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日経優秀製品・サービス賞2021

日経優秀製品・サービス賞2021

最優秀賞

(生産財5点、消費財4点、サービス7点)

歩行訓練ロボット「ウォーク・トレーニング・ロボ」
生産財

歩行訓練ロボット「ウォーク・トレーニング・ロボ」

パナソニック

 高齢者の運動の負荷を自動調整する歩行訓練用ロボット。ディスプレー付きのハンドルを四輪で支える構造で、電源を入れてハンドルを押して歩くと、後輪に内蔵したモーターが進行方向と逆向きに力を加える。センサーで日々の歩行速度や体の傾きなどを測り、集まったデータから人工知能(AI)が最適な負荷を計算する。
 要支援1~要介護2の高齢者を対象に10分ほど押して訓練する。運動能力低下を抑えて自立を支援する。技術者が自身の介護経験をもとに開発した。日本と中国で貸し出しており、介護施設や病院で採用が広がっている。

AI処理する画像センサー「インテリジェントビジョンセンサー」

(C)Sony Group Corporation

生産財

AI処理する画像センサー「インテリジェントビジョンセンサー」

ソニーセミコンダクタソリューションズ

 画像や映像を記録しながら、人工知能(AI)によるデータ解析もできるカメラ用のセンサー。独自の加工技術で、ロジック(演算)チップにAI機能を組み込んだ。解析がセンサー内で済むため、クラウドなど外部に画像データを送る従来製品に比べ、データ量・消費電力を大幅に減らし、処理速度も高められる。
 街中の監視カメラや、小売店内の顧客の行動分析用のカメラとして導入が進んでいる。顔画像の解析もセンサー内でできるため、画像データ自体はカメラ外に送る必要がない。

手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」

(C)Tezuka Productions

生産財

手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」

メディカロイド

 川崎重工業とシスメックスの折半出資会社、メディカロイドが開発した国産初の手術支援ロボット。手術器具を取り付けた4本のロボットアームを医師が操作し、人の手では難しいきめ細かな動きができる。
 経験豊富な医師の操作データを蓄積・解析し、若手医師への技能伝承にも生かせる。開発段階から医師の声を反映し、先行する米インテュイティブサージカルの「ダヴィンチ」に比べてコンパクトで操作性を高めた。手術実績は累計で60を超え、遠隔手術の実現に向けた実証実験も始まった。

次世代電池「全樹脂電池」
生産財

次世代電池「全樹脂電池」

APB

 充放電ができるリチウムイオン電池の次世代型。電極や電解質などを樹脂に置き換え、高い安全性を確保した。従来型の電池が課題としていた液漏れや異常発生時の発火などの危険を抑える。エネルギー密度も向上させ、従来型と比べて2倍以上の容量を見込めるという。
 川崎重工業の無人潜水機への搭載が決まっている。大型化に向いており、定置用蓄電池など大型容量での用途を想定する。2022年春ごろに量産を始める予定で将来的には製造コストも10分の1程度まで抑えられるという。

自動車色づけ装置「ウルトラワイドTOMマシン」
生産財

自動車色づけ装置「ウルトラワイドTOMマシン」

布施真空

 塗装に代えて、樹脂フィルムを貼り付けて自動車のボディーを色づけする装置。真空状態で、加熱して軟らかくしたフィルムを部材に近づけ、フィルムの表側に空気を入れると、内側との気圧差によって貼り付く仕組みだ。塗装と乾燥を繰り返す従来の手法より、使用電力量を3分の1以下に減らせるという。
 車の内装部材では採用されていたが、大きな車体にフィルムを満遍なく貼ることは難しかった。主に電気自動車(EV)向けを想定し、2021年夏に海外メーカーに納入した。

自動車「レヴォーグ」
消費財

自動車「レヴォーグ」

SUBARU(スバル)

 約6年ぶりに全面改良し、高度運転支援システム「アイサイトX」を一部グレードで初めて採用した。高精度の地図データや全地球測位システム(GPS)、準天頂衛星「みちびき」の情報を活用し、高速道路では渋滞時にハンドルから手を離せるなど、快適に運転できるようにサポート。スバルの強みであるスポーティーな走行性と安全性を両立させた。
 価格は310万2000円からで、発売から21年11月までの販売台数は約3万1000台に達した。20年末には「2020―2021日本カー・オブ・ザ・イヤー」も受賞した。21年11月にはエンジンの排気量を増やした一部改良モデルを発表した。

缶ビール「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」
消費財

缶ビール「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」

アサヒビール

 全開にできる蓋を開けると、中のビールが自然発泡する仕組みで、ジョッキで飲むような生ビールの味わいを楽しめる。缶の内部に焼き込んだ塗料にある微細な凹凸に泡がぶつかって発泡する。口や手を傷つけないように、蓋に切り口を隠すように折り曲げる加工を施すなど、安全性にも配慮した。
 コンビニエンスストア限定で4月に先行発売すると、自然発泡する様子をSNS(交流サイト)などに投稿する人が続出した。想定を上回る人気で一時販売を休止する事態となった。発売以来、既に400万ケースを販売した。高い人気を維持していまだに品薄状態で、月1回の限定販売が続いている。

ゲームソフト「ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング」

(C)Nintendo

消費財

ゲームソフト「ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング」

任天堂

 2021年6月に発売した「ニンテンドースイッチ」向けソフト。「音を出す」「振動する」といった様々な役割を持つキャラクター「ノードン」を組み合わせてゲームを作っていく。難易度の異なるゲームを完成させてステージをクリアしていく度に、自然とプログラミングの思考が学べる。パッケージ版(希望小売価格は3480円)にはノードンの役割や活用例が一目で分かる84枚の「ふりかえりカード」を付けた。
 自分だけのオリジナルゲームを作ることができる機能も人気だ。IDを公開すれば、世界中の人に自作ゲームで遊んでもらえる。「マリオ」など看板キャラクターは登場しないが、21年11月時点での国内販売本数は約40万に達し、教育ソフトとしては異例のヒット作となった。

水循環型手洗いスタンド「WOSH(ウォッシュ)」
消費財

水循環型手洗いスタンド「WOSH(ウォッシュ)」

WOTA

 電源と20リットルの水があれば、水道がなくても500回以上使える手洗いスタンド。3つのフィルターで水をろ過し、深紫外線照射と塩素系消毒剤でウイルスを除去する。センサーと人工知能(AI)を搭載し、水質などを監視・制御して水を浄化する。手洗いの間にスマートフォンの表面についた菌の99.9%以上を除去する機能もある。
 被災地で手軽に使える手洗い場の需要があったことから開発を始め、新型コロナウイルスの感染拡大で開発を加速した。21年5月末までに5000台の予約があった。飲食店や商業施設のほか、東京五輪の選手村の医療施設にも導入された。

医療保険「入院パスポート」
サービス

医療保険「入院パスポート」

損害保険ジャパン

 加入や保険金の請求手続きをスマートフォンで完結させられる。必要書類を撮影してアップロードすると人工知能(AI)が読み込み、原則24時間以内、最短8分で保険金を指定の銀行口座に振り込む。郵送で書類をやりとりする手間を省き、従来は1週間以上かかった入金までの期間を大幅に短縮する。
 医療保険は入院日数に応じて支給額が決まる定額払いが主流だが、実費払いにして高額化する医療費に対する加入者の不安を解消した。保険料は30代で月2000円程度に抑え、若年層に訴求する。2021年6月の提供から5日間で1200件の申し込みがあった。

遠隔分娩監視装置「iCTG」
サービス

遠隔分娩監視装置「iCTG」

メロディ・インターナショナル

 ワイヤレスで、診断レベルで使える世界初のモバイル分娩監視装置。充電式の計測装置2個とベルトで構成し、タブレット端末につなげばリアルタイムにデータを確認したり、遠隔地の医師に転送したりできる。
 分娩監視装置は胎児や妊婦のおなかの状態を把握する。主に妊娠後期にお産の兆候がないかや、胎児発育不全などの異常を確認する。近隣に通院できる産婦人科がない妊婦が高頻度で遠方まで通院する負担の軽減につながる。新型コロナウイルス下では妊婦の通院頻度を下げるのに役立った。海外ではブータンに納入実績がある。

地球観測インフラ「アクセルグローブ」
サービス

地球観測インフラ「アクセルグローブ」

アクセルスペースホールディングス

 独自開発の超小型人工衛星で撮影した地表の画像を提供するサービス。地上にある約2.5メートルの物体を判別できる精度で、農作物の収穫時期の予測やインフラのモニタリングなどに活用できる。
 複数の衛星を打ち上げ、高頻度に地表の画像を取得できる「コンステレーション」として国内初のサービスとなった。計5基の衛星を運用し2~3日に1回の頻度で衛星画像を提供する。2023年までに追加で5基打ち上げ、計10基体制で1日1回の画像提供を目指す。料金は定額課金制で、費用を抑える。

サービス付きアパート「サービスアパートメント」
サービス

サービス付きアパート「サービスアパートメント」

帝国ホテル

 2021年3月に始めた長期滞在型のサービス付きアパート。帝国ホテル東京のタワー館の一部を専用フロアに改装し、30泊36万円で売り出した。ホテルの既存サービスを生かし、食事(月額6万円)や洗濯(月額3万円)を別途、定額制サービスとして提供している。
 第1弾として売り出した99室は発売日の午前中に完売した。現在は室数を165室に増やして運営し、稼働は8割前後と高水準を維持している。22年2月以降はタワー館の全349室に対象を拡大する方針で、最大105平方メートルのスイートルーム(30泊210万円)も用意する。

ナンバーレスクレジットカード「セゾンカードデジタル」
サービス

ナンバーレスクレジットカード「セゾンカードデジタル」

クレディセゾン

 最短5分でカード番号を発行できるクレジットカード。発行したカード番号は、ネットショッピングや、サブスクリプション(定額課金)サービスですぐに利用できる。また、米アップルのスマートフォン決済「アップルペイ」などでもすぐに決済に使える。
 免許証と自身の顔写真を撮影して送信することで本人確認を済ませ、利用代金の引き落とし口座を登録すればアプリ上でカード番号が発行される。後日、表面にカード番号が印刷されていない「ナンバーレス」のクレジットカードも送付され、店頭でも使用できる。

薬事承認を受けたデジタル療法「治療用アプリ」
サービス

薬事承認を受けたデジタル療法「治療用アプリ」

キュア・アップ

 病気の治療効果を持つスマホアプリ。ニコチン依存症用で治療アプリでは日本で初めて厚生労働省の承認を取得し、公的医療保険も適用された。禁煙外来に活用し、医師が患者に処方してスマホにダウンロードして使う。
 患者が日々の体調やたばこを吸いたい気持ちの強さを入力すると、助言を人工知能(AI)がチャット形式で表示する。投入以来、全国で200以上の医療機関が導入した。高血圧治療用アプリの製造販売承認も申請しており、22年の承認取得と保険適用を目指している。

中銀デジタル通貨「バコン」
サービス

中銀デジタル通貨「バコン」

カンボジア国立銀行

 カンボジアの中央銀行が開発したアジア初の中銀デジタル通貨(CBDC)。2020年10月に正式に運用が始まった。世界中の中銀がCBDCの研究や実証実験に乗り出すなか、いち早く実用化して注目を集めた。
 スマートフォンを使って決済や送金ができる。国民の銀行口座保有率が低い同国で、誰もが金融サービスを受けられる「金融包摂」につながると期待されている。
 バコンは自国通貨リエル、米ドルの両方に連動する。バコンの開発には日本のブロックチェーン(分散型台帳)企業、ソラミツが関わった。

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