文化往来

2021年

芥川賞・直木賞贈呈式　宇佐見りんが明かした本音

緊急事態宣言下の東京都内で2月18日、第164回芥川賞・直木賞（日本文学振興会主催）の贈呈式が開かれた。半年前の前回と同様、出席者は制限され、祝賀パーティーも見送られた。平時に比べると華やかとはいえないが、半面、受賞者の率直な声に出席者が聞き入る雰囲気が生まれ、人々の記憶に残る贈呈式となった。 「推し、燃ゆ」で芥川賞を受賞した宇佐見りん（21）は、2019年に「かか」で文芸賞を受賞してデビュー、
芥川賞を受賞した宇佐見りん(右)と直木賞の西條奈加(2月18日、日本文学振興会提供)
 芥川賞・直木賞贈呈式　宇佐見りんが明かした本音

菊之助、光秀に挑む　長谷川博己からもアドバイス

歌舞伎俳優の尾上菊之助が明智光秀の役に挑む。「東海道四谷怪談」などで知られる四世鶴屋南北が手がけた歴史劇「時今也桔梗旗揚（ときはいまききょうのはたあげ）」で、3月4日から国立劇場（東京・千代田）で上演される。武智光秀（明智光秀）が、小田春永（織田信長）の不興をかい、鉄扇で眉間を打たれ、馬を洗うたらいで酒を飲むよう強いられ、浪人時代を暴かれる。そうした辱めにたえかね、ついに主君を討つ決意をするまで
2021年3月の国立劇場公演で光秀の役に挑む尾上菊之助
 菊之助、光秀に挑む　長谷川博己からもアドバイス

里アンナ、奄美の自然バックに島唄歌う映像集

2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」のメインテーマ曲に歌で参加して話題になった奄美大島の島唄歌手、里アンナがDVD「島唄コンサート in 奄美 Prayer」を発表した。奄美の雄大な自然の中、一人で島唄を歌う姿を映像に収めている。「新型コロナウイルスの影響で多くの方々が自粛生活を強いられる中、奄美に住む私にできるのは何か。自然の中で歌う姿を見ていただくのが一番と考えたのです」 2020年の春
奄美大島の島唄歌手の里アンナさん
 里アンナ、奄美の自然バックに島唄歌う映像集

「ファイナルファンタジー」の天野喜孝が描く法華経画

人気ゲーム「ファイナルファンタジー」のキャラクターデザインなどで知られるイラストレーターの天野喜孝が、法華経の教えを表した曼荼羅（まんだら）を制作した。日蓮宗が宗祖である日蓮の生誕800年を記念して依頼した。持ち味であるきらびやかで幻想的な作風はそのままに、法華経に登場する釈迦や四天王などの「キャラクター」に合わせて衣装やポーズを考えたという。 今回制作した「法華経画」は高さ189㌢、幅151㌢
天野喜孝「法華経画」
 「ファイナルファンタジー」の天野喜孝が描く法華経画

中村時蔵　襲名40周年　3月歌舞伎座で遊女三千歳に

「歌舞伎の遊女というのは、皆、いちずですね。好きな人のためなら何でもやる。そして色気もある」。歌舞伎俳優の中村時蔵は語る。3月4日からの歌舞伎座（東京・中央）公演第2部「雪暮夜入谷畦道（ゆきのゆうべいりやのあぜみち）直侍」で、遊女の三千歳（みちとせ）の役をつとめる。河竹黙阿弥が明治期に、古きよき江戸の風情を観客に思い起こさせるように作った舞台のひとつで、清元の名曲とともに日本舞踊のように美しい芝
「コロナ禍でも教えるべきことは教えます」と話す中村時蔵(C)松竹
 中村時蔵　襲名40周年　3月歌舞伎座で遊女三千歳に

村上春樹が映像出演、ライブイベント配信で

作家・村上春樹が2月14日、東京都内でライブイベントに出演し、その映像が有料配信されている。日本国内で村上が映像出演するのは極めて珍しい。本人も公に姿を現す機会が少ないことについて「（自分が）実在しないと思っている人もいるらしい」とジョークを交えて語り、音楽や文学をめぐるトークを展開した。 イベントはTOKYO FMの主催で「MURAKAMI JAM～いけないボサノヴァ」。村上がDJをつとめるラ
「MURAKAMI JAM~いけないボサノヴァ」で司会をつとめた村上春樹(中央)
 村上春樹が映像出演、ライブイベント配信で

恩田陸が初のモデル小説「日常は危ういバランスの上に」

直木賞作家にして「夜のピクニック」「蜜蜂と遠雷」で本屋大賞を2度受賞している恩田陸（56）が、実在の人物を描くモデル小説を初めて手がけた。新作長編「灰の劇場」（河出書房新社）は、1994年に40代の女性2人が東京都奥多摩町で、橋から川に飛び降りて死亡したという事件に基づく。2人は私大の同級生で、都内のマンションで同居していた。 「2人の身元が判明したという新聞記事を読み、いくつもの疑問が頭を駆け
「実在の事件を扱うにあたり、創作過程も明かした」と話す恩田陸
 恩田陸が初のモデル小説「日常は危ういバランスの上に」

韓国の現代戯曲を紹介　リーディング企画が完結

韓国の演劇作品をリーディング形式で紹介する「韓国現代戯曲ドラマリーディング」シリーズの10回目が、1月27～31日、座・高円寺1（東京・杉並）で開かれた。日韓演劇交流センターと韓日演劇交流協議会が2002年から始めたイベントで、日本での開催は今回が最後となる。 リーディングとは俳優が台本を手にとりながら演じる朗読劇のこと。東京とソウルで交互に開き、双方の演出家が相手の国の作品を演出してきた。東京
歴史に翻弄される演劇人を描いた「激情万里」=奥秋 圭撮影
 韓国の現代戯曲を紹介　リーディング企画が完結

収益を飲食店に還元　東京・日本橋でアートフェア

東京・日本橋で、作品販売による収益の一部を地域の飲食店に還元するアートフェア「Gallery of Taboo」が開催中だ（28日まで）。写真家の小田駿一氏が「新型コロナウイルスの影響が広がる社会でアーティストにできることは何か」を模索し、苦境が続く飲食店を応援したいと企画した。小田氏を含め計8組の作家や書店が参加する。 日本橋料理飲食業組合に加盟する約300店などで利用できる「お食事券」（1枚
アートフェア「Gallery of Taboo」は東京・日本橋の飲食店で使える「お食事券」を配る(写真は小田駿一氏の展示ブース)
 収益を飲食店に還元　東京・日本橋でアートフェア

岸政彦と柴崎友香が共著、それぞれの「大阪」描く

社会学者で作家の岸政彦（53）は大学進学時に大阪に来て、以来大阪に住み続ける。一方、芥川賞作家の柴崎友香（47）は大阪で生まれ育ち、30歳を過ぎてから東京に移り住んだ。そんな2人が大阪という街との関わりをつづった共著エッセー「大阪」（河出書房新社）が刊行された。岸の大学入学は1987年で、柴崎は当時中学生だった。2人のエッセーはバブル期とその後の長引く低成長で変わりゆく街の風景を描き出す。 「僕
「デフレを描いている点で共通する」と話す岸政彦=河出書房新社提供
 岸政彦と柴崎友香が共著、それぞれの「大阪」描く