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リーフ、走行効率はミライの2倍 環境対応車の実燃費

2016/2/17 6:30
ニュースソース
日本経済新聞 電子版
日経Automotive_Technology
 環境対応車として期待を集める電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)。これらのクルマを実際に走らせると、「電費・燃費」はどれくらいになるのか――。日経BP社が発行する自動車技術専門誌「日経Automotive」では2016年1月、日産自動車「リーフ」とトヨタ自動車「ミライ」の実燃費を測定、比較した。

図1 左が日産自動車のEV「リーフ」、右がトヨタ自動車のFCV「ミライ」

図1 左が日産自動車のEV「リーフ」、右がトヨタ自動車のFCV「ミライ」

EVとして累計販売台数がトップの「リーフ」と、世界で唯一市販されているFCV「ミライ」の実燃費を評価した結果、車両に投入するエネルギー量が同じなら、リーフがミライの2倍以上の距離を走れることが分かった(図1、図2)。

図2 単位エネルギー当たりの走行距離の測定結果。高速道路と市街地において、暖房の有無(暖房25℃、シートヒーター、ステアリングヒーター)による燃費性能の変化を測定した。走行モードはいずれも標準モードを使用

図2 単位エネルギー当たりの走行距離の測定結果。高速道路と市街地において、暖房の有無(暖房25℃、シートヒーター、ステアリングヒーター)による燃費性能の変化を測定した。走行モードはいずれも標準モードを使用

リーフの単位エネルギー当たりの走行距離は6.4km/kWhと大きい。一方、ミライは2.8km/kWhにとどまった。車両の仕組みや質量が異なることを考慮しても、EVとFCVで大きな差が生じた。

なお実験では、参考のために米Tesla Motors(テスラ)のEV「Model S」の高速走行時のデータも測定した。同車の単位エネルギー当たりの走行距離は、暖房ありで4.7km/kWhとミライを上回る。車両質量が2t(トン)以上とミライより重いEVでも、FCVよりエネルギー効率に優れることが分かった()。

表 測定に用いた車両の仕様とモード燃費(電費)(注:※1 使用車の搭載オプション費用含む。※2 ミライの数値は水素充てん圧力が70MPaの条件下で、JC08モード走行パターンに基づく航続距離(650km)を消費水素質量(4.3kg)で割った値。※3 新欧州ドライビングサイクル(NEDC)モードによる航続距離528kmから換算)

表 測定に用いた車両の仕様とモード燃費(電費)(注:※1 使用車の搭載オプション費用含む。※2 ミライの数値は水素充てん圧力が70MPaの条件下で、JC08モード走行パターンに基づく航続距離(650km)を消費水素質量(4.3kg)で割った値。※3 新欧州ドライビングサイクル(NEDC)モードによる航続距離528kmから換算)

■高速道路と市街地を走行

今回比較したのは、搭載する電池容量を30kWhに増やした2015年の最新モデルのリーフと、トヨタが2014年に発売したミライ。高速道路と市街地をそれぞれ走行させ、単位エネルギー当たりの走行距離を測った。実験は気温10℃前後の2016年1月に実施。暖房をつけた状態で高速道路と市街地を走行したときのデータを計測し、それぞれ同じ距離を走行した場合の統合燃費を求めた。

具体的な実験内容はこうだ。高速走行では、芝公園ICから都心環状線に入り、レインボーブリッジ、首都高速湾岸線、東関東道、潮来ICまで片道約100kmの経路を往復した(図3の赤線)。市街地の走行では、芝公園から第二京浜道路、神奈川駅、第一京浜道路、第二京浜道路を結ぶ60~80kmの経路を周回した(図3の青線)。

[左]図3 燃費実験の走行経路
[右]図4 走行データの測定に使用した小型GPS速度計「LC-8300」。測定精度は水平速度が±0.2km/h以内で、水平距離が±0.2%である(水平速度30km/h以上、衛星捕捉数7個以上のとき)

[左]図3 燃費実験の走行経路
[右]図4 走行データの測定に使用した小型GPS速度計「LC-8300」。測定精度は水平速度が±0.2km/h以内で、水平距離が±0.2%である(水平速度30km/h以上、衛星捕捉数7個以上のとき)

走行経路は、出発地点と終着地点を同じ場所(芝公園)とした。走行によるエネルギー消費量は「満タン法」を用いて求めた。リーフでは満充電時の電池残量と走行後の電池残量の差に電池容量をかけてエネルギー消費量を求めた。ミライでは走行前後に水素を満充てんして、充てん量からエネルギー消費量を求めた。

ミライとModel Sでは一往復につき1回充てん(充電)してエネルギー消費量を求めた。リーフでは高速走行時に片道ごとに充電して往復時の走行距離とエネルギー消費量を合算した。走行距離をエネルギー消費量で割ることで「単位エネルギー当たりの走行距離」を求めた。車速や走行距離などの走行データの測定には、小野測器の小型GPS(全地球測位システム)速度計「LC-8300」を用いた(図4)。

走行モードはすべて標準(Dレンジ)で、空調(暖房)稼働時には室温を25℃・中風に設定した他、シートヒーターとステアリングヒーターも使用した。走行中は常に前照灯を点灯させた。

■航続距離実測値はJC08の約7割

試験から車両の航続距離を求めると、30kWhの電池を積むリーフの場合は192kmになる。同車のJC08モード基準の航続距離は280kmであるが、これに対し69%の値となった。暖房をつけない場合は、高速道路・市街地ともに航続距離が200kmを超える。

一方ミライは、充てん圧力70MPa(メガパスカル)で水素タンクに5kgの水素を充てんできる。そのうち4.3kg分の水素を走行に使える。統合燃費が111km/kgのミライの航続距離は476kmとなる。JC08モードの航続距離が650kmであり、これに対して73%の値となった。

(日経Automotive 佐藤雅哉)

[日経Automotive2016年3月号の記事を再構成]

日経Automotive 2016年3月号

特集1:2030年に向けた環境・安全規制

解説1:リーフとミライの実車燃費試験

解説2:自動運転時代の幕が上がる、など


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