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メタボの原因はホルモン低下、「運動」と「ネギ食」で改善
日経ヘルス

2011/11/6 7:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版
 多くの男性が悩んでいる内臓脂肪型の肥満は、男性ホルモン「アンドロゲン」の低下が一因であることがわかってきた。それに対する有効策は「運動」と「食事」。なかでもネギやタマネギ、ニンニクなどネギ属の野菜がメタボリックシンドロームに関連する項目も改善するという。

「アンドロゲン」は、コレステロールをもとに主に睾丸で産生される「テストステロン」と、そこから代謝されて作られる「DHT(ジヒドロテストステロン)」という二つの男性ホルモンの総称。骨格筋の増強、生殖機能の調整と精子の形成など、男性の活力源になる。

これまで、男性のホルモンと肥満の関係については、詳しいことがわかっていなかった。だが、メタボリックシンドロームの象徴である中高年男性の内臓脂肪型肥満は、(1)アンドロゲンの低下に起因していること (2)運動と食事でアンドロゲンが増やせること──が最新の研究で明らかになってきた。さらに、アンドロゲンの低下は、男性更年期障害にも関連があった。

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大阪大学医学部付属病院の男性更年期外来を訪れた患者120人を分析。(データ提供:辻村准教授)

大阪大学医学部付属病院の男性更年期外来を訪れた患者120人を分析。(データ提供:辻村准教授)

【テストステロン低下は男性更年期にも関連】

「男性更年期障害(LOH候群)の症状の一つが、内臓肥満です。患者のテストステロンが低下すると、腹囲や内臓脂肪が増加する傾向が認められました。さらに、テストステロン量と勃起(ぼっき)、肥満と性機能も関係しています」(辻村准教授)。

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有酸素運動で男性ホルモンが増加

筑波大学大学院の鰺坂隆一教授は、「運動」との関係を報告。中年の肥満男性31人を対象にウオーキングなどの中強度の有酸素運動を取り入れたヒト試験で男性ホルモンの増加効果があったという。

運動で血中のテストステロンが正常化  BMI(体格指数)が25以上でウエスト周囲径が90cm以上の中年肥満男性31人(平均49.1歳)を対象に、中強度の有酸素性運動を週3回90分、12週間継続し、血中のテストステロンの値を調べた。その結果、テストステロンの値が正常化した人が増えた。(データ提供:鯵坂教授)

運動で血中のテストステロンが正常化  BMI(体格指数)が25以上でウエスト周囲径が90cm以上の中年肥満男性31人(平均49.1歳)を対象に、中強度の有酸素性運動を週3回90分、12週間継続し、血中のテストステロンの値を調べた。その結果、テストステロンの値が正常化した人が増えた。(データ提供:鯵坂教授)

「週3回で各90分、12週間続けたところ、21人の総テストステロンの値が正常化した」(鰺坂教授)。さらに、腹囲、中性脂肪値、インスリン抵抗性、LDHコレステロールなど、メタボリックシンドロームに関連する項目も改善した。

ネギやニンニクで男性ホルモン産生活性化

一方、アンドロゲンを高める「食事」として、新たに注目を集めたのが「ネギ類」だ。

東海大学の副学長で、生物理工学部の西村弘行教授は、「タマネギやニンニクなどのネギ属に含まれる"含硫アミノ酸"が、テストステロンの産生を活性化する」という動物実験での研究結果を報告した。

含硫アミノ酸の濃縮エキスを4カ月間、マウスに飲水させた比較実験では、「濃縮エキスの"非投与"群の増加と比べ、"投与"群の血中の総テストステロンの値は2倍以上になった」(西村教授)。同様に、同じネギ属のニンニクを使った実験でも、ほぼ2倍の差が出たという。

ちなみに、タマネギの含硫アミノ酸をできるだけ逃さずとるには、「電子レンジで約2分、丸ごと温めて酵素の働きを止めてから使うのがコツ」(西村教授)だ。

お腹まわりや活力のなさが気になりだしたら──。男性ホルモンを増やすためにも、運動と食事の見直しを薦めてみよう。

この人たちに聞きました

鰺坂隆一(あじさか・りゅういち)さん
 筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。東京医科歯科大学医学部卒。筑波大学臨床医学系講師を経て、現職。性ホルモンの心血管機能、代謝機能の影響などを研究。
西村弘行(にしむら・ひろゆき)さん
 東海大学 副学長 生物理工学部教授。東京農工大学農学部卒、名古屋大学大学院修了。専門は、食品機能化学、生理活性天然物化学、生活習慣病予防食品の開発研究。
辻村 晃(つじむら・あきら)さん
 大阪大学大学院 医学系研究科 器官制御外科学准教授。兵庫医科大学医学科卒。国立大阪病院などを経て、現職。専門は、泌尿器科学、男性不妊学。

(日経ヘルス 池田悟)

[日経ヘルス2011年9月号の記事を基に再構成]


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