中国・フランス):チャン・ツィイー、仲村トオル
発売元:アスミック、販売元:角川映画、DVD 4700円(税別)、発売中

(ライター 清水久美子)

[nikkei WOMAN Online 2014年1月4日付の記事を基に再構成]


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