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ベネッセHD、「進研ゼミ」刷新 タブレット活用、密に指導

2015/11/21 12:00
ニュースソース
日経MJ

ベネッセホールディングスは2016年4月から主力の通信教育講座「進研ゼミ」を刷新する。ネット経由で個々の生徒にあった教材を配信するデジタル学習と、従来の紙学習を組み合わせる。さらに指導員によるサポート体制を充実させて学習効果を定着させる「今までにないまったく新しい教育サービス」(原田泳幸会長兼社長)。会員数が落ち込むなか、復活を賭ける。

「進研ゼミ+」はタブレット上で「赤ペンコーチ」とメッセージをやりとりして学習アドバイスを受ける

「進研ゼミ+」はタブレット上で「赤ペンコーチ」とメッセージをやりとりして学習アドバイスを受ける

「進研ゼミ」を「進研ゼミ+(プラス)」に刷新する。進研ゼミの45年の歴史で「最大のリニューアル」(同社)で、今後は紙とタブレット(多機能携帯端末)を組み合わせた「ハイブリッド型」を主力に据える。

各家庭にある「アイパッド」を無線LANにつないで利用できる。月1回教材を配信し、答えると瞬時に回答される。入試対策など大まかな目標を設定すると、必要な学習計画を個別に作成してくれる。解いた問題の正誤から子供の苦手分野を分析して、自動的に最適な問題を出題する。学年の枠組みを超えて予習や復習することも可能だ。

最大の特徴は「人による介入」を拡充する点にある。これまでの「赤ペン先生」による添削指導に加え、「赤ペンコーチ」という指導員を新たに導入する。赤ペン先生が月末の月1回、紙のテストを添削するのに対し、赤ペンコーチは子供が困った時、その都度、学習方法や教材の活用方法を個別にアドバイスする。

赤ペンコーチとのやりとりはタブレット上の「トークボード」の機能を使う。コーチは担当の子供と、無料対話アプリ「LINE」の要領でメッセージを送り合う。時間帯にもよるが「なるべく早く返答する」(同社)。

タブレット教材には子供の学習履歴が蓄積されるため、赤ペンコーチはその子供の苦手分野や学習習慣を把握できる。定期試験前に学習計画を具体的に助言したり、定期試験後の成績を見て、今後の対策をサポートしたりする。子供の学習を見てあげる時間が少ない働く母親たちに対応する。

赤ペンコーチは現在添削指導にあたっている1万3000人の「赤ペン先生」などから募る予定だ。ハイブリッド型の料金は学年(小学校1年~高校3年)によって異なるが、従来の「進研ゼミ」と比べて300~500円程度高く、小学6年生で月6288円。

タブレットの学習データは同社の学習相談拠点「エリアベネッセ」でも生かす。蓄積された個別データを共有することで、赤ペンコーチでなくても子供に個別サポートできるようになる。

ベネッセの通信教育講座の会員数は減少に歯止めがかからない。14年7月に発覚した情報漏洩問題の影響が追い打ちをかけ、会員数は15年4月時点で271万人と、1年間で100万人近く減った。原田会長兼社長は新サービスの導入で減少トレンドから「V字回復への転換を目指す」と話す。開始から1年でタブレットを使う会員を全体の半分程度にまで高めることを見込む。

スマートフォンやタブレットを使った学習はリクルートなど参入が相次ぎ、この1、2年で急速に競争が激しくなってきており、ベネッセも昨年タブレット端末を導入した。

ただ、デジタル教材が普及するにつれ、教材の独自性だけで競争力を保つのは難しくなるとみる。だからこそ、進研ゼミの元来の強みである「赤ペン先生」の価値を再確認し、原点回帰ともいえる「人力」で復活を目指す。(新井惇太郎)

[日経MJ2015年11月18日付]


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