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日経優秀製品・サービス賞2014

日経産業新聞賞

最優秀賞(4点)

  • 持続型耐震技術を採用した戸建て住宅「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」=大和ハウス工業
    持続型耐震技術を採用した戸建て住宅「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」=大和ハウス工業

    戸建て住宅ブランド「ジーヴォ」の最上位モデル。住宅の構造となる鉄骨をつなぐ筋交いに「Σ(シグマ)」の形状をした金具を組み込んで、地震の動きを吸収する仕組みとした。震度7クラスの地震を4回受けても、新築時と同等の耐震性能を維持できる。

    優れた耐震性能により、柱や壁を従来と比べて3割程度減らすことができ、間取りの自由度を高めた。さらに天井高も業界最高水準となる272センチメートルまで可能とし、外光を取り込んだ開放的な室内空間を実現した。消費増税の反動で住宅の着工件数が落ち込む中、富裕層の住み替え需要を取り込み、販売は目標を上回るという。

  • 軽自動車「ハスラー」=スズキ
    軽自動車「ハスラー」=スズキ

    車内が広く街乗りに適するワゴンタイプの軽自動車をベースに、オフロード走行に優れる多目的スポーツ車(SUV)の要素を組み合わせたクロスオーバー(中間)タイプ。ツートンカラーをはじめ多彩なボディーカラーを用意、丸目のライトなどデザインにこだわった。

    車内は広く、サーフィンなどにも使えるようにシートにはっ水加工を施した。車中泊やアウトドア用品を積み込む際に便利なように車体後部にコンセントやフックを備えた。燃費性能はガソリン1リットル当たり29.2キロメートル。価格は100万円台前半と若者にも手が届きやすい設定とした。

  • コンクリート構造物のひび割れ検知シート「KK クラックセンサ」=クラボウ
    コンクリート構造物のひび割れ検知シート「KK クラックセンサ」=クラボウ

    橋や高速道路などコンクリート製の建造物の表面に貼ることで、亀裂の発生を検知できるシート。半透明の繊維と黒く着色した樹脂からなり、貼り付けた部分に亀裂ができて繊維が引っ張られると、その部分の光の屈折率が変わり白く変色する。変色は20メートル先からでも確認できる。亀裂は幅0.15ミリメートルから検知可能だ。

    亀裂が発生した箇所に貼ることで、亀裂の進行具合を確認することもできる。ひび割れの拡大も変色面積の広がりで確認できる。繊維を斜めに編むことで、斜め方向の亀裂にも対応している。シートは幅2センチメートル、長さ80センチメートルで、耐用年数は10年程度。これまでに30カ所以上で採用された。

  • 希少糖含有シロップ「レアシュガースウィート」=松谷化学工業
    希少糖含有シロップ「レアシュガースウィート」=松谷化学工業

    香川大学などと共同開発した自然界にわずかしか存在しない希少糖「D―プシコース」を含むシロップ。プシコースは天然のでんぷんから作られた甘味料で、砂糖の7割の甘味度があるが、カロリーはゼロ。内臓脂肪の蓄積を抑えて肥満を防いだり、血糖値の上昇を緩やかにして糖尿病を予防したりする効果がある。

    2013年7月に香川県宇多津町に年産能力1万2000トンの工場を開設、量産化に成功した。大手食品メーカーなども砂糖の代替品として利用、供給先は約200社400品目まで広がっており、機能性表示緩和で一段の需要拡大が見込まれる。

優秀賞(11点)

  • 電子マネーサービス「auウォレット」=KDDI
    電子マネーサービス「auウォレット」=KDDI

    ポイントと電子マネーが一体となった新しい電子マネーサービス。クレジットカード型のカードで利用する。スマートフォン(スマホ)から入金できるため、いつでもどこでも入金操作が可能だ。全世界の米マスターカード加盟店、3800万店で利用できる。

    通常は利用金額200円ごとに1ポイント(1円相当)がたまる。月々の携帯電話料金の支払いでポイントがたまるほか、連携する店舗などで利用すれば通常より多くのポイントが付与される。インターネット取引だけでなく、日常的に使えるスマホ連携型の電子マネーとして使い勝手のよさが支持を集めている。

    セブン―イレブン・ジャパンをはじめとするコンビニエンスストアなどとの連携を進め、少額決済の利用開拓と店舗への送客の仕組みを確立し、実生活でも利用しやすい生活密着型の電子マネーをめざす。ポイントをためる楽しみもあることから、利用者の囲い込み効果も狙っている。

  • スマートグラス「モベリオ BT-200AV/200」=セイコーエプソン
    スマートグラス「モベリオ BT-200AV/200」=セイコーエプソン

    国内外で初めて一般向けに発売された本格的なスマートグラス。眼鏡のように頭部に装着して使うウエアラブル端末で、重さは88グラム。グラスの向こうの現実の光景に、文字や映像などのデジタル情報を重ねて表示するシースルー型だ。全地球測位システム(GPS)やジャイロなど様々なセンサーを搭載しており、拡張性に優れる。

    動画やゲームをホームシアターの3~4倍に当たる320型の大画面で楽しめる。現実とデジタル情報を重ね合わせるAR(拡張現実)機能に対応している。例えば、ゴルフ場でユーザーとピンの距離や風の強さを目の前に表示するなどの使い方が想定される。

    ビジネス向けの需要も見込む。物流現場で商品の位置を作業者に示したり、生産現場で機械の組み立て工程などを表示したり、作業効率化など向けの利用を想定する。

  • 企業向けストレージ装置「日立バーチャル・ストレージ・プラットフォーム・G1000」=日立製作所
    企業向けストレージ装置「日立バーチャル・ストレージ・プラットフォーム・G1000」=日立製作所

    企業のデータを保存するストレージ(外部記憶装置)。企業向けストレージとして世界で初めてシステムを稼働したまま装置を交換できる機能を搭載した。金融機関や通信会社など、システムを365日24時間稼働する必要がある社会インフラを担う企業のニーズは高く、消費者にとってもサービスが途絶えることなく継続して提供されることの意義は大きい。

    複数のストレージを束ねて仮想的に1台のストレージとして運用する技術を搭載した。顧客の業務システムを停止することなく装置を入れ替えられるため、ストレージに障害が生じた際もサービスを継続しながら対応できる。

    データ処理能力を従来に比べて3倍に高めた。IT(情報技術)の高度化で、ビッグデータ解析など企業が取り扱うデータ量が爆発的に増加していることに対応した。

    価格は税別1億1379万円。日立はストレージで世界2位。新製品をてこに1位を狙う。

  • デジタル一眼カメラ「α7S」=ソニー
    デジタル一眼カメラ「α7S」=ソニー

    ISO感度40万9600という超高感度を実現し、漆黒の闇でも昼間のように撮影できる。35ミリフィルムの1コマとほぼ同じ大きさの「フルサイズ」と呼ばれる大型CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーを搭載、さらに素子表面に特殊な集光レンズを配置して高感度を実現した。

    フルサイズのデジカメでは2000万画素以上がほとんどだが、あえて解像度を1220万画素に抑えることで、1画素あたりの受光量を増やして感度を上げた。フルハイビジョン(フルHD)の4倍の画素数を持つ4K出力も可能だ。

    本体想定価格は税別23万円前後。他社のミラーレス一眼デジカメの平均的な価格と比べて倍以上だが販売は好調で、当初の販売目標を40%上回る水準という。個性的な商品を特徴としてきたソニーらしい商品で、低迷が続くエレクトロニクス事業の再生に向けた試みの1つとして注目される。

  • 「ユーグレナ(ミドリムシ)食品」=ユーグレナ
    「ユーグレナ(ミドリムシ)食品」=ユーグレナ

    栄養価の高い食材として注目されるユーグレナ(ミドリムシ)を配合した食品。東京大学発ベンチャーのユーグレナが沖縄県・石垣島で安定的な大量培養に成功し提供を始めた。飲料やデザート、味噌汁、パンなど様々な食品に広がっている。

    ミドリムシは59種類の栄養素を備える。植物と動物の両方の性質を備え、植物に多いビタミンなどの栄養素を含みながら、消化吸収がしやすいという特徴がある。

    大手スーパー、イトーヨーカ堂が2014年4月、食品メーカーと共同開発したミドリムシ配合の野菜ジュースやスナック菓子など発売した。コンビニエンスストア各社とも協力して、ミドリムシを使った商品を次々と発売している。

    ユーグレナの2014年9月期の売上高は前年比約1.5倍の30億円。大部分を食品が占めており、こうしたユーグレナ食品がけん引役となったという。

  • 三輪バイク「トリシティ125」=ヤマハ発動機
    三輪バイク「トリシティ125」=ヤマハ発動機

    国内メーカーとしては初めての前輪が2つ、後輪1つの三輪バイク。排気量は125ccで、二輪車の免許で運転できる。走行安定性と斬新なデザインを訴え、「バイクは危険」といったイメージの払拭をめざす。宣伝活動にも注力し、若者や女性など新しい顧客層の開拓にも力を入れる。

    トリシティの特徴は安定性と小回りのよさ。タイヤの数を増やすことで接地面積を広げたのに加え、カーブを曲がる時に前2つの車輪が車体に連動して傾く独自構造を採用したことで、車体の傾きを滑らかに追従する。左右のサスペンションが独立しているため、石畳や小さな段差などの衝撃を細かく吸収する。

    若者の関心を引くため、宣伝にも力を入れる。CMキャラクターには元「AKB48」の大島優子さんを起用。大島さんが実際に二輪免許を取得する様子をネットで閲覧できるようにするなど、工夫を凝らした。

  • 子供向け万年筆「カクノ」=パイロットコーポレーション
    子供向け万年筆「カクノ」=パイロットコーポレーション

    小学生など向けで、万年筆の書き味を手軽に楽しめる。軸の部分は鉛筆と同じ断面が六角形で、机の上で転がりにくく持ちやすい。ペン先は強い筆圧でも使いやすい硬めのステンレス製で、笑顔のマークをあしらい、正しいペンの向きの位置が分かるようにした。 インクの色を楽しみたいという声に応えてインクが見えやすい透明な持ち手のモデルも用意した。

    価格は同社の万年筆としては最も安い1000円(税別)とした。

    美文字ブームなどで、万年筆の良さが見直されているところに、入門用として登場したこともあり、子供だけでなく大人需要も取り込んでいる。

    初年度15万本の販売目標を掲げていたが、発売1年で65万本と4倍ペースの売れ行きとなっている。

    好調な売れ行きを受け同社は約20年ぶりの規模で生産設備を拡充。14年11月からステンレス製ペン先の生産量を発売時の約2倍とした。欧米への輸出も検討している。

  • 携帯電話新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」=NTTドコモ

    国内通話の完全定額制を柱とする携帯電話の新料金プラン。世界の主要携帯会社に先駆けて2014年6月に導入し、ライバル企業も追随した。スマートフォン(スマホ)は月額2700円、従来型携帯は同2200円(ともに税抜き)で、時間や回数を気にすることなくいくらでも通話できるようにした。

    データ通信は家族単位で一定の容量のパックを購入し、家族で分け合う仕組みだ。従来、「使い残し」が無駄になり不満を抱く利用者もいたが、利用実態に合わせて最適なプランを選ぶことで通信料を節約できる。

    携帯業界では通話収入の減少が続いており、定額制で歯止めをかける狙いだ。一方、データ通信は使用量に応じた料金を課す「従量制」の色彩を強め、利用拡大が増収につながりやすくした。

    契約件数は14年10月中旬に1000万件に達し、想定を大きく上回った。当初は通話の利用が多い契約者が殺到して減収要因となったが、家族単位での囲い込みやデータ通信収入の拡大につなげたい考えだ。

  • スマートフォン「iPhone6/6プラス」=アップル
    スマートフォン「iPhone6/6プラス」=アップル

    根強い人気を誇るスマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の8代目。1世代前の「5s」は4型の液晶を搭載していたが、「6」は4.7型、「6プラス」は5.5型に拡大。迫力のある動画などを楽しめるようにした。

    基本ソフト(OS)は最新の「iOS8」を搭載し、健康関連の外部機器との連携を強化した。メッセージ機能も拡充し、新たに音声や利用者の現在地も送れる。800万画素の背面カメラは画像センサーを刷新し、よりきれいに撮影できる。高性能なスローモーション撮影や早送り再生などの機能もそろえた。

    発売から3日間の世界販売台数は1000万台を超え、過去最高を記録した。スマホでは中国の北京小米科技(シャオミ)など新興国メーカーが台頭してきたが、アップルはブランド力の高さを武器に快走を続けている。

  • カップヌードル「トムヤムクンヌードル」=日清食品
    カップヌードル「トムヤムクンヌードル」=日清食品

    同社グループのタイの現地法人が開発に協力し、エスニックな本格的な味わいを再現した。魚介ベースにココナツミルクを利かせて、濃厚な味わい。レモングラスなどを加えたさわやかなペーストを加えると、本格的な味わいになる。カップヌードルで初めて調味料を別袋でつけた。

    2014年4月の発売後、売れ行きが想定以上で約1週間で休売に追い込まれた。7月下旬に販売を再開したが、供給量の問題から関東地方などの地域限定としている。今でも販売計画の2倍の売れ行きを続ける。商品のリピート率は他商品の2.5倍と高く、過去3年間に発売されたカップヌードルの新製品に比べ、平均販売個数も2倍以上となっている。

    カップヌードルはお湯を注ぐだけで食べられる簡便性を売りにしてきたが、その特徴を捨ててまで味にこだわった。

  • 缶チューハイ「キリンチューハイ ビターズ」=キリンビール
    缶チューハイ「キリンチューハイ ビターズ」=キリンビール

    果実感などを強調する缶チューハイが多い中、「ほろ苦さ」が特徴の大人の味わいを打ち出した。20種類程度のビターリキュールを参考に、独自の味を開発、果皮やハーブから抽出したビターリキュールを使い、ほろ苦さに加えて豊かな香りや締まりのある後味を実現した。

    酒類市場では、缶から直接飲めるRTD(レディー・トゥー・ドリンク)商品の成長が続く。中でも比較的アルコールが強い商品が伸びていることから、アルコール度数は8%に設定した。味はレモンライムやグレープフルーツなど3種類をそろえた。

    テレビCMでは、ビール会社ながら「とりあえずビール」に代わり、「とりあえずチューハイ」と訴えるという、これまでにない手法を採用。「一杯目から飲めるほろ苦いチューハイ」として、ビール党を狙った。