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日経優秀製品・サービス賞2020

日経優秀製品・サービス賞2020

日経産業新聞賞

(9点)

協働ロボット「CRX―10iA」
日経産業新聞賞

協働ロボット「CRX―10iA」

ファナック

 製造業や物流の現場で人と一緒に働く協働ロボット。専用のロボットコントローラーを使わず、タブレット上のアプリで直感的に動きを設定できるようにしたのが特長だ。ロボットに詳しいエンジニアでなくても取り扱うことができ、これまでロボット導入に抱きがちだった堅苦しいイメージを払拭することに成功した。
 担い手不足に悩む工程で部分的に取り入れることができ、生産ラインを大きく組み替える必要がない。産業用ロボットが主に見据えていた自動車や電機といった大量生産の用途だけでなく、少量多品種の部品組み立てや日用品・食品などの生産にも自動化の道を開いた。すでに新型コロナウイルスで注目されている不織布マスクや検査薬の量産でも活躍している。
 今後は一層ユーザーが手に取りやすいよう、使いやすさを重視した製品開発に注力する。需要の裾野が広がることで、小売りやサービス業といった業種にもロボットが普及しそうだ。

会議室用ウェブカメラ「ミーティングオウル プロ」
日経産業新聞賞

会議室用ウェブカメラ「ミーティングオウル プロ」

ソースネクスト

 人工知能(AI)を内蔵した会議室用ウェブカメラ。フクロウを模した円筒形の製品で、360度のカメラやスピーカー、集音マイクを備える。会議室の机の中央に置いて使う。AIが会議室での発言者を特定し、その人をオンライン会議の画面に大きく映し出す機能がある。遠隔から会議に参加している人にとって、発言者を特定しやすい。
 テレワークの普及でオンライン会議が増え、在宅勤務者と出社組が混在する会議が当たり前になった。その場合、会議室側が部屋全体をカメラで撮影すると、在宅勤務者は会議室側の発言者を特定しにくい問題があった。同製品はこの問題を解消できるという。会議の分析機能も備える。会議の回数や累積時間、会議室の参加人数、出社組と在宅勤務者の発言時間などを集計できる。2020年7月末の販売開始から12月28日までに7千台以上を出荷した。伊藤忠商事やみずほ銀行、三菱重工業などが導入したという。

ウエアラブル血圧計「ハートガイド」
日経産業新聞賞

ウエアラブル血圧計「ハートガイド」

オムロンヘルスケア

 腕に巻き付ける従来タイプの血圧計に比べて腕時計のように手首に巻き付け、通勤時や食後、運動後など手軽に計測できる。データは専用のスマホアプリに転送されグラフで可視化できる。外出時でも血圧の変動を把握できれば、血圧が上昇し血管に負担がかかる動作を回避したり、診察時には発見しにくい「隠れ高血圧」の発見にもつながる。
 血圧値を測るには「オシロメトリック」と呼ばれる手法が一般的だ。血管を圧迫するため小型化が難しかった。自社の電子部品技術を生かし、ベルトの開発など50以上の新しい特許を取得して開発した。高血圧症の診断につかえる医療機器として世界で初めて承認を得た。測定したデータはスマホに転送され、データを管理できる。血圧値のほかに、脈拍数、歩数、睡眠パターンなども測定でき、健康管理の把握に役立つ。オムロンは1970年代から家庭用血圧計を開発し、世界シェア5割を持つ。将来的には遠隔医療サービスでの活用も期待される。

オンデマンドバス「のるーと」
日経産業新聞賞

オンデマンドバス「のるーと」

ネクスト・モビリティ

 三菱商事と西日本鉄道の共同出資会社が提供する人工知能(AI)を使ったオンデマンドバスサービス。決まったダイヤやルートはなく、利用者からアプリ経由で入る予約に応じて、AIが最適なルートを適宜判定して運転者に伝える。過疎地域など利用者の需要が分散するエリアでも、利便性と効率性の両立が担え、公共交通網の維持につながることが期待されている。
 2019年4月に福岡県でサービスを始めた。車両はマイクロバスを使い、定員は10人に抑えている。普通二種免許でも運転できるようにして、ドライバー不足に対応する。県内2地域で5台が稼働し、人工島「アイランドシティ」では1日あたり約140人の利用がある。全国展開に向けて20年11月に長野県塩尻市で、21年3月には福岡県宗像市で実証実験をする。採算のとれる料金体系や精度の高いAIづくりなどを検証し、地域交通網維持に悩む自治体向けにAIバスを導入していくためのモデルケースとしたい考えだ。

全自動PCR検査装置「エリート インジーニアス」
日経産業新聞賞

全自動PCR検査装置「エリート インジーニアス」

プレシジョン・システム・サイエンス

 細胞やウイルスに含まれる遺伝子を読み出すPCR検査装置。試薬と組み合わせると、高精度かつ全自動で検査できる。肝炎など向けに海外でOEM(相手先ブランドによる生産)供給していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大で、コロナ向け検査装置として注目。国内でも昨夏から販売が始まった。幅1メートル、奥行き75センチ。参考価格1250万円。
 手作業だった従来の準備作業では感染やミスのリスクがあった。専用の試薬と組み合わせて使うと、試薬と検体をセットするだけで陽性か陰性か判定できる。1回の検査で12人分を検査でき、検体採取から判定までの時間も従来の半分以下の2時間半ほどに短縮できる。
 全国300カ所の機関への導入を目指し、製造子会社や協力工場での生産増強を進める。

医療者間対話アプリ「ジョイン」
日経産業新聞賞

医療者間対話アプリ「ジョイン」

アルム

 スマホやタブレットなどを使う医療者間コミュニケーションアプリ。院外にいる医療者や他の医療機関の医療者と検査データなどを簡単に共有できるほか、チャットができる。的確な診断や治療につなげられると期待されている。
 新型コロナウイルス感染症の流行で機能を大幅に拡張。20年4月には京都プロメド(京都市)と提携し、新型コロナ疑い患者の胸部コンピューター断層撮影装置(CT)画像の読影を専門医に簡単に依頼できるようにした。原則24時間以内、最短30分でリポートが届く。昨年8月にはスウェーデン手術システム大手ゲティンゲと提携。手術中の動画を院外から視聴できるようにした。国内約380施設、大学病院に限ると約半数に導入ずみ。年度末までに導入機関が500に達する見込み。

「究極のヤマシン・フィルタマスク」
日経産業新聞賞

「究極のヤマシン・フィルタマスク」

ヤマシンフィルタ

 直径200~800ナノ(ナノは10億分の1)メートルの繊維で作った超微細フィルターを使った消費者用マスク。このフィルターは一般的な樹脂繊維と比べて10分の1の細かさを実現した。建設機械の油圧機器に混じったゴミをこし取る産業用として導入が進むほか、素材の特長を生かして幅広い分野で活用できる可能性を秘める。
 消費者用マスクに応用することで、一般的な不織布マスクよりも微粒子を多く捕捉できる。価格は1枚約150円。フィルターの用途は広く、細かい繊維の周りに多くの空気をまとえるため、布団の中綿としても使える。近年はESGの観点から水鳥の羽根に代わる材料が求められており、需要は広がりそうだ。

クレイ型リチウムイオン蓄電システム「エネレッツァ」
日経産業新聞賞

クレイ型リチウムイオン蓄電システム「エネレッツァ」

京セラ

 安全性が高く、製造コストを抑えた次世代型リチウムイオン電池を搭載した住宅用蓄電システム。2020年1月から販売をスタートしており、20年度中に本格量産を始める。
 従来のリチウムイオン電池は電極の間を液体の電解液で満たしていた。京セラは電極に電解質を練り込んで粘土状にする技術を開発。製造工程を簡素化できるほか、電極層の数やセパレーターなどの部材を減らせるため、原材料費を約3割減らせる。
 液体の電解液は可燃性で、電池が変形するなどすると燃えやすいという課題があったが、電解液を電極に練り込むことで安全性も高めた。寿命も従来の約1.5倍に伸びた。
 容量をさらに高める研究も進めている。これが実現すれば小型化につながるほか、住宅用蓄電システム以外に用途が広がる可能性もある。

個室型ワークスペース「ココデスク」
日経産業新聞賞

個室型ワークスペース「ココデスク」

富士ゼロックス

 東京メトロなどの駅構内やオフィスビルのエントランスに設置している1人用の仕事ブース。スマホなどから予約して利用する。個人利用は15分250円。移動の隙間時間に気軽に利用できる。働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、利用者が増えている。
 静音設計のブース内には机や椅子のほか電源や大型モニター、空調設備などがある。無線LANにも接続でき、快適・安全にテレワークできる。定期的な清掃に加え、24時間換気でブース内の空気を入れ替えたり、手すりや机の表面を銀系無機抗菌剤でコーティングしたりして、新型コロナ対策をとっている。さらに他の利用者が使った後、15分間は予約できないようにすることで、空気を入れ替えて新型コロナの感染リスクを抑えている。

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