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日経優秀製品・サービス賞2010

日経産業新聞賞

最優秀賞(5点)

  • 3D対応ビデオカメラ「HDC―TM750/650」=パナソニック
    3D対応ビデオカメラ「HDC―TM750/650」=パナソニック
    好みの動画を3D撮影

    3Dコンテンツが不足するなか、対応映像を家庭で手軽に録画・再生する用途を提案する。2D映像をフルハイビジョンで撮る2機種に別売3Dレンズを付けて使う。ハイビジョン録画規格「AVCHD」に対応した3D映像で記録するため、ディスクを複製して他社の録画再生機でも再生できる。

  • 4原色技術搭載の液晶テレビ「アクオス クアトロン」=シャープ
    4原色技術搭載の液晶テレビ「アクオス クアトロン」=シャープ
    4原色、実物の色に近く

    画面の様々な色を作る基になる画素に、通常の赤・緑・青に加え黄を使う「4原色」技術を採用。空の鮮やかな青や金管楽器の黄金色などを実物に近い色で再現できる。光の透過率が上がり画面の明るさも約2割向上した。高級機種を中心に採用しており、サイズは40~60型。2011年度は国内向け40型以上は全部クアトロンにする。

  • 超小型マイクロ波通信システム「アイパソリンク」=NEC
    超小型マイクロ波通信システム「アイパソリンク」=NEC
    携帯電話網、安価に構築

    携帯電話の基地局間をマイクロ波でつなぐ通信装置の新製品。日本などでは基地局間を光ファイバーでつなぐが、より迅速・低コストで基地局網を構築可能。従来品同様、新興国を軸に普及をめざす。耐久性に優れ、伝送速度も従来の4倍の最大毎秒800メガ(メガは100万)ビット。1台で第2世代、第3世代、次世代携帯電話「LTE」の3方式に対応する。

  • 産業用ロボット「ゲンコツ・ロボット シリーズ」=ファナック
    産業用ロボット「ゲンコツ・ロボット シリーズ」=ファナック
    軽作業に用途拡大

    食品の包装や電子機器の組み立てなど、軽作業での導入をにらんだ。人が手首をひねるような複雑な動きができ、細い腕を素早く動かしてチョコレートを箱に詰めたり基板を組み立てたりする。ヒトの肩幅と同等サイズの「1号」、6キログラムまでの物体を運べる「3号」がある。自動車の溶接や塗装に偏りがちだったロボットの使い道を様々な産業に広げる戦略商品だ。

  • ステンレス鋼板「NSSC FW1(フォワード・ワン)」=新日鉄住金ステンレス
    ステンレス鋼板「NSSC FW1(フォワード・ワン)」=新日鉄住金ステンレス
    すず添加し耐食性向上

    世界で初めてすずを約0.1%添加しレアメタルの一種で価格が乱高下するクロムの添加量を23%減らした。鋼材価格の変動を抑え需要家の調達コストも安定させる。すずがサビを防ぐ鋼板表面の薄膜の強度を高め耐食性も向上。加工性も高まり複雑な形状も成型しやすい。2010年末に「FW2」も発売。すず使用率を0.3%としクロムとニッケルの添加量を合計4割減らした。

優秀賞(12点)

  • LED電球「ミニクリプトン形5.4ワット LDA5N―E17」=東芝ライテック
    LED電球「ミニクリプトン形5.4ワット LDA5N―E17」=東芝ライテック

    省エネ性能を示す発光効率で、業界最高の「1ワット当たり102ルーメン」を実現した。LEDは省エネとされるが、蛍光灯には100ルーメン/ワットを超えるものもある。照明各社が激しく技術開発を競うなか、1つの大きなハードルだった1ワット当たり100ルーメンの大台を実用レベルで初めて突破した。

    技術的には達成可能だったが、東芝ライテックは放熱設計や回路を見直すことでコストを抑えつつ、明るさと小型の口金「E17」のサイズを両立させた。廊下や玄関など家庭で幅広く使われているミニクリプトン電球の代替を狙っている。

  • 中国市場向けコンバイン「PRO688Q」=クボタ
    中国市場向けコンバイン「PRO688Q」=クボタ

    農業の機械化が進む中国市場向けに開発したコンバイン(稲刈り機)。小麦、コメ(インディカ米)、菜種、それぞれの収穫にアタッチメントの交換で対応できる。

    現地では収穫作業は専門の業者が請け負うケースが大半。コメだけでなく小麦や菜種といった主要作物に対応できる農機の需要が大きく、2010年に投入を始めた。

    複数の作物を収穫できる機種はタイでも07年から販売している。中国ではタイ(初年度500台)を上回る初年度700台の販売を計画したが、すでに完売のメドが立ったという。

    クボタは日本で主流のジャポニカ米対応の機種で世界でも高いシェアを持つが、収穫規模ではインディカ米や小麦が上。今後は畑作を含め、現地の作物に応じた専用機の比率を高めていく。

  • マッサージ器「トルトン」=山善
    マッサージ器「トルトン」=山善

    逆U字型をした電動肩たたき機。肩にかついで使うタイプで、誰かにトントンとたたいてもらっているような感覚が味わえる。両手を使わずにマッサージができるため、家事やパソコン操作などほかの作業をしながらでも使える。たたき心地の向上を狙い、本体は3.6キログラムとあえて重めにした。両端の取っ手を持って背中に回せば、背中全体のマッサージもできる。たたく強さは強・弱の2種類で、使い方次第で腰や太ももなどのマッサージも可能。女性の需要を開拓するため、本体色はベージュとピンクを用意した。使いすぎを防ぐため、最長15分で止まるタイマーも付けた。

  • デジタル複合機「イメージランナー・アドバンス」=キヤノン
    デジタル複合機「イメージランナー・アドバンス」=キヤノン

    約9年ぶりに全面刷新したキヤノンのデジタル複合機の主力シリーズ。ファイルサーバーを新たに搭載し、ネットワークを通じたパソコンとの連携やIT(情報技術)サービスへの対応力も高めた。新しい複合機のあり方を追求し、オフィスの情報処理の中核機器を目指して開発した。

    大企業の基幹系システムと連携しやすいソフトウエアを開発できるSDK(ソフト開発キット)を用意した。米マイクロソフトや独SAP、米アドビシステムズとの提携関係も強化。協力企業のソフトの技術進化を早く反映し業務効率を上げられる。インターネットでソフトを提供するクラウドコンピューティングを活用し、ネット経由で顧客企業が欲しいソフトも素早く提供できる。

  • 携帯型無線LANルーター「ポケットWiFi(D25HW)」=イー・モバイル
    携帯型無線LANルーター「ポケットWiFi(D25HW)」=イー・モバイル

    ノートパソコンや携帯型ゲーム機など無線LAN(構内情報通信網)の通信機能を搭載した端末から、どこでもインターネットに接続できる。無線LAN経由で受け取った通信情報を、イー・モバイルの携帯電話回線に中継して実現する。

    携帯電話大手に先駆けて商品化し、新ジャンルを切り開いた。現在も米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」などとの併用を提案し、販売は好調を維持している。小型・軽量で持ち運びやすく、1回の充電で約4時間通信できる。無線LAN経由で同時に接続できる機器数は最大5台まで。中国・華為技術製。

  • 新高速鉄道「成田スカイアクセス」=京成電鉄
    新高速鉄道「成田スカイアクセス」=京成電鉄

    2010年7月に開業した東京都心と成田空港を最短36分で結ぶ京成電鉄の新路線。それまで千葉県船橋市などを経由していた同社の特急「スカイライナー」と比べ、所要時間は15分短縮した。

    同路線には、在来線で最も速い時速160キロメートルで走行する新型「スカイライナー」を投入。車両は有名デザイナーの山本寛斎氏がデザインし、白と青のスマートな外観で注目を集めている。座席の幅を従来より広くしたほか座席にコンセントを設け、中国語や韓国語など4カ国語で車内案内をするなどビジネスパーソンや外国人観光客を意識している。

  • 環境配慮型二世帯住宅「xevo YU(ジーヴォ・ユウ)」=大和ハウス工業
    環境配慮型二世帯住宅「xevo YU(ジーヴォ・ユウ)」=大和ハウス工業

    戸建て住宅ブランド「xevo」の二世帯タイプ。「YU」は融通・融合を表す。家の間取りを手軽に変えられ、1つの家に同居する家族構成や年代、ライフサイクルに柔軟に対応可能。大人数で住むことでエネルギー効率を高めるなど、環境配慮にもうまくつなげた。

    切り妻屋根の面積を従来より広げて大容量太陽光発電システムを搭載できるようにし、使用エネルギー量と発電分の通算でゼロになる「ネット・ゼロ・エネルギーハウス」を実現。効率の高い給湯器や外張り断熱などの効果もあり、二酸化炭素(CO2)排出量を減らしながら年間の光熱費は売電で十数万円のプラスが出るとしている。

    核家族化の進展で、子供のいる世帯が二世帯住宅へ移行したいという潜在需要は大きそうだ。

  • 電動バイク「EC―03」=ヤマハ発動機
    電動バイク「EC―03」=ヤマハ発動機

    スクーター型で、排気量50ccクラスの「原付き1種」に相当する。三洋電機の小型リチウムイオン電池を搭載し、専用の充電器を使えば家庭用電源で充電できる。1回のフル充電で連続43キロメートル走れる。後輪に組み込んだモーターで駆動し、最高出力は1.9馬力。静かで力強い加速が特長だ。

    ノートパソコンなどに使う民生用の円筒型電池を複数組み合わせて搭載し、希望小売価格を25万2000円と20万円台に抑えた。ホイールやフレームにアルミを使用。車体重量は56キログラムと同クラスのガソリン車より約3割軽い。9月の発売から2カ月で年間販売計画分にあたる1000台を受注。2011年から欧州や台湾に販売地域を広げる。

  • 小型超音波画像診断装置「ファゾーンCB」=富士フイルム
    小型超音波画像診断装置「ファゾーンCB」=富士フイルム

    往診や在宅医療、災害時など様々な用途を見込める。高画質化する処理技術を搭載しており、12インチモニターで見やすくフル画面表示できる。既存の据え置き型とほぼ同等の機能を持たせたが、重さは約4キログラムと女性医師でも持ち運び可能なサイズ。医療機器らしくない形状や質感、直感的に使いやすいデザインも特徴だ。丸みを帯びた形状で、パール塗装も施して清潔感や高級感を演出している。税別価格は3900万円だが、一つの病院が複数の部署で採用するなど販売は堅調という。

    操作パネルは手前を白、後方を黒に色分けした。手前は利用頻度の高い基本機能のボタンを大きめにして配置。高度な機能は後方にタッチパネルとして配置している。前後の色分けや、大きいボタンとタッチパネルの使い分けにより、直感的な操作がしやすいように仕上げた。医師が右手に探触子を持ち、モニターを見ながら左手で操作することが容易になる。

  • 男性用発毛剤「リアップX5」=大正製薬
    男性用発毛剤「リアップX5」=大正製薬

    ドラッグストアなどで買える一般用医薬品(大衆薬)。発毛効果を期待する有効成分「ミノキシジル」を国内メーカーの育毛剤で初めて5%配合。有効成分の濃度を既存の「リアップ」シリーズの5倍に高めた。

    大正製薬はヒトの薬剤を投与した試験で、リアップより高い発毛効果を確かめた。この効果を訴え、発毛剤の新たな利用者を開拓している。ミノキシジルを5%配合した発毛剤を海外から個人輸入していた消費者も取り込んだ。

    リアップX5は副作用リスクの高い「第1類医薬品」。第1類医薬品は店頭で薬剤師の説明が義務付けられ販売が伸び悩んでいるが、リアップX5は製品力の高さに加え、ドラッグストアを味方につけて巧みなセールストークを展開するなど工夫し、販売を伸ばしている。

  • 針のいらないホチキス「針なしステープラー(2穴タイプ)」=コクヨS&T
    針のいらないホチキス「針なしステープラー(2穴タイプ)」=コクヨS&T

    とじるときに金属針がいらないホチキス。紙にU字型の切れ込みを入れて舌状になった部分を折り返し、別の切れ込みに通すことで最大10枚の紙をまとめる。ファイルに入れるのに必要な2穴も開けられる。

    資料の処分時に針を取り除く手間が不要。そのままシュレッダーに投入でき環境効果が高い。針によるケガも防げる。オフィスのほか、学校や病院、食品工場など高い安全性が求められる職場での需要は大きい。

    机上用の2穴タイプは2009年12月の発売から1年で目標の3倍近い4万5千台を販売。より手軽に使える1穴のハンディータイプも10年7月に追加し売り上げを拡大している。

  • 分譲マンション「ザ・ライオンズたまプラーザ美しが丘」=大京
    分譲マンション「ザ・ライオンズたまプラーザ美しが丘」=大京

    風や自然光といった自然エネルギーを取り入れ、部屋が快適な室温を保つ。建物の内部や周辺の温度分布を時間帯ごとに予測して建物を設計。▼窓ガラスの外側にブラインドを設置して日光を遮る▼玄関ドアに開閉可能なスリットを付けて風の通り道を確保する――など工夫を凝らした。地下1階、地上3階建てで、39の全戸を完売した。

    外壁にミストを散布する装置を設置し、外気の温度上昇も抑えられる。親会社のオリックスのグループ会社が持つ二酸化炭素(CO2)排出枠を利用してマンションの建設・販売、住人の生活1カ月間に相当するCO2排出量を相殺。環境負荷低減に配慮した。

    強度が高いコンクリートを使用。専有部、共用部ともに5年ごとの定期点検サービスを実施し長期間マンションの状態を保全する。

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