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日経優秀製品・サービス賞2011

日経産業新聞賞

最優秀賞(5点)

  • 軽自動車「ワゴンR」=スズキ
    軽自動車「ワゴンR」=スズキ

    ワゴンタイプの軽自動車で、1993年の発売以来定番となっている人気車種の5代目。燃費性能は1リットル当たり28.8キロメートルと同タイプとして最高水準(発表当時)を実現した。

    高張力鋼板を使うなど軽量化を進め、最大70キログラム軽くした。減速時のエネルギーを蓄電して利用する「エネチャージ」や、時速13キロメートル以下になると自動でエンジンを停止する新型のアイドリングストップ機構を搭載。最先端の電装部品を使った。室内長を5%長くして足元を広くするなど居住性を高めた。ルーフ部分を後部に向かって高くする独自のデザインは初代モデルから引き継いだ。発売直後の12年9月の販売は2万1000台と目標の月間約1万6000台を上回った。

  • 液晶パネル「IGZO」=シャープ
    液晶パネル「IGZO」=シャープ

    インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)の酸化物(O)を薄膜トランジスタの材料にした液晶パネル。静止画の表示中は電力をほとんど使わないで画像を維持する「休止駆動」が特徴。パネルの消費電力は従来品よりも8~9割少なくなるとされる。携帯端末ではタッチパネルの反応が鋭敏になる利点もある。

    韓国サムスン電子など海外勢との開発競争が激しくなるなか、シャープが世界で初めて量産技術を確立した。12年4月から亀山第2工場(三重県亀山市)で本格量産を始めた。昨年はNTTドコモの最新スマートフォン(スマホ)などに採用された。ノートパソコンなどにも用途が広がりつつあり、経営再建の切り札に据えている。

  • 撮像素子「裏面照射型CMOSイメージセンサー」=ソニー
    撮像素子「裏面照射型CMOSイメージセンサー」=ソニー

    「電子の目」と呼ばれるCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサーの性能を大幅に向上させた。CCD(電荷結合素子)で世界首位だった同社は08年に従来型の2倍の高感度の裏面照射型を発売。次世代のCMOSセンサーでも世界トップを争う。

    半導体を極薄に切断する技術を使い、センサー構造の上下をひっくり返した。受光部分をレンズの近くに置き、暗所でも鮮明な画像を撮影する。画像のばらつきを起こすノイズを抑える技術で競合他社に先行。12年には画像処理半導体を別チップにして、センサーと積層する独自技術を開発。高性能のまま、センサー面積を従来比3~4割小型化した。解析ソフトウエアと組み合わせる肌状態解析技術も開発し、美容など新規分野を開拓する。

  • 注射針「ナノパスニードルⅡ」=テルモ、岡野工業
    注射針「ナノパスニードルⅡ」=テルモ、岡野工業

    糖尿病治療のためのインスリンや、成長ホルモンなどの注射に使う。05年に発売し「痛くない注射針」と話題になった世界で最も細い注射針の改良版。針の太さを前モデルの0.2ミリメートルより1割細い0.18ミリメートルとし、他社製品に水をあけた。

    金属加工会社の岡野工業(東京・墨田)がステンレス板を丸め、テルモが針先などを加工する。一般的に針が細くなるほど注入液の流れが悪くなり、押し出すのに力が要るが、根元を太く針先を細くする構造にして大きな力をかけなくてもよくした。皮膚の痛みを感じる点を避けて注射できるので、痛みを感じにくい。糖尿病患者は日々、インスリンを自分で注射する。注射の痛みに対する肉体的、心理的な負担を軽減する効果がある。

  • 斜面防災工法「ノンフレーム工法・軽量版」=日鉄住金建材
    斜面防災工法「ノンフレーム工法・軽量版」=日鉄住金建材

    土砂災害防止工事で、鋼のワイヤなどを使う工法。斜面にロックボルトという鋼製のボルトを3~5メートル打ち込み、地表に出た頭部を「支圧板」と呼ぶ鋼板で固定。支圧板同士をワイヤで網の目状に結んで地表を押さえつける。木の根が地中で土砂を保持する役割を果たしている点に着目し、地中深くまでボルトを打ち込むことで土砂を押さえつけられるようにした。

    ワイヤを張り巡らせるために一部の木を伐採するだけで済むため、これまで主流だった斜面全体をコンクリートで覆う工法に比べて樹木や森林の保全、景観の保護に役立つ。12年4月に支圧板を24%軽量化した「軽量版」を発売、工費を最大で1平方メートル当たり1000円削減でき、見込みを含む受注は11年比5割増えた。

優秀賞(17点)

  • 家庭用燃料電池「エネファーム(SOFC型)」=JX日鉱日石エネルギー
    家庭用燃料電池「エネファーム(SOFC型)」=JX日鉱日石エネルギー

    日本が09年に世界で初めて商用化した家庭用燃料電池「エネファーム」の、発電効率が高くコンパクトな新型機。「固体酸化物型燃料電池(SOFC)」と呼ばれ、家庭の省エネにも役立つ。4人家族が家庭で使用する電気の7割をまかなえるという。投入エネルギーから電気を得られる比率を示す発電効率は従来の「固体高分子型燃料電池(PEFC)」に比べ8ポイント高い45%。

    24時間作動する特長を生かし「ベース電源」として使える。太陽光発電システムと併用すると太陽光による余剰電力の売電分を増やせる。1台270万円前後と割高なのが課題。将来は消費者負担が100万円を切る水準を目指す。

  • 「植物育成用LED照明」=昭和電工
    「植物育成用LED照明」=昭和電工

    赤色と青色の発光ダイオード(LED)照明を一定の光量と間隔で照射することで、植物工場など閉鎖空間の水耕栽培の野菜・果物の成長を大幅に早める。山口大学の研究グループとの共同開発技術を活用した。レタスやミズナなどの葉物の場合、蛍光灯による照射に比べ収穫量が2倍以上増加。石油に近い油を生成しバイオ燃料への活用が期待される藻類の促成栽培にも向いている。

    植物工場の作付面積1平方メートル当たり200円以下の年間利用料で技術をライセンス供与する。鉄道高架下を植物工場にしたい電鉄会社や広大な遊休土地を有効活用したい海外企業など複数社と契約を結んでおり、13年に売上高20億円、14年に同50億円超を見込む。

  • 防炎段ボール「RAFEP(ラフェップ)」=レンゴー
    防炎段ボール「RAFEP(ラフェップ)」=レンゴー

    表面の白板紙などに防炎剤を塗布しており、2分間バーナーで火を当てても周辺が焦げるだけで燃え広がらない。防炎剤は有害物質の出ないリン窒素系を使い、従来の段ボール同様100%リサイクルも可能。表面にはカラー印刷もできる。特殊加工が不要で既存の設備で生産できるので、生産コストも抑えられる。

    高さ90センチメートルで2畳分の空間ができるパネルと固定具を1セットとして販売する。価格は1万2600円。二次災害防止用に避難所の間仕切りや簡易更衣室向けとして自治体の関心が高まっている。住宅用の断熱剤や自動車部材、家具など様々な用途での利用を見込む。

  • 衣料用洗剤「トップHYGIA(ハイジア)」=ライオン
    衣料用洗剤「トップHYGIA(ハイジア)」=ライオン

    洗うたびに衣料の抗菌力が高まり、服に付いた菌の増殖と臭いの発生を防ぐ「予防発想」を打ち出した。同社調べで衣料用洗剤に対して9割の人が「菌をしっかり落とす」「菌の増殖を防ぐ」機能を求めたことに対応し開発した。

    洗濯すると衣料の繊維表面に付着して抗菌性能を発揮する「プラスイオン抗菌成分」を配合した。タオルや肌着など使用中に湿気を帯びる衣料では、洗濯までの間に菌が増殖することに着目。菌の栄養となるタンパク汚れをしっかり落とす洗浄技術を生かした独自の抗菌技術を開発した。

  • カクテル・チューハイ風味飲料「のんある気分」=サントリーホールディングス
    カクテル・チューハイ風味飲料「のんある気分」=サントリーホールディングス

    アルコール度数ゼロの清涼飲料だが、味や香りを調合する技術で独特の苦みや風味を出し、酒らしい味わいに仕上げた。「カシスオレンジテイスト」「ソルティドッグテイスト」などをそろえる。

    休肝日を設けたい人や昼食時に飲酒の気分を楽しみたい人のほか、カロリーと糖類もゼロという特徴から、体形を気にする男女に好評。主力3商品に加え次々と新商品や期間限定商品を発売。新しい味を求める消費者を飽きさせない商品戦略も奏功している。

  • チューインガム「ZEUS(ゼウス)」=ロッテ
    チューインガム「ZEUS(ゼウス)」=ロッテ

    ガムの中心購買層は30~50代だが、20代男性に対象を絞り、刺激と爽快感のある味を強調した。味は3種類。「サンダースパーク」は舌を刺激する成分を含んだソフトキャンディーをガムで挟み3層構造にした。舌を刺激した後にはミント味のガムが爽快感を出す。

    12年9月に発売した「オーロラカーテン」はかむうちに果物やミントの香りと味が変化する。同4月発売の「スノーストーム」と合わせ、新味を追加している。

  • 映像制作機器「シネマEOSシステム」=キヤノン
    映像制作機器「シネマEOSシステム」=キヤノン

    デジタル一眼レフカメラ「EOS(イオス)」の技術を基に開発した業務用ビデオカメラシステム。米ハリウッドなどの映画業界をはじめ、テレビの報道やドキュメンタリーといった分野を開拓している。専用レンズに加え、EOS用の交換レンズも装着可能。一眼レフの強みである小型・軽量で取り回しやすい本体や、暗所での高感度撮影機能が特徴。既存の映画用カメラにはない多彩な映像表現ができる。

    1号機の「C300」は米国市場でシェアを伸ばし、フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ4K映像に対応した「C500」や、より小型・軽量な「C100」など品ぞろえも広げている。今後は交換レンズやアクセサリー、保守運営サービスも順次強化していく。

  • スマホ連動白物家電「スマート家電」=パナソニック
    スマホ連動白物家電「スマート家電」=パナソニック

    専用アプリ(応用ソフト)をインストールしたスマホを使い、これまでと違った白物家電の使い方ができる。外出先から遠隔操作で電源を切れるエアコンや、洗剤・柔軟剤の最適量を表示して節水・節約につなげる洗濯乾燥機など8製品をそろえた。

    同社サーバーを介して情報を共有する機能もある。冷蔵庫では、料理のレシピを検索して足りない材料を選び「お買い物メモ」として家族にメールで送信することが可能。体組成計や活動量計は、指定した家族や友人に測定データを見せる機能を搭載。交流サイト(SNS)機能を使ってダイエット情報を共有するなど、ネットとの連携を生かした使い方を提案している。

  • 圧力IH炊飯ジャー「『極め炊き』南部鉄器 極め羽釜」=象印マホービン
    圧力IH炊飯ジャー「『極め炊き』南部鉄器 極め羽釜」=象印マホービン

    伝統工芸品である南部鉄器を内釜に採用した。鉄はアルミやステンレスに比べ発熱効率が高い一方、さびやすいのが難点だった。岩手県内の協力工場と共同で防さび加工を施し、業界に先駆けて鉄製の内釜の製品化にこぎつけた。

    形状にも知恵を絞った。周囲につばのある羽釜(はがま)を採用し、内部に均等に熱が伝わるよう工夫。かまどの炎が高火力で炊き上げるように甘みのあるふっくらとしたご飯に仕上げる。12年9月に発売した最新機種「NP―ST10」は保温したご飯のおいしさを保つ2重内蓋や短時間で炊飯するメニューを搭載。13万6500円と高額ながら、消費者の内食志向で売れている。

  • 食品放射能検査システム「NMU2」=富士電機
    食品放射能検査システム「NMU2」=富士電機

    コメ1袋(30キログラム)に含まれる放射性セシウムを従来の6倍の最速10秒で測定できる。コメを袋ごとベルトコンベヤーに乗せ、測定物の大きさや重量を入力するだけで簡単に検査できる。放射線検査装置の多くは2000万円前後と高額だったが、半分以上安くした。

    福島県がコメの全量検査を始めるのに合わせて開発。測定の精度とスピードの両方を兼ね備えた装置として、自治体をはじめ流通・食品大手のニーズをつかんだ。福島第1原子力発電所の事故後、食品などに含まれる放射性物質を検査するニーズが高まった。同社はさらに測定の速度を高めた新型機種も開発中だ。

  • 軽自動車「N BOX(エヌボックス)」=ホンダ
    軽自動車「N BOX(エヌボックス)」=ホンダ

    背高ワゴンといわれるタイプの軽自動車。通常、車体後部にある燃料タンクを前席下に配置する独自構造「センタータンクレイアウト」を採用。ミニバン並みの室内空間を実現し、荷室に自転車を楽に積み込めるなど使い勝手を良くした。

    派生車種として後部床面を斜めにできる「N BOX+(エヌボックスプラス)」を追加。開口部の高さを地上33センチメートルに抑え、アルミスロープを設置して大型の家電を積み込んだり、車いす仕様車に変更したりできる。

  • 無料通話アプリ「LINE(ライン)」=NHNジャパン
    無料通話アプリ「LINE(ライン)」=NHNジャパン

    スマホ専用アプリで、互いに「友だち」として認証し合うと無料で通話やメールをやりとりできる。データ通信回線で音声を交換する「VoIP」技術を活用。互いの契約先の携帯電話会社が違っていたり、住む国が異なっていたりしても無料で利用できる。

    スマホの高精細な画面を生かして「スタンプ」と呼ぶ大きめの絵文字を多数そろえ、一部は有料にした。12年夏には「ラインチャンネル」と呼ぶゲームや占い、クーポンなどのコンテンツ配信機能や、ラインに投稿した文章や写真などを保存できるタイムライン機能なども追加。利用者数は12年12月中旬までに8500万人に達した。

  • ソーラーGPS腕時計「セイコーアストロン」=セイコーウオッチ
    ソーラーGPS腕時計「セイコーアストロン」=セイコーウオッチ

    世界で初めて全地球測位システム(GPS)を搭載した太陽光発電式腕時計。世界中どこでも正確に時刻を表示する。腕時計のボタンを押すとGPS衛星と通信し、現在いる場所を特定。30秒程度で現地時刻に合わせる。

    電波時計と異なり、電波による標準時刻が届かないエリアでも時刻を高精度に受信できる。これまでGPS通信は電力の消耗が大きく、充電できない腕時計への搭載は難しいとされてきた。グループ会社のセイコーエプソンが開発した電力消費の少ない通信部品を、腕時計に搭載できるように消費電力を5分の1に削減するなど先進技術を駆使して商品化した。

  • ギプス「オプティキュアスプリント」=アルケア
    ギプス「オプティキュアスプリント」=アルケア

    光を当てるだけで硬化し、骨折などの患部を固定するギプス。ギプスは水で硬化するタイプが主流だが、水がなくても利用でき、東日本大震災の被災地でも重宝された。光硬化性樹脂の成分が連鎖的に反応するよう設計した。

    通常の水を使うギプスは固まるまで数十分かかるが、光を数十秒当てるだけで済むため、円滑な診察・処置にも役立つ。光を当てるまで固まらないので時間をかけて成形できるうえ、患者は水ぬれによる蒸れた感じが少なく冬でも冷たく感じる心配がない。

  • 横移動車いす「サイドウェイ」=フランスベッド
    横移動車いす「サイドウェイ」=フランスベッド

    左右や斜め方向にも移動できる自走式の車いす。座席の脇のレバーを引き上げると両脇の大きな車輪が浮き、進行方向に合わせて車輪の向きが回転する補助輪が出て全方向に動ける。小回りが利き、何度も切り返す必要がないため、トイレやエレベーター内の狭い場所でも座ったまま楽に移動できる。

    大きな車輪は簡単に取り外せるので、車椅子をベッドに密着させベッドに移れる。価格は22万円(非課税)。レンタル料金は1カ月8000円で、介護保険の適用で800円となる。利用者の反応も上々で、販売台数とレンタルの延べ台数の合計は初年度の目標を20%程度上回っている。

  • リチウムイオン電池「パワーイレ・プラス」=エリーパワー
    リチウムイオン電池「パワーイレ・プラス」=エリーパワー

    大手電機メーカーに先行して開発・販売した家庭用蓄電池。停電など非常時でも家電製品に電力を供給できる。普段は太陽光パネルでつくった電気を蓄え夜間に利用、割安な深夜電力をためて昼間に使うといった使い方ができる。

    リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、安全性の確保が課題。このため電池の電極材に難燃性のリン酸鉄リチウムを採用し、安全性を高めて商品化した。電池の容量は2.5キロワット時。非常時は、発光ダイオード(LED)照明であれば約18時間、液晶テレビは約6時間使える。

  • LNG船「さやえんどう」=三菱重工業
    LNG船「さやえんどう」=三菱重工業

    液化天然ガス(LNG)を収める球形タンクにカバーをつけて船体強度を高め、進行方向からの風の抵抗も抑える。日本勢が得意とする球形タンク型のLNG運搬船の進化形で、「さやえんどう」はタンクを豆、連続カバーをさやに見立てた。

    LNG船はモス型と呼ばれる球形タンクの船とメンブレンと呼ばれる角形タンクの船がある。さやえんどうは揺れに強いモス型で、タンクカバーが船体を補強することで鋼材の量も抑えた。氷による衝撃にも強いという。エンジンシステムなども改良し、燃費を25%程度改善。燃費性能の高さをアピールする。

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