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「学徒出陣」碑に献花式 国立競技場改築で移設

2014/10/22付
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 太平洋戦争中、学生が戦地に送られた「学徒出陣」の壮行会から71年となる21日、秩父宮ラグビー場(東京・港)の「出陣学徒壮行の地」記念碑前で追悼献花式が営まれた。

移設された「出陣学徒壮行の地」碑の前で行われた追悼献花式(21日、東京都港区)

移設された「出陣学徒壮行の地」碑の前で行われた追悼献花式(21日、東京都港区)

 記念碑は壮行会場となった国立競技場(新宿)にあったが、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた同競技場の改築に伴い、近くの同ラグビー場に移設された。移設後初となる献花式では、元学徒や遺族ら約50人が黙とうし、白い花をささげた。

 「71年前もちょうどこんな天気だった」。小雨の降る中、早稲田大法学部から海軍航空隊に召集された寺尾哲男さん(91)=横浜市=は空を仰ぎ見てつぶやいた。「銃を担いでグラウンドを行進したのが昨日のように思い出される」と振り返った。

 競技場の建て替えで、一時は記念碑の保存が危ぶまれたが、「無事みんなの目に触れる場所に建ってよかった」とも。「平和を語り継ぐためにも、また元の場所に戻してほしい」と話した。

 慶応大経済学部から陸軍に召集された神代忠男さん(92)=東京都港区=は「ビルマで戦死した親友のことを思い出す」と、記念碑をじっと見つめた。戦地から親友の骨つぼが送られてきたが、中に入っていたのは氏名と亡くなった日付が書かれた紙1枚だけだった。「(親友の)家族が本当に気の毒だった。あんな思いをさせないためにも戦争を忘れてはいけない」と話した。

 大学1年の時、競技場のスタンドから学徒出陣の壮行会を見守った神奈川県鎌倉市の川合絢子さん(88)は「雨の中、銃を担いで行進する学生の姿を見て胸が締めつけられる思いだった。記憶を語り継ぐため、記念碑を大切に保存してほしい」と話した。

 記念碑は改築が終わる予定の19年、再び国立競技場内に移される。


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