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日経優秀製品・サービス賞2019

日経優秀製品・サービス賞2019

日本経済新聞賞

(最優秀賞5点)

EV用駆動モーターシステム「E―Axle」
最優秀賞

EV用駆動モーターシステム「E―Axle」

日本電産

 EVを動かすための駆動力を発生させる中核部品。内燃自動車のエンジンにあたり、駆動用モーターとギアやインバーターを一体化したシステム製品として2019年4月から中国・浙江省の工場で量産を始めた。油でモーターを直接冷やす「2way油冷」などの新機構を採用して小型化に成功した。主要部品は内製しており、高い品質の担保や製造コスト抑制につなげている。
 当初は中国EVメーカーからの受注が中心だったが、欧州の自動車部品メーカーからの引き合いも増えてきた。19~23年度までの受注見込みはモーター単体も含めて455万台まで積み上がった。旺盛な需要に対応するため、中国・大連などにも生産拠点を増やす計画だ。

顔認証システム「ファストトラベル」
最優秀賞

顔認証システム「ファストトラベル」

NEC

 旅客が搭乗手続きのチェックイン時に顔の情報を登録すると、搭乗券やパスポートを提示することなく「顔パス」で保安検査などの手続きを済ませられるシステム。人手よりも高精度かつ短時間で審査できるので、空港の混雑解消も見込める。
 米デルタ航空がアトランタ国際空港の国際線ターミナルに18年12月に導入した。国内では成田国際空港が採用し、「OneID」の名称で20年春に稼働させる。全日本空輸などが加盟する航空連合「スターアライアンス」も、航空会社のラウンジ入場、搭乗時の航空券・パスポートの確認などの利便性を高める目的で導入を表明している。
 NECは顔パスを空港外の施設と連携させる取り組みも行う。和歌山県の南紀白浜空港で登録した顔情報を周辺のホテルや娯楽施設でも活用する実験を18年12月から展開中だ。

後付け安全装置「つくつく防止」
最優秀賞

後付け安全装置「つくつく防止」

ダイハツ工業

 自動車のペダルを踏み間違えた時に発生する急発進を抑制する後付けの安全装置。車両の前後に2カ所ずつ取り付けた超音波センサーが、前後方3メートル以内にある大きな壁や店舗のガラスなどの障害物を検知する。運転手がアクセルを強く踏み込むと、システムが誤作動と判断。燃料の供給を約8秒間停止し、エンジンの出力を抑えて減速する。駐車時に後方の障害物を捉えて運転手に警告する機能も備える。
 販売実績は非公表。主に高齢者の需要を取り込んでいる。価格は取り付け費込みで約6万円。2018年12月に軽自動車「タント」向けに販売を始めた。「ムーヴ」や「ミラ イース」にも適用し、対象は7車種に拡大した(19年7月時点)。

建設業界のデジタルサービス基盤「ランドログ」
最優秀賞

建設業界のデジタルサービス基盤「ランドログ」

コマツ/ランドログ

 建設現場のデータをICT(情報通信技術)建機やドローンなどで集めた情報を集めるデジタルサービス基盤。同社の建機遠隔監視システム「コムトラックス」を搭載する建機は国内で約17万台で、これらの稼働時間や位置データなどを活用する。2017年にコマツがNTTドコモや独SAP、オプティムと共同で立ち上げた会社「ランドログ」で運営する。
 建設会社などの利用を想定しており、オープン化することで第三者がアプリなどのサービスを提供できる。すでにパートナーとして建機部品メーカーや保険会社、商社など60社以上が名を連ねる。給油会社向けに、給油が必要な建機を最適ルートで割り出すサービスや、データを活用し建設現場のリアルタイムの状況が分かる工期管理ソフトなどサービスも増えつつある。今後建機の稼働状況を見える化し、保険サービスに反映させるなど発展性も見込める。

カジュアル衣料品店「ワークマンプラス」
最優秀賞

カジュアル衣料品店「ワークマンプラス」

ワークマン

 アウトドアやスポーツで使えるプライベートブランド(PB=自主企画)の衣料を豊富に扱う。商品は建築作業員などが着る仕様のため、防水や防寒などの機能性も高く、冬物衣料が2900円程度と安い。ショッピングセンターなどに出店したところ、プロの作業員が中心だった顧客層が一般消費者にまで広がった。防寒衣料などの着こなしをSNSにアップする「ワークマン女子」が増え、人気に火が付いた。
 好調を受け、同社の2019年4~9月期決算は売上高に当たる営業総収入が前年同期比45%増の418億円と大幅に増えた。ワークマンプラスの店舗数は19年10月末で138。今後は既存店の改装も進め、20年3月末までに169店まで増やす。

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