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米大統領選第3回討論会 主な発言

2016/10/20 11:59 (2016/10/20 13:10更新)
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日本経済新聞 電子版

 米大統領選は19日夜(日本時間20日午前)、米西部ネバダ州ラスベガスで第3回のテレビ討論を開いた。共和党候補のドナルド・トランプ氏と民主党候補のヒラリー・クリントン氏の主な発言は以下の通り。

 【最高裁】

 クリントン氏 最高裁は、すべての米国人を代表するものであるべきだ。大企業やお金持ちの意見を反映するものではない。女性、性的少数者(LGBT)の権利も尊重されるべきだ。婚姻関係における男女の権利の平等、中絶の権利などを剥奪しようとする動きがあるが、強く反対する。選挙制度では、大企業の資金力によって決断がゆがめられてしまうことがあるが、最高裁はそうなるべきではない。新しい判事を選ぶ時には、資金力に惑わされず、米国民の権利を最優先する人物を選ぶ。

 トランプ氏 最近の最高裁では、銃を保有する権利を認めた憲法修正第2条が尊重されていないと感じている。私が大統領となったら、中絶に反対するような保守的な価値観を持ち、憲法修正第2条を順守する人物を選ぶ。

 【銃を保有する権利】

 クリントン氏 銃を保有する権利は尊重している。個人の銃保有は、建国時代にさかのぼる米国の伝統だ。だが、年間3万3000人が銃で命を落とす現状を無視することはできない。銃購入時の身元に関する調査などは強化すべきだ。銃購入前の検査を強化しても、個人の銃を持つ権利を犯すことにはならない。

 トランプ氏 シカゴ市は米国で最も厳しい銃規制を持つが、ほかの都市よりも銃犯罪は多発している。銃のロビー団体の全米ライフル協会(NRA)の支持を受けたことを誇りに思っている。大統領になったら、銃を持つ権利を重視する判事を選ぶ。

 【中絶】

 クリントン氏 女性の中絶の権利を保障した判例を強く支持する。女性は自分の健康に関する選択を自分で決める権利がある。トランプ氏は「中絶を選んだ女性は罰されるべきだ」といった。こうした考え方には、強く反対する。

 トランプ氏 出産直前の妊娠後期の中絶には強く反対だ。クリントン氏は賛成かもしれないが、私は反対だ。

 【移民】

 トランプ氏 クリントン氏は不法移民に米国に滞在する権利を与えようとしている。これは大惨事につながる。また何年間も待って正式に入国する権利を待っている人たちに対して不公平だ。不法移民に子供を殺害された親や親戚などを多く知っている。ニューハンプシャー州では、海外から流入してくる麻薬の問題が今一番の課題だといわれた。麻薬を持ち込む悪人をこの国から追い出さなければならない。国境警備を厳しくすべきだ。壁を作るべきだ。

 クリントン氏 トランプ氏は不法移民を強制送還すべきだと主張している。実行しようとすると、どんなことが起こるか。警察官などが学校や住宅、職場などを見回り、捕まえた人たちをバスなどに乗せて国外に連れ出す風景が日常になる。これはアメリカ本来の姿とは異なる。こんなことをしたら、国民が2分してしまう。

 移民管理に割く人材は効率的に使うべきだ。強制送還は重犯罪者などの重要案件に注力すべきだ。米国は移民の国だ。そして法律を大切にする国だ。だから大統領になったら、不法移民でも合法的に国籍をとれるような法整備を整えたい。

 トランプ氏 実はオバマ大統領は多くの移民を強制送還している。クリントン氏は国境を開放し行き来を自由にしようとしている。米国は法治国家だ。数百万人の人々が列をなして国境で待っているのに、違法に国境を越えた者が権利を得るのは不公平だ。

 クリントン氏 私は国境を開放するとは言っていない。むしろ国境警備を強化する政策に賛成してきた。「国境を開くべきだ」と過去に発言したのは、エネルギー政策の話だ。電力網は広く接続すべきだと思っている。

 トランプ氏は移民を犯罪者呼ばわりしてきた。だが、自社の建設作業には非正規の移民労働者を都合良く安い賃金で使っている。移民を正規の労働者にして経済の活力にしていく。

 【ロシアとの関係】

 クリントン氏 ロシアは操り人形としてトランプ氏を利用しようとしている。こんな人物に「核のボタン」を任せるわけにはいかない。官民合わせ17の情報機関が今回のサイバー攻撃はロシアの最高レベルが指揮した攻撃と指摘している。大統領選がサイバー攻撃を通じて海外から介入を受けるというのは、かつてなかった現象だ。

 トランプ氏 私は操り人形などではない。プーチン大統領と面識はない。ただ、プーチン氏は優秀だ。クリントン氏はシリア問題など外交戦略では完全にプーチン氏に劣っていた。ロシアとは(過激派組織)「イスラム国」(IS)対策などで協力できるならいい。もし他国から選挙に干渉があるならば、それは批判されるべきだろう。

 【経済】

 トランプ氏 日本、ドイツ、韓国、サウジアラビアに対する軍事協力を続ける財政的余裕は米国にはない。人々を守っているなら対価を受け取るべきだ。なぜ我々が払っているのか。自分は自分で守れと言っている。

 学費無料化は増税を招き国民に負担を強いることになる。私は逆に減税を進める。

 貿易政策では、ビル・クリントン元大統領が進めた北米自由貿易協定(NAFTA)は最悪の協定だ。メキシコに仕事を奪われ、失業を増やした。NAFTAは脱退する。

 クリントン氏 中間層の繁栄は米国の繁栄だ。クリーンエネルギー開発などで雇用機会を創出する。技術教育によって若者の雇用を促進する。最低賃金を上げ、男女間の賃金格差を縮小させる。教育に投資し、世帯年収12.5万ドル(約1300万円)以下の学生には公立大の学費を無料化する。単に税金を下げるだけのトランプ氏の政策は不景気を招くだけだ。必要なのは中間層からの底上げだ。経済成長の恩恵が富裕層から下の階層に及んでいくトップダウン式の政策ではない。

 【経済・通商問題】

 トランプ氏 (主張する4%成長の達成は困難ではとの指摘に)10年間という期間だ。インドは8%成長、中国は7%成長と堅調な一方、米国は3四半期でわずか1%成長で、今後はマイナス方向に動こうとしている。先週末、雇用統計は全くひどい現状を表した。

 米国はものづくりをしなくなってしまった。中国やベトナムなど世界中から製品が流れ込み、雇用が喪失した。20、25年前には繁栄していた工場のあった地域を訪れた際に失業した人々の嘆きを聞いた。これも(クリントン大統領時代の)北米自由貿易協定(NAFTA)のせいだ。そしていま、環太平洋経済連携協定(TPP)を推進しようとしている。

 クリントン氏 私はTPPの最終案を見て反対した。雇用を創出し、所得を上げられるか、そして国の安全を保証するだろうか。このものさしにかなっていないので今でも反対だ。大統領になったときも反対する。

 雇用をメキシコに流出させたのはあなたではないか。トランプ氏はメキシコを含む12の外国に雇用を流出させた。そのひとつ、中国から違法に輸出された鉄鋼やアルミニウムを買った。このラスベガスにあるトランプホテルは中国からの違法な鉄鋼を使って建設された。我々は米国製品を購入しなくてはならない。

 トランプ氏 ひとつここでシンプルな質問をしよう。クリントン氏は30年間政治に関与してきた。なぜ何もしなかったのだろう。あなたの下で国務省は60億ドルを喪失した。あなたが大統領になったらこの国が大混乱に陥ることは間違いない。

 クリントン氏 トランプ氏は1970年代、司法省からあなたのアパートの住人に対して人種差別をするということで訴えられている。私がウサマ・ビンラディン奇襲作戦をモニターしているその日に、トランプ氏はテレビのリアリティー番組に出演していた。この30年間にこの国のためにした行動の比較であれば喜んでしましょう。

 トランプ氏 私のやったことのほうがよっぽど素晴らしい。私は100万ドルの借金をして大企業に成長させた。事業を成功させたようにこの国を率いれば、米国は素晴らしい国になる。シリアやリビア、イラクとのことを考えてみよう。ISに完全にしてやられた。この国をISに渡してしまった。クリントン氏はISを撃退させると言うが、何もできない。

 【大統領としての資質】

 ヒラリー氏 前回の討論会で、女性に不適切な行動をとったとトランプ氏は糾弾された。それから9人が告発したが、それを否定している。なぜ女性たちが話をでっち上げたと言えるのか。

 トランプ氏 すべてでっち上げだ。私はこの女性たちを知らない。それよりシカゴで私がキャンペーンをしたときの暴動騒ぎについて言いたい。これはオバマ大統領とクリントン氏が金を払って起こしたものだ。

 クリントン氏 トランプ氏が女性たちに言ったことは『おれのタイプじゃない』。女性の尊厳、価値を卑しめた。トランプ氏の正体が判明した。私たちが一体何者なのか、この国がどういう国なのか、次の大統領に何を望むのか、この国をどうやって一体化するのか、我々にすべてかかっている。

 トランプ氏 すべてはでっち上げだ。それよりもクリントン氏の3万3000通にのぼる消失した電子メールは犯罪ではないのか。米連邦捜査局(FBI)は一体どうなったのだろうか。

 クリントン氏 いつも自分に矛先が向くと、謝ることをせず否定ばかりする。これまでどれだけの人をバカにし、非難してきたことか。これが一例ではなく、トランプ氏の行動パターン。この国を分断する暗く危険な見方だ。これが暴力につながり選挙キャンペーン中の暴動につながった。

 【クリントン財団】

 クリントン氏 (クリントン財団に寄付した人に特典があったと指摘されるが)国務長官としてしたことはすべて国のためにしたこと。クリントン財団は素晴らしい慈善団体で、このことについては喜んで話せる。特典を設けた証拠はない。

 トランプ氏 クリントン財団は犯罪機関だ。サウジアラビアに2500万ドルを渡した。カタールにもだ。女性の権利、人権を言うのなら、こういう国の女性に対する扱いをどう説明するのか。

 【大統領の資質】

 トランプ氏 (選挙結果を受け入れるか)その時(実際の開票時)になってからよく考える。今は何も分からない。今、起きていることは不誠実で汚職に満ちたメディアによる報道だ。有権者を毒そうとしている。不当に選挙登録している数百万人の有権者もいる。クリントン氏は犯罪者だ。出馬すべきでないし、その一点でこの選挙は不正にまみれている。選挙結果についてはその時になってから言う。お楽しみにということだ。

 クリントン氏 一言いわせてほしい。何しろおぞましいので。トランプ氏はいつでも思い通りにいかなくなるとそれを批判する。米連邦捜査局(FBI)が私を調査して事件化しないと結論づけたとき、捜査が不正だったと批判した。テレビのエミー賞を逃した時も不正扱いした。

 トランプ氏 賞は私が取るべきだった。

 クリントン氏 これがトランプ氏。愉快だが、おぞましいことだ。公正な民主主義は気に入らなくても結果を受け入れることだ。オバマ大統領は先日あなたに対し「泣き言を言うな」と言ったが、それは大統領に適していないという意味だ。

 【外交問題】

 クリントン氏 (IS対策で)米兵をイラクに占領軍として入れることは支持しない。我々の利益にかなわないし賢明ではない。ゴールはモスルの奪還だ。シリアはテロリストの温床であり、内戦にロシアとイランがかかわっている限りそれは続く。引き続き飛行禁止区域の設定を求めていきたい。

 トランプ氏 モスルを失ったのはクリントン氏らがイラクから撤退したからだ。私は3カ月前から急襲でモスル奪還作戦をすべきだと言っていたが、そうなっていない。クリントン氏はもっとタフに構えるべきだ。ISのリーダーは賢く、イランは核兵器を今後開発するだろう。核合意によって米国は感謝状をもらえるだろう。皆がイラクからいなくなれば、イランを利することになる。

 クリントン氏 トランプ氏はイラク侵攻を支持していないと言ったが、事実を否定している。侵攻前には支持していた。グーグルで「トランプ」「イラク」を検索すれば彼が侵攻支持派だったことがわかる。

 大事なのは全体像を理解すること。モスルはスンニ派の町でシリア国境に位置する。モスルの奪還はシリア侵攻が可能になり、ラッカを取り戻すことができる。これこそ我々がしなければならないことだ。

 トランプ氏はイラク政府がモスルに戦いをしかけているのは、私を選挙で助けるためだと言うがそれは違う。米国は何の恩恵にも浴さない。そういう発言をするトランプ氏には大統領の資質はない。

 トランプ氏 ウィキリークスが内部メールを公開した。民主党のバーニー・サンダース氏はクリントン氏には判断力がないと言っている。クリントン陣営幹部のジョン・ポデスタ氏もクリントン氏について決断力不足を指摘している。私も両者に賛同する。

 クリントン氏 サンダース氏は私の選挙戦に協力してくれている。トランプ氏については最も危険な大統領候補だと断じている。私は彼が正しいと思う。

 【シリア情勢】

 トランプ氏 アレッポは大惨事におかれている。それというのもクリントン氏のせいだ。アサド政権と戦うことを決めたが想定よりも厳しい状況だ。アサド氏はクリントン氏やオバマ大統領より賢く、ロシアやイランとも手を結んだ。我々は反政府勢力を支持するといっておきながらそれが誰なのかわかっていない。

 反政府勢力にもアサド氏同様に悪い人間がまざっている。しかしクリントン氏は何もしない。その結果、ISとつながりある難民が米国に向かっている。トロイの木馬のようなものだ。今後何が起きるのか。クリントン氏のすばらしい仕事に感謝しないといけない。

 クリントン氏 (オバマ大統領は否定的だが)飛行禁止区域の設定で人々の命を守ることができる。もちろん議論の余地があることも分かっている。ただこれによりロシアやシリアに対し、地上にいるシリア人のための措置だということを伝えられる。ISとの戦いにも役立つ。

 難民問題では信用できない人を米国に入れようとは思っていない。ただ、女性や子供に門戸を閉ざすことはしない。顔から血を流した4歳のアレッポの子供の写真をみただろう。もちろん人選は徹底する。

 ISとの戦いでは急進主義を廃し、米国のイスラム社会と協働していく。多くの人がオーランドで(銃乱射により)亡くなった。何が脅威で何をすべきかはっきりさせたい。イラクとシリアで戦い続け、ISを倒さないといけない。

 【財政赤字】

 トランプ氏 私はこれから多くの職を生み出し(財政赤字についての予想が)間違っていると証明する。クリントン氏が大統領になればマイナス成長になるだろうが、私なら現在の4%成長を遂げる。5%や6%成長も目指せるかもしれない。まず雇用を取り戻さなくはいけない。

 私はこの国を産業の観点から作り上げる。以前はそうだったが、諦めてしまっていた。なぜなら(貿易協定という)大きな契約で政治的に人員整理をする人々がいたからだ。米国には素晴らしいビジネスマンがいる。彼らに貿易協定を交渉してもらう。素晴らしい人材を活用しなくてはいけない。仕事を取り戻し、たくさん収入を得る。企業は成長していくだろう。

 クリントン氏 これまで提案したことすべてを実現する。財政赤字は1セントも増やさない。深刻に取り組まないといけない問題のひとつと考えている。教育やインフラ、処方薬の値下げについていつも財源を聞かれるが、答えは明快だ。お金のあるところから取る。利益をあげている企業には当然の負担をしてもらう。

 そのことで経済成長が鈍化するという証拠はどこにもない。実際には反対のことが起きると思う。我々は中間層を再構築する。中間層から米国は成長する。そのために私はあなた方に投資するし、あなたの家族に投資する。これこそ経済を成長させる最善の道だ。

 この点についてトランプ氏とは意見が一致しないが、それは経験の違いだろう。トランプ氏は父親の資産で億万長者として出発しているが、私の父は普通のビジネスマンだった。こうした違いは、どのように世界が見えるか、経済をどうしていきたいかという考えに影響を与えるものだ。

 【社会保障】

 トランプ氏 私は減税し、経済を記録的に成長させる。何よりやらなくてはいけないのは、オバマケアという大失敗を廃止することだ。オバマケアは米国とビジネスを破壊している。保険料は60、70、80%と上がっている。来年には100%以上なるだろう。クリントン氏はオバマケアを維持したがっているし、さらに改悪しようとしている。

 クリントン氏 私は低所得者と女性という現在の社会保障制度で不利な立場にいる人たちに対する保障を拡大したい。トランプ氏が提案している大規模な減税は20兆ドルの赤字を増やし、社会保障とメディケア(高齢者向け医療保険)に恐ろしい悪影響を与えるだろう。長期では医療費を下げ、良好な健康状態を維持することが大事だ。そのための計画がある。

 【最後に一言】

 クリントン氏 討論会を見ているすべての人々へ。私は民主党員、共和党員、独立派まですべての米国人に届けたい。なぜなら米国を経済が成長し、公平で、すべての人にとって機能するものにするために力を貸してほしいからだ。あなたたちの才能、技術、献身的な姿勢、エネルギー、それから野心が必要だ。

 私は大統領職を近くで見る機会に恵まれてきた。国を守るという素晴らしい責任と、人々の生活を良くするために働く貴重な機会についてよく知っている。子供と家族は私の人生をかけた仕事のこだわりと決めている。私は家族のために巨大企業を相手に立ち上がる。皆さんが子供に幼稚園から大学まで良い教育を受けさせるため、仕事を持ち、昇給していけるよう手を尽くす。大統領として仕事をするチャンスをいただきたい。

 トランプ氏 この選挙戦を始めた時から強く言い続けているように、私は米国を再び偉大にする。枯れた米軍を救わなくてはならない。軍隊には最高の人々がいる。退役軍人も軽んじられてしまっている。米軍よりも不法移民の世話の方に力を入っている状況だ。

 今後はそうならない。警察官と女性が見下されている。法の秩序が必要で、正義も求められる。インナーシティ(都市部の貧困者の多い地域)は最悪の状況だ。店に入っただけで撃たれてしまう。彼らは教育を受けておらず、仕事もない。アフリカ系、ヒスパニック系の米国人に対し、クリントン氏以上のものを提供する。クリントン氏にできるのは、彼らに語りかけることだけだ。

 4年後に会おうと言う人がいるが、米国を再び偉大にするには、今すぐ始めなくてはいけない。オバマ政権をもう4年繰り返すことはできないが、クリントン氏を選べばそうなってしまう。


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