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日経優秀製品・サービス賞2019

日経優秀製品・サービス賞2019

日経産業新聞賞

(最優秀賞5点・優秀賞9点)

車のサブスクリプション「KINTO」
最優秀賞

車のサブスクリプション「KINTO」

KINTO

 トヨタ自動車が子会社を通じて設立したKINTOが提供する定額新車サービス。新たなビジネスモデルとして注目されるサブスクリプションの車版だ。
 月3万円台からトヨタ車に3年間乗る「ONE」と、月約20万円から高級車「レクサス」を乗り換えて計3年間乗る「SELECT」(2月から「FLEX」)の2種類がある。頭金がいらず、登録費用や自動車税、任意保険、整備費なども月額料金に含まれ、手続きの手間がない点などが支持を得ている。

IoTサービス「ルマーダソリューションハブ」
最優秀賞

IoTサービス「ルマーダソリューションハブ」

日立製作所

 あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を簡単かつ短期間、低コストで導入できる。2016年からIoT基盤・サービス「ルマーダ」を展開しており、600件を超える成果を標準化した。顧客企業は機械や設備などにセンサーを取り付け、クラウド上でメニューを選ぶだけでIoT環境を導入できる。顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する。試験環境だけなら数日で構築可能。19年度中に生産ラインや物流施設向けなど30種類のメニューを用意する。

AI融資「資金繰り改善ナビ」
最優秀賞

AI融資「資金繰り改善ナビ」

フリー

 クラウド会計管理ソフトに蓄積したデータを分析して3カ月先の資金繰りを予測するサービス。子会社のフリーファイナンスラボが手掛ける。会計ソフトで集めた100万社分の会計データを学習した人工知能(AI)を活用し、予測精度は80~90%だ。金融機関を通じた融資の審査にもつなげやすく、利用者の申請がなくても融資を提案をする機能も備えた。中小企業は直近の決算書や取引銀行の口座残高などの資料を持ち込んで融資の申し込みをしていた。審査が通るかわからず、徒労に終わることもあった。

船底用防汚塗料「シープレミア3000PLUS」
最優秀賞

船底用防汚塗料「シープレミア3000PLUS」

中国塗料

 海洋生物をしびれさせることで船への付着を防ぐ、船底用防汚塗料。船底をきれいに保つことで船が進むときの抵抗を減らし、燃費を15~20%改善できるという。「メデトミジン」という麻酔物質がフジツボの幼生が着床する際に伸ばす触手などに効果的に作用する。薬学的なアプローチで開発された、船底用防汚塗料は世界でも非常に珍しい。従来の防汚剤に含まれ、環境への悪影響が懸念される亜酸化銅の使用量削減にも貢献する。価格は20キログラム、5万円。20隻で採用されている。

起業家支援施設「フクオカグロースネクスト」
最優秀賞

起業家支援施設「フクオカグロースネクスト」

福岡地所

 福岡市の都心部にある小学校の廃校舎で、行政と民間企業が2017年から共同運営するスタートアップ支援施設。複数で使える個室や固定席とフリー席を備える。賃料は周辺相場の半額ほどに抑えている。施設内の窓枠や道路との外壁を取り払うなど1億8千万円を投じて改装、より「化学反応」が生まれやすい施設として19年6月に再始動した。国内外の約140の企業・団体が入居。企業や投資家とのマッチングイベントやセミナーが毎日開かれ、「スタートアップ都市福岡」を象徴する。

皮膚科医向けカメラ「DZーD100」
優秀賞

皮膚科医向けカメラ「DZーD100」

カシオ計算機

 もともとは皮膚科医向けに開発された製品。皮膚がんの疑いがある部位を接写すると、病変を見やすく表示する。片手で持てるほど小型軽量な上、操作性がシンプルなため新たな診断ツールとして医療機関からの注目を集めている。最近は形成外科などにも広がっているという。
 カシオ計算機がかつてデジカメ事業で培ったレンズ設計技術や画像処理技術が活用されている。皮膚内部の色や構造を確認する偏光撮影、皮膚の表面の病変部を記録する非偏光撮影、隠れたシミやぼやけたほくろの辺縁部をくっきりと写す紫外線(UV)撮影をワンシャッターで捉える。3種類の写真を同一画角で撮影するため、診断部分の比較検証もしやすい。撮影モードの切り替えで通常撮影と接写撮影が可能。これまで広い範囲を撮影するためには複数のカメラを使う必要があった。

「オゾン水内視鏡洗浄消毒機」
優秀賞

「オゾン水内視鏡洗浄消毒機」

IHI

 オゾンを使った独自の殺菌システムを搭載し、従来内科医が手で洗っていた胃カメラをよりスムーズに洗浄・消毒できる。アルカリの予備洗浄にも対応し、オゾンとダブルで洗浄する。
 これまで消毒にはホルマリンやエチレンオキシド、過酢酸などの薬品が使われてきたが、鉄道車両や室内殺菌に使う独自のオゾン技術を応用した。使用するごとに毎回オゾン水を生成するために衛生的で安定して性能を出せる。大きさは50センチメートル×55センチ×102センチと業界最小。1回の処理時間は16.5分で、ランニングコストも競合品に比べ3分の1~6分の1に抑えた。消化器医療で内視鏡の利用が増える中、洗浄の高速化・簡易化により回転率を高めることで、病院での経営効率化にもつながるとみている。価格は税別248万円。オゾン殺菌は鉄道車両などに使われてきた。オゾン技術を応用し、100億円の事業に拡大する。

ビジネスクラスシート「THE Room」

(C)ANA

優秀賞

ビジネスクラスシート「THE Room」

全日本空輸

 全日本空輸(ANA)が開発した国際線の新型ビジネスクラスシートで、その名の通りドア付きの個室になっているのが最大の特徴だ。ビジネス席を個室化したのは同社としては初。
 飛行機の中にありながらプライベート性の高い空間を確保することができ、機内で休んだり仕事をしたりする際の快適性を高めた。座席のモニターも従来の17インチから24インチに大型化され、航空機内の個人モニターとしては世界で初めて4K映像に対応した。
 個室化し席が大型化した一方、L時型の空間を前後互い違いに配置することで従来とほぼ変わらない席数を確保している。
 通常、航空機の座席はメーカーが開発したシートを自社用にアレンジして使うことが多いが、ANAはこれまでにないシートを開発するためコンセプトから自社開発に取り組んだ。著名建築家の隈研吾氏が監修したことでも知られる。

ケーブル内蔵ロボット「R―2000iD/210FH」
優秀賞

ケーブル内蔵ロボット「R―2000iD/210FH」

ファナック

 自動車工場のスポット溶接作業などを担う産業ロボット「R―2000i」シリーズの最新作。通常は外に剥き出しとなっている配線類をロボットの内部に入れたほか、V字型のラインが入った外装が特徴だ。見た目へのこだわりが薄い産業用機械に一石を投じた製品となっている。
 開発担当者は「初めてデザインから入って設計した」と語る。配線を内蔵し、外観にこだわったことで「かっこいい産業用ロボット」を実現した。人手不足のなか、「働きたくなるようなスタイリッシュな工場にしたい」という生産現場のニーズにも応える。
 配線を内蔵することで、実用面でも効果がある。例えば自動車の溶接用途では車体と配線の接触を気にする必要がなくなり、より簡単な動作の教示が可能となった。設置床面積や質量も削減し、設置レイアウトの自由度を向上させている。
 ファナックは自動車向けのロボットに強く「R―2000i」はベストセラーのシリーズだ。新型への置き換えが進めば、生産現場の風景が変わりそうだ。

IoT住宅「カサートアーバン」
優秀賞

IoT住宅「カサートアーバン」

パナソニックホームズ

 住宅と家庭内の機器をインターネットでつなぐプラットフォーム「ホームX」を搭載した住宅。
 東京や大阪、名古屋などの三大都市圏を中心に展開する。各部屋の壁に付いた専用端末で照明や空調などを一括管理できるのが特徴だ。家庭内の機器ごとにばらばらだったリモコンや照明スイッチなどの操作を統一した。
 例えば寝室にあるホームXのディスプレーを操作するだけで、玄関の電気錠を開けたり、リビングのシャッターを閉じたりといった操作が可能だ。
 機能は順次拡張する。パナソニックは幅広い家電製品や住宅設備を手掛けており、これらの情報を統合することでよりきめ細かいサービスが実現できる。
 今後は家の中にある家電製品などとの連携を図る。個人のライフスタイルを分析して、最適なタイミングでお手軽レシピの表示などを想定する。
 災害時に強い住宅の実現も目指す。台風の接近情報を取得し、自動でシャッターを閉めて自宅の蓄電池へ充電を始めるといったサービスも視野に入る。

屋外用エアコン「アウタータワー」
優秀賞

屋外用エアコン「アウタータワー」

ダイキン工業

 夏場の猛暑を背景に、スポーツや音楽イベント、カフェテラスなど屋外でも涼しい空気を感じたいというニーズが高まっていることから発売したタワー型の屋外用エアコン。前後左右4方向に冷風を出す。
 強さは3段階で調節することができる。本体から3メートルの範囲を冷やすことができる。
 除湿した冷気で周囲の気温よりも8度ほど低い快適な空間を作り出す。屋外では霧を噴射し、気化熱で涼しさを出す装置が普及しているが、霧が風で飛ばされてしまうほか、湿気を含むため、快適さに課題があった。
 キャスターがついており、イベント会場で移動させて使うことができる。金属を基調としたデザインにすることでスリムな見た目とし、場所を問わず設置できる。
 外国人観光客の増加に伴い、駅など公共施設での活用も見込んでいる。

ラジコン草刈り機「ARC―500」
優秀賞

ラジコン草刈り機「ARC―500」

クボタ

 コントローラーを使って遠隔から操縦できるラジコン型の草刈り機。傾斜角度40度の急勾配でも安定して走行することができる。傾斜走行したときに下側に位置する鉄製の車輪を2つにして接地面積を増やしたほか、上側にエンジンやトランスミッションを配置して斜めでもバランスが崩れないような設計にしている。20メートル離れた場所から操作できる。
 角度センサーを搭載し、傾斜角度が25度以上のときは車輪を自動で上側に向かせることで走行経路を補正し、斜面からずり落ちることなく直進できるアシスト機能を加えている。草を刈る刃は上下に2枚取り付ける構造を採用し、雑草を細かくカットできる。細かくすることで刈った草がそのまま土に戻りやすいことから、集草の必要がない。年間で同じ箇所を5~6回草刈りする農家も多く、農業の高齢化が進む中で作業を効率化する。

AI契約書チェックサービス「アイコン」
優秀賞

AI契約書チェックサービス「アイコン」

ジーバテック

 契約書の作成やレビューを支援するサービス。オンライン上に契約書を登録すると、人工知能(AI)が読み込んで各条項のリスクを示す。契約が自社にとって有利か不利かを5段階で判定し、リスクが大きい条文については修正例も提案する。
 売買契約や業務委託契約など16種類の契約書に対応している。価格は年30通まで契約書の詳細チェックができるスタンダードプランで月額税別2万円。法務担当者のいない中小企業や、スタートアップなどを中心に利用されている。
 多様な働き方の広がりを受けて、最近は副業やフリーランスで働く人からの利用が増えているという。2019年10月からは秘密保持契約書の場合、500円で即時に契約書をチェックできるサービスも始めた。今後対応する契約書の種類を広げていく方針で、より手軽に利用できる環境をめざす。

医師連携プラットフォーム「e―casebook LIVE」
優秀賞

医師連携プラットフォーム「e―casebook LIVE」

ハート・オーガナイゼーション

 ネット上で医師が情報交換できるサービスで、国内外の医師や看護師などが手術のライブ配信を見られる。著名な医師が解説者となり、参加者は手術を見ながらチャット機能で意見交換や質問ができる。医師は最先端の手術手技を学ぶために学会に参加することが一般的だ。手術が行われる病院に赴くこともある。
 ただ、学会は若手医師よりも中堅~ベテラン医師が参加することが多いほか、医師の少ない地方病院では日常の仕事を離れての参加が難しい。新興国の医師は渡航費も重荷だ。学ぶ機会が少ないことが、地域による医療格差が生まれる一因となる。同社のサービスでは医師が住む地域に関係なく、最先端の手術手技や知見を手軽に学ぶことができる。循環器領域で配信が増えており、整形外科など別の分野に順次拡大する。

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