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日経優秀製品・サービス賞2020

日経優秀製品・サービス賞2020

最優秀賞

(生産財5点、消費財6点、サービス5点)

スーパーコンピューター「富岳」

(C)RIKEN

生産財

スーパーコンピューター「富岳」

理化学研究所/富士通

 理化学研究所と富士通が開発した。計算速度を競う世界ランキングで昨年6月に日本勢として8年半ぶりとなる世界一を獲得した。11月のランキングでも2期連続の首位となった。使い勝手の良さや汎用性を重視して開発した。1秒当たりの計算能力を競うコンテストだけでなく、人工知能(AI)向けの計算などでも連続して1位を獲得した。新型コロナウイルスの飛沫感染シミュレーションや治療薬候補の検索などで活用が進む。新しい薬や素材の探索、AIの活用など、様々な分野で革新をもたらす研究基盤として期待される。

5G対応ガラスアンテナ「ウェーブアトッチ」
生産財

5G対応ガラスアンテナ「ウェーブアトッチ」

AGC

 高速通信規格「5G」に対応する基地局になるガラスアンテナ。NTTドコモと共同開発した。大きさは縦20センチメートル、横80センチメートル程度、重さは約2キログラム。既存の窓ガラスに室内から貼り付けて設置する。製品に組み込まれた特殊な素材により電波は既存の窓ガラスに反射せず、100~200メートル先まで届く。5Gの電波は遠くまで飛びにくい性質を持つ。実用化には基地局の増設が欠かせない。AGCはアンテナの配線をほぼ透明にするなど目立ちにくいデザインを追求した。景観を損ねないため設置しやすく、5Gの普及を後押しする。

発熱者感知カメラ「AIサーマルカメラ」
生産財

発熱者感知カメラ「AIサーマルカメラ」

アイリスオーヤマ

 非接触で最大20人まで同時に体温を測定できる検温カメラ。AIが顔を判別して検温する。カメラから約3メートル以内であればマスクを着用していても測定できる。検温の誤差が±0.5度以下と小さく、1秒以内という短時間で検温する。基準値を超えた体温が検出された場合は、映像や音声で通知する。基準値はユーザーが設定できる。参考価格は1台税別90万円。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、昨年4月から法人を中心に販売を始めた。病院やオフィスなど多くの人が出入りする場所で需要が高まっている。

5Gスマホ用コンデンサー「GRM 02/01」
生産財

5Gスマホ用コンデンサー「GRM 02/01」

村田製作所

 高速通信規格「5G」対応のスマホなどに使う超小型電子部品。「積層セラミックコンデンサー(MLCC)」と呼ばれ、回路内の電気を一定に保つ。原材料のセラミック粉を均質に細かくする技術を強化し、容量を決める積層数を増加。同容量で最小だった従来品に比べ、体積比で5分の1まで小型化した。MLCCは高級スマホなら1台に最大千個近く搭載されるとされる。高機能化で部品点数が増えて端末内部のスペースが窮屈になるなか、小型大容量化にいち早く成功した。

木質耐火部材「クールウッド」
生産財

木質耐火部材「クールウッド」

シェルター

 木材の周囲を石こうボードで囲み、外側を木材で覆った部材。シェルターが独自開発した。業界で唯一、3時間耐火性能試験を経て大臣認定を受け、15階以上の純木造高層ビルの建築が可能になった。鉄筋コンクリートとのハイブリッド型の木造ビルが登場しているが、仙台市に純木造では最も高層の7階建てビルを建設中。鉄筋コンクリートと同等のコストに加え、加工場が限られる集成材ではなく全国に製材所がある無垢(むく)材を使えるため、地元材を使った地産地消の木造ビルが可能になる。部材供給を含めすでに100棟以上に採用が決まっている。

ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」
消費財

ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」

任天堂

 新型コロナウイルスのまん延で多くの人が外出を制限された昨年、画面の中で離れた友達とつながるツールとして人気を集めた。ゲーム初心者を呼び込んだだけでなく、DIYをしながら思い思いの「島」を作り込める「やりこみ要素」がゲームファンの心をつかむ。「あつ森」として幅広い客層に親しまれ、3月の発売から世界で累計2604万本(9月末時点)を販売した。資生堂や日本ハムなど企業も着目。ゲームの中のファッションやメークを通じて体験の場をつくり、商品・サービスの魅力を発信するプラットフォームのような役割も担う。

エアコン「うるさらX」
消費財

エアコン「うるさらX」

ダイキン工業

 無給水で加湿できるルームエアコン「うるるとさらら」シリーズの旗艦モデル。唯一、換気機能を搭載する。外気を取り込みながら室内の空気を常に新鮮な状態に保てる。新型コロナの感染拡大で換気に注目が集まったことに加え、在宅勤務が普及したことから、快適な自宅環境で働きたいという消費者の需要を捉えた。店頭想定価格は14畳モデルで税別32万円前後。2020年度に30万台の販売を計画する。20年11月に発売した改良モデルでは、人の在室をセンサーが感知し、室外機のファンの風量を上げることで換気量を10%増やす機能を搭載した。

自動車「ヤリス」
消費財

自動車「ヤリス」

トヨタ自動車

 ハイブリッド車(HV)で同サイズの車としては世界トップクラスの、ガソリン1リットル当たり36キロメートル(WLTCモード)の燃費性能を実現した。駐車支援システムや交差点右折時の対向直進車と右左折後の横断歩行者を検知する安全機能を備える。高齢者なども座席に楽に乗り降りできるように座席がドア側に回転する機能などの先進機能も採用した。
 価格はエンジン車は約139万円から、HVは約199万円からだ。2020年2月の発売から1カ月の受注台数は約3万7000台で、月間販売目標(7800台)を大きく上回っている。

電動三輪バイク「AAカーゴ」
消費財

電動三輪バイク「AAカーゴ」

アイディア

 3時間の充電で約80キロメートル走行できる。新型コロナ禍で宅配需要が高まっている中、環境面や静音性に優れている。企業や飲食店向けに設計されており、車体後部に荷物を搭載できる。電動のため給油の手間がなく、走行時の音はほとんどないため深夜の住宅地の配達などでも騒音にならない。三輪による安定性に加え、車両を垂直の状態にする「ロールロック機能」などを搭載し、転倒の危険が少ない。新興メーカーながら外食大手の日本マクドナルドの宅配車両にも採用された。1年で計1000台の販売を見込んでいる。価格は87万7800円から。

眼鏡型端末「レティッサ・ディスプレー・ツー」
消費財

眼鏡型端末「レティッサ・ディスプレー・ツー」

QDレーザ

 レーザー光で網膜に映像を直接投映する。画面の制約を受けずに、映像を周囲の風景に重ねて表示できる。
 角膜に異常があっても使えるため、視覚障害者の視力を補うなど医療でも活用が期待される。端末に内蔵した小型プロジェクターが微弱なレーザー光を発する。スマホやパソコンに端末を接続し、映像を送る。富士通研究所の半導体レーザー技術をもとに、2012年から研究を重ねて実用化した。価格は約30万円。汎用部品を使うなどしてコストを下げ、18年に発売した第1世代モデルの半分に抑えた。

スマートフォン「ギャラクシー Zフリップ 5G」
消費財

スマートフォン「ギャラクシー Zフリップ 5G」

サムスン電子ジャパン

 ガラケーのように縦方向に折り畳めるスマホ。ディスプレーは継ぎ目なく、広げれば6.7インチの大画面スマホとして利用できる。超薄型カバーガラスを採用し、サムスンが自社開発した折り曲げられる有機ELパネルを用いた。畳めば73.6ミリ×87.4ミリ×17.3ミリとコンパクトになり、小さなポケットにも入れられる。重さも183グラムと通常のスマホと同程度に軽量化。長い間、画一的だったスマホの形状に新風を吹き込んだ。

AIが過失割合を判定「事故状況再現システム」
サービス

AIが過失割合を判定「事故状況再現システム」

東京海上日動火災保険

 自動車事故が発生するとドライブレコーダーの映像や全地球測位システム(GPS)、加速度センサーを使って事故の状況や車両の損傷箇所を記録してシステム上に再現する。
 事故の責任割合は人工知能(AI)が自動的に判定する。強い衝撃を検知すると録画された事故映像が送信される。事故状況の確認はデータの受信後5分で完了し、迅速に保険金を支払うことができる。
 東京海上が自動車保険の特約で貸与するドライブレコーダーを月額650円の利用料で使うことでシステムを利用できる。

オンライン会議システム「ズーム」
サービス

オンライン会議システム「ズーム」

ZVCジャパン

 米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが手掛けるオンライン会議システム。新型コロナウイルスの感染拡大で利用者が急増し、ビジネスやプライベートでコミュニケーションに欠かせないツールの一つになった。
 2019年12月には1千万人だった全世界における1日当たりの会議参加者数は、20年4月には3億人と増加した。「Zoom(ズーム)飲み」という言葉も誕生し、ビジネスパーソン以外にも浸透している。
 19年から日本法人を通じて、データセンターの増設でビデオ会議の性能向上を進めるなど、国内で攻勢をかけている。

オンライン診療システム「クロン」
サービス

オンライン診療システム「クロン」

マイシン

 スマホやタブレットのビデオ通話機能で医師の診察を受けるオンライン診療に使う。
 予約から診察、決済までが一つのアプリで完結するシステム。導入医療機関数はクリニックを中心に4500施設を突破し、前年比で2倍以上に増えた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けてオンライン診療の規制が緩和されたことで導入に弾みがついた。
 医療機関から初期費用や月額費用を取らず診療時の決済額の4%を徴収する形で、施設経営の観点からも採用しやすくしている。調剤薬局には薬剤師が患者にオンラインで服薬を指導できるシステムを提供している。

「民族共生象徴空間」
サービス

「民族共生象徴空間」

アイヌ民族文化財団

 愛称はウポポイ。2020年7月に北海道白老町に開業したアイヌ文化を学べる国立施設。先住民族を主題とした初めての国立博物館を備える。
 博物館を核に、儀式や生活に触れることのできる公園や慰霊施設などで構成される。国が10ヘクタールの土地に200億円で整備した。来場者15万人(20年10月末時点)のうち3割は小中学校と高校の修学旅行などの団体客だ。入場料は大人1200円、中学生以下は無料。
 札幌から車やJRで1時間強。見どころは伝統舞踊や民族楽器「ムックリ」の演奏。道内に残るアイヌの伝統を学んだスタッフによる演技を通じて生きた文化を感じられる。アイヌの生活を疑似体験できる施設も人気が高い。

遠隔合奏サービス「シンクルーム」
サービス

遠隔合奏サービス「シンクルーム」

ヤマハ

 インターネットを介して離れた所の人と合奏できるサービス。
 それぞれのパソコンにソフトをダウンロードし、楽器やマイクをつなぐなどして演奏すれば1つに重なって聞こえる。通信状況を見ながら音声データを蓄積せずに送り続ける仕組みをつくり、音の遅延をわずか0.02~0.03秒に抑え、合奏で支障が出にくいようにした。録音の機能や音を響かせる効果のほか、一定のテンポで演奏するためのメトロノーム機能などもある。通常は5人まで接続できるが、10人まで増やす機能もある。利用は無料。2020年6月の提供開始から1カ月間のダウンロードは3万件。

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