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日経優秀製品・サービス賞2011

日経産業新聞賞

最優秀賞(5点)

  • 高級セダン「クラウン」=トヨタ自動車
    高級セダン「クラウン」=トヨタ自動車

    トヨタを代表する旗艦車種で、2012年末に全面改良した。役員専用車に使われるなど保守的イメージの強い車種だが、デザインを大胆に刷新して、鮮やかなピンク色の特別仕様車も発売。女性や若者などの関心を集め、ブランドイメージを一新した。

    ハイブリッド車(HV)では、排気量2.5リットルのエンジンと組み合わせた新システムを開発して、ガソリン1リットルあたり23.2キロメートルと燃費性能を約6割改善。価格も大幅に抑え、顧客層を拡大した。トヨタの国内生産が当初計画に比べて増える原動力となった。

  • スマートフォン「Xperia(エクスペリア)Z」=ソニーモバイルコミュニケーションズ
    スマートフォン「Xperia(エクスペリア)Z」=ソニーモバイルコミュニケーションズ

    ソニーグループの最新技術を惜しみなく注ぎ込み、「One Sony」の象徴となった商品。約5インチの大型フルハイビジョンディスプレーを採用、液晶テレビの高精細な画像表現技術をスマホ向けに改良して搭載した。最先端のCMOS(相補性金属酸化膜半導体)撮像素子でデジカメに近い画質で撮影できる。強化ガラスを背面にも採用、フラットで斬新なデザインを実現した。2013年2月に発売されると、国内でシェア1位を独走、欧州でも品薄となるほどの人気を獲得した。その先進性は後継機種「Z1」に引き継がれた。

  • 3Dプリンター「ATOMm-4000」=シーメット
    3Dプリンター「ATOMm-4000」=シーメット

    樹脂などを一層ずつ積み重ねて立体物を造形する3D(3次元)プリンターの高性能機で、数少ない国産品。3D設計データからA3判程度の大きさまでの高精度な試作品を作製できる。価格は2500万円程度と従来機より抑え、導入コストを半減させた。「光造形」方式を採用、液体樹脂にレーザー光線を照射して固める。耐熱性を備えた素材も自社で開発。実際に使われる環境とほぼ同じ条件下で試作品を試す事ができる。

  • クラウドサービス「食・農クラウドAkisai(秋彩)」=富士通
    クラウドサービス「食・農クラウドAkisai(秋彩)」=富士通

    農畜産物の生産から経営・販売まで農業経営を支援するクラウドサービス。露地栽培、施設栽培、畜産向け。肥料投与や農薬散布などの作業記録、温度などの情報を富士通のデータセンターで蓄積して分析。最適な手を打つことで生産性や収益性を高められる。食品スーパーや外食産業、食品メーカーなど、農産物の買い手向けサービスも用意。契約農家の生育状況や収穫量の予想などを一元的に把握、調達計画を立てやすくなる。大がかりなシステム構築は要らず、パソコンやスマートフォン(スマホ)、タブレット(多機能携帯端末)で利用できる。

  • 「LNGタンク用7%ニッケル鋼板」=新日鉄住金
    「LNGタンク用7%ニッケル鋼板」=新日鉄住金

    セ氏マイナス162度の極低温で保存する液化天然ガス(LNG)のタンクには、高い強度が求められる。これまで半世紀にわたり、9%のニッケルを添加した鋼板が主に使われてきたが、高価なニッケルの使用量を7%に抑えながら従来品と同様の性能を確保した。鋼板の圧延方法や圧延後の冷却方法を工夫することで、鋼板の中の結晶粒を微細化。ニッケル使用量を減らしながら強度を高めることに成功した。

優秀賞(9点)

  • 4K液晶テレビ=ソニー、東芝、シャープ、パナソニック
    4K液晶テレビ=ソニー、東芝、シャープ、パナソニック

    フルハイビジョンの約4倍の解像度を持つ「4K」対応の液晶テレビ。4K放送は始まっていないため、各社ともフルハイビジョン映像などを4Kレベルまで引き上げる機能を搭載しており、これまで画質の粗さが目立つこともあった50型以上の大型機種で人気を集めている。

    ソニーの「ブラビア X9200A」は4Kテレビ市場を盛り上げる起爆剤。ソニーは自社の4Kカメラで映画などを撮影しており、データベース型の超解像エンジンでフルハイビジョン映像を4K並みまで引き上げる。東芝の「レグザ Z8X」は大容量コンテンツをクラウドで管理できる機能を備えた。

    シャープの「アクオス UD1」は光が反射しにくいパネルで高精細映像をより際立たせる。パナソニックの「スマートビエラ WT600」はインターネットに接続してネットで公開されている4K動画を手軽に楽しめるようにした。

  • 揚げ物調理器「ノンフライヤー」=フィリップスエレクトロニクスジャパン
    揚げ物調理器「ノンフライヤー」=フィリップスエレクトロニクスジャパン

    フィリップスが日本の調理家電市場への再参入第1弾に選んだ製品で、油を使わずに揚げ物をつくれる。4月に発売すると、健康志向な消費者の心を捉えて当初は品薄状態が続いた。販売目標も発売当初の4倍の20万台に引き上げた。小麦粉をまぶした肉などの材料を入れると熱風で食材の外側はサクッと、中はしっとり仕上げる。

    世界で100万台以上を販売している製品だが、日本導入に当たっては慎重にマーケティング調査を重ねた。名前も「エアーフライヤー」から「ノンフライヤー」に変え、油を使わないという製品の特徴を明確にした。

  • 圧電フィルムスピーカー「スマートソニックサウンド」=京セラ
    圧電フィルムスピーカー「スマートソニックサウンド」=京セラ

    世界最薄のスピーカー。電気を加えると伸びたり縮んだりする圧電セラミック素子を発音機器として利用した。コイルに磁石を巻いてコーンと呼ぶ振動板を前後に震えさせて音を出している従来品に比べ、厚みを40~20分の1の1ミリメートル、重さを20分の1の7グラムに小型化した。サイズも縦3.5ミリメートル、横6.5ミリメートルと小さい。

    圧電スピーカーはブザーやイヤホンに使われるが、音が小さいことが課題。そこで素子の薄膜を6~8層に重ね、柔らかい透明な樹脂フィルムで覆ってコーティングした。フィルムは金属より共鳴しやすく、音を増幅させて音圧を高めた。また波打つように振動させ、正面にいなくても聞きやすくした。韓国のLG電子が4月に発売した厚さ4ミリメートルの有機ELテレビに採用している。

  • 「フィルム製タッチパネル」=日本写真印刷
    「フィルム製タッチパネル」=日本写真印刷

    スマートフォン(スマホ)やタブレット端末に使う樹脂フィルム製のタッチパネルセンサーで、米大手メーカーが採用した。スマホのタッチパネルはガラス基板が主流だが、日本写真印刷は軽い樹脂製を開発した。もともと樹脂製が得意だったが、スマホ人気でガラス製が主流となり、3期連続の赤字に陥っていた。復活を懸けて開発したのが今回の製品だ。

    フィルムは軽くて割れないが、カバーガラスと重ねると光の屈折率が変わり液晶が見にくくなる問題があった。そこで屈折率がガラスに近いフィルムを開発。またセンサー回路を半導体製造で使われるフォトリソ工法で形成し、パネル外縁のセンサーをガラス並みに細くし、額縁を小さくして画面を大きくしたことがメーカーに評価され、採用に結びついた。

  • 缶詰「『スルッとふた』シリーズ」=日本水産
    缶詰「『スルッとふた』シリーズ」=日本水産

    若者を中心に魚食離れが進むなか、シニア需要を取り込もうとシール形式の上蓋をサバの缶詰にいち早く取り入れた。アルミ缶の上蓋を、薄くて柔らかいフィルム状に改良。力の弱くなった高齢者でもシールをはがす感覚で開封できる。

    従来のスチール製プルトップに比べ、3分の1の力で開けられる。ふたの縁や開け口もなめらかで、けがをする恐れが小さいため、子供がいる家庭にも人気という。

    中身には青森県八戸港で水揚げされたサバを使用。「水煮」「みそ煮」のほか、しょうゆと砂糖で味付けした「味付」の3つの味を展開。新商品としてサケ缶も出した。

  • 「日立テレマティクスデータ加工配信サービス」=日立製作所
    クラウドサービス「日立テレマティクスデータ加工配信サービス」=日立製作所

    自動車の走行情報などを収集・蓄積し、膨大な情報「ビッグデータ」として分析、企業向けに提供する。第1弾として日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」から集めたデータを基に損保ジャパンが自動車保険の開発に活用している。

    走行履歴や位置情報、電池残量などの情報を、車載通信システムで収集する。ユーザーの承諾を得てデータセンターに蓄積、分析結果をネットワークを介して損保ジャパンに提供する仕組みだ。

    損保ジャパンは走行距離などの情報を基に保険料を変動させる新商品を開発する。「下手な運転だと保険料が高くなる」ような自動車保険が登場するかもしれない。急速な伸長が予測されるビッグデータ関連サービス市場で、実際に商品開発に役立ててもらう具体的なモデルを提示した。

  • 音声認識・自動応答ソフト「しゃべってコンシェル」=NTTドコモ
    音声認識・自動応答ソフト「しゃべってコンシェル」=NTTドコモ

    利用者がスマートフォン(スマホ)に話しかけた内容を認識し、求められた機能を呼び出したり、情報を調べて返答したりする。例えば「東京駅に行きたい」と話すと、最寄り駅からの経路を表示する。認識する単語は約100万語に達する。

    スマホと携帯電話網でつながっているクラウド側で、音声認識や意図の解釈などの複雑な処理を瞬時に行い、スマホにアプリ(応用ソフト)の起動などを指示する。クラウドは学習機能を備え、利用が増えるほど利用者の言葉をより正しく理解するようになる。

    2012年3月の提供開始後、延べ1650万人がダウンロードし利用回数は5億4千万回に上る。13年11月には米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」でも使えるようにした。

  • ディーゼルエンジン制御支援システム「i―ART」=デンソー
    ディーゼルエンジン制御支援システム「i―ART」=デンソー

    ディーゼルエンジンに搭載、車両の走行状態に応じて、有害物質などの発生を抑えられるように最適な燃料の量を判断して燃焼室に噴射する。

    燃料を噴射する「インジェクター」に超小型センサーを配置。このセンサーとコンピューターが、10万分の1秒の単位で燃料噴射のタイミングや量を調整する。

    ディーゼル車はガソリンに比べて安価な軽油を燃料とし、燃焼効率の高さから二酸化炭素(CO2)発生量も少ない。半面、大気汚染や騒音、振動などが課題となっていた。こうした問題を解決する「クリーンディーゼル」が再び注目を集めており、市場拡大に伴い需要増も見込まれる。

  • HEMSの中核機器「AiSEG」=パナソニック
    HEMSの中核機器「AiSEG」=パナソニック

    省エネ住宅で家電などの消費電力を自動制御する家庭内エネルギー制御システム(HEMS)の中核となる装置。他社に先駆けて2012年10月に発売し、HEMS普及に貢献した。13年度に1万台の販売を目標としていたが、発売から1年で4万台に達した。

    家庭内のエネルギー消費量、太陽電池の発電量、外部からの電力購入量などをリアルタイムでモニター画面に表示。電気をたくさん使う時間帯はIHクッキングヒーターの火力を自動的に抑制する。天気予報や直近7日間の電力使用状況をもとに、最適なタイミングでエコキュート(電気給湯器)を動かす。

    現在制御できる機器はパナソニック製品のみ。国内家電メーカーなどの団体が策定したHEMS向け通信規格「エコーネット・ライト」に対応しており、他社の機器とつなげることも検討している。