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進化ける機能デザイン

「団子っ鼻」から面長のイケメンへ

スクロール

「団子っ鼻」から面長のイケメンへ

愛嬌(あいきょう)ある顔つきの0系が登場してから半世紀。新幹線は機能面でもデザイン面でも大きな進化を遂げた。機能面では最高速度の向上が注目されがちだが、安全性や騒音対策、快適性などを追求する様々な工夫が施されてきた。こうした機能面の改善にも寄与した車両デザインは、1987年の国鉄分割民営化を契機にJR各社が競うように多様なタイプを投入。北陸新幹線に投入された最新のE7・W7系はフェラーリをデザインした奥山清行氏が手掛けるなど「イケメン度」は高まるばかりだ。右のイラストを押して、各車両の写真と特徴を確認してほしい。

(注)過去に運行した路線を含む

1964年 0系
1982年 200系
1985年 100系
1992年 300系
1992年 400系
1994年 E1系
1997年 500系
1997年 E2系
1997年 E3系
1997年 E4系
1999年 700系
2000年 700系7000番台
2004年 800系
2007年 N700系
2011年 N700系8000番台
2011年 E5系
2013年 E6系
2013年 N700A系
2014年 E7系/W7系

進化を続ける機能とデザイン

 日本が誇る技術を結集して世界初の高速鉄道を実現した「東海道新幹線」。時速200kmを超える走行を可能にした台車やレールの構造といった根幹となる技術は現代にも脈々と引き継がれている。団子鼻の愛称で親しまれた「0系」を出発点にした半世紀は、高速化、安全性、快適性を追求する軌跡でもあった。

 変遷し続けたのが先頭車両のシルエットだ。シャープで均整がとれた流線形になっていった。スピード感を増すだけでなく、空気抵抗を減らし、トンネル通過中などでの騒音を減らした。車体の素材も鋼材からアルミ合金となり軽量化が進んでいる。開業時に時速210kmだった最高速度は、今や東北新幹線の「はやぶさ」が320kmで営業運転する。

 「走る」だけでなく、高速を保ちながら「曲がる」「止まる」技術も大きく前進した。曲線が多い東海道新幹線は「N700系」から車体を傾けて走る技術を初めて採用した。遠心力を緩めて乗り心地を向上させた。ブレーキ性能を高めて、電力を回生する技術をいち早く搭載したことでエネルギー効率が高い運行を実現している。スピードを上げながらも、最新型車両のエネルギー消費は初代0系と比べ半減した。

 半世紀にわたって乗客の死亡事故がゼロを続ける「安全神話」も、ハード、ソフトの技術の両輪から生まれた。先行列車や駅を確認しながら、自動的に列車に運転速度を知らせる信号を送り、必要によってブレーキをかける「自動列車制御装置(ATC)」は開業当初から導入している。

 こうした技術を融合し、人材の技能を伝承していった結果、世界最高水準の輸送サービスを実現している。悪天候や事故の影響を含め遅延時間は平均で1分を切る。安全、安定、環境性能など交通インフラとして信頼性を浸透させた。

 2015年3月には東日本旅客鉄道(JR東日本)と西日本旅客鉄道(JR西日本)が共同運行する北陸新幹線(E7/W7系)の開業を控える。JR東日本の冨田哲郎社長は「日本の新幹線は非常に高いレベルを維持し、さらに前進させる」と意気込む。

 日本の高速鉄道は技術改良を繰り返し、半世紀で完成度を高めてきた。ただ、世界的に群を抜く技術力も、世界市場に足を踏み入れると受注獲得では競争力に欠ける。新幹線は踏切がなく専用線路を運行し、追突を回避するというのが大前提。良くも悪くも特殊だ。一方、ライバルの欧州勢は在来線や貨物と線路を共有しつつ、車両の強度を追求するなど高速鉄道に対する考え方が異なる。

 東海道新幹線の開業50周年にあわせ、JR各社が中心となり新幹線技術の国際標準化をめざす「国際高速鉄道協会」が発足した。鉄道車両メーカーも加わり、インフラ輸出の加速を目指す。日本の新幹線が「世界の新幹線」になれるのか、真価が問われている。

 このような進化を遂げた新幹線が日本経済といかなる関係にあったのかを次に検証する。

乗客数は
景気指標