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鉄鋼の輸入制限、インド・ベトナムに是正要求 経産省

2016/6/8 20:43
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

経済産業省は8日公表した2016年版「不公正貿易報告書」で、インドとベトナムの鉄鋼製品の緊急輸入制限(セーフガード)を新たに取り上げた。中国の過剰設備に端を発する供給過剰を受け、鉄鋼製品の関税を引き上げる国が出ている。今後、2国間協議や世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きの活用も視野に是正を求める。

インドは昨年9月、自動車の車体などに使う熱延鋼板の関税を20%追加した。ベトナムも今年3月から、建材向けの棒鋼や鉄鋼半製品に約14~23%の追加課税を始めた。

輸出先国がセーフガードを発動すると、日本の鉄鋼製品は関税の分だけ高くなる。現地の鉄鋼メーカーとの価格競争で不利になる。現地で日本の鉄鋼製品を使う日系自動車メーカーなども原材料を高値で仕入れることになり収益が圧迫される。

報告書はインドやベトナムの保護政策は「WTO協定のセーフガードの発動要件を適切に認定していない」と指摘した。

過剰生産の震源地は中国だ。中国企業の2014年の粗鋼生産能力は08年に比べ1.6倍に増えたが経済成長の減速で、自国内で消費しきれなかった鉄鋼製品が安価で他国に流れている。

米国、欧州連合(EU)は自国産業の保護に向け中国からの輸入品に最大200%超の追加課税をする反ダンピング(不当廉売)措置を取る。

日本は今のところ、中国の鉄鋼製品に対する反ダンピング措置は取っていない。それよりセーフガードの是正を優先するのは日本の鉄鋼製品の輸出が制約される方が影響が大きいとみるためだ。

15年の不公正貿易報告書では、ウクライナの乗用車のセーフガード措置に是正を求める方針を掲げた。これを踏まえWTOで紛争解決手続きを進め、昨年9月に措置の解除にこぎつけるなど、一定の成果を上げている。


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