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震災その後、浦安のあのマンホールはどうなった?

2011/8/2付
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日本経済新聞 電子版

新浦安駅付近の歩道。よく見ると、街灯が傾いたままだった(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

新浦安駅付近の歩道。よく見ると、街灯が傾いたままだった(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

 2011年7月22日、千葉県浦安市は東日本大震災で受けた液状化被害の対策を検討するために、「液状化対策技術検討調査委員会」を設置。第1回目となる合同会議を開催した。同委員会では今後、ボーリング調査などを実施して液状化の実態を把握すると共に、新しい液状化危険度マップなどを作成する方針だ。

 震災から4カ月半。復興に向けて一歩ずつ前進する浦安市の街は、今どうなっているのか――。現状を見に行ってきた。

 JR京葉線の新浦安駅に降り立ち、南口側のロータリーに出ると、多くの人が行き交う賑やかな様子が目に飛び込んできた。駅ロータリーで浮き上がってしまったエレベーターや、段差ができてしまったスロープなどはアスファルトで補修されており、確かに震災の爪痕が見て取れる。だが、人々は気にする様子もなく通り過ぎていった。

 駅から少し歩いて大通りに出てみたが、そこにも、普段と変わらないような人々の往来があった。よく見ると、歩道は所々継ぎはぎの状態だ。街灯が傾いたままの所もある。だが、やはり誰も気に止めていないように見える。

■ようやく住宅の補修が始まる

 液状化で住宅に被害が出た地域に足を向けてみた。歩道や車道は所々、ブロックが浮き上がったままだった。地面が大きく波打ったのがわかる箇所もあった。市から依頼をうけた専門会社の作業員らしき人が、道路の陥没した箇所の段差を測定するための看板や道具を片手に、地図を見ながら住宅街に入っていく姿も見かけた。

 しばらく歩き境川に出た。対岸にある住宅街に目を向けると、電柱が傾いたままの状態が見えた。住宅街に入ってみても、傾いた電柱がそのままの光景が続く。さらに足を進めると、震災の爪痕がまだはっきりと残っていた。外構の壁が液状化で沈んだままの住宅や、傾いているためか、人が住んでいない様子の住宅もあった。

境川の対岸から住宅街を見ると、傾いた電柱が見えた(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

境川の対岸から住宅街を見ると、傾いた電柱が見えた(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

住宅街の道路に並ぶ電柱。左手側奥の電柱が傾いているのがわかる(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

住宅街の道路に並ぶ電柱。左手側奥の電柱が傾いているのがわかる(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)


 補修作業を始めた住宅もあるようだ。下の写真は、土台あげ工法をベースにして、傾いた家を水平に戻す補修をしていた現場だ。最大で約18cmの高低差が生じるほど、建物が傾いたという。ちょうど、基礎と土台の間に鉄骨を入れて復旧作業が終わったタイミングだった。この作業が終わるまで、約1カ月かかったという。

 「液状化の被害が大きかった舞浜地区の方が、住宅の傾きを直す作業が進んでいたようだ。専門会社の人手が足りなかったこともあり、この当たりの地区では、最近になってようやく補修が始まった」と住まい手のAさんは話す。

傾いた住宅を補修していた現場。築10年ほどの木造住宅を土台ごとジャッキアップした(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

傾いた住宅を補修していた現場。築10年ほどの木造住宅を土台ごとジャッキアップした(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

土台の下に鉄骨を入れて建物を支え、水平にする作業までが終了した状態(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

土台の下に鉄骨を入れて建物を支え、水平にする作業までが終了した状態(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)


■1m浮上したマンホールは…

 住宅街をさらに歩くと、歩道に浮き上がったマンホールが、震災そのままの姿を見せていた。「震災で1m以上浮き上がった高洲中央公園のマンホールは、今どうなっているのだろうか。歩道のマンホールと同様に、震災当時の姿を見せているのだろうか」――。ふと頭をよぎった。震災を忘れないためのモニュメントとして保存することが検討されていたはずだ。早速、高洲中央公園に向かった。

 公園には犬の散歩の途中で一休みするためにベンチでくつろぐ人の話し声や、ブランコで遊ぶ子どもたちの笑い声などが響いていた。マンホールを探して駐車場に向かう。が、対面はあっけなかった。マンホールは浮き上がったままの状態で、ブルーシートで養生されていた。まだ具体的に作業が始まっている様子はない。取りあえず現状を保管しているという感じだ。

 街や行き交う人の様子は平常に戻りつつあるようだ。だが、震災の爪痕はまだ数多く残っている。震災前と同じような状態に戻るにはまだ時間がかかりそうな印象だった。

歩道のマンホールが浮き上がっていたままだ(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

歩道のマンホールが浮き上がっていたままだ(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

震災で1m以上浮き上がった高洲中央公園のマンホール。モニュメントとして保存するためか、ブルーシートで養生されていた(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)

震災で1m以上浮き上がった高洲中央公園のマンホール。モニュメントとして保存するためか、ブルーシートで養生されていた(写真:日経ホームビルダー、2011年7月28日撮影)


(日経ホームビルダー 安井功)

[ケンプラッツ 2011年8月1日掲載]


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