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ヒートポンプ

ヒートポンプの概要

ヒートポンプに関するビジネステーマ

ヒートポンプの用語の定義

ヒートポンプとは、気体は圧縮すると温度が上がり、逆に膨張させると温度が下がる性質と、熱は高い方から低い方へ自然に伝わる性質に着目し、空気などの熱源から熱を取り込む冷媒の状態を物理的に変化させて熱を移動させる技術のこと。熱源から熱を取り込んだ冷媒を高温高圧の気体にする圧縮機や低温低圧にする膨張弁、熱交換機などで構成され、管を循環する冷媒を媒体として熱移動する。 インバーターエアコンや冷蔵庫、給湯器の「エコキュート」などに搭載されている。最新型のヒートポンプエアコンは1のエネルギーで7の熱エネルギーを得ることができるなどエネルギー効率が高い。 また、ヒートポンプの熱源は、空気熱(大気熱)のほかに、地中熱や太陽熱、ガスなどもある。

ヒートポンプの背景

ヒートポンプはCO2排出量の削減に寄与する再生可能エネルギーの一つとして位置づけられており、日本や欧米など各国が普及に向けた各種施策を打ち出している。また、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり世界的にエネルギー価格が高騰していることもヒートポンプ普及を後押しする。特にロシア産天然ガス依存からの脱却を迫られるドイツでは、エネルギー効率の高いヒートポンプに期待する。

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ヒートポンプが解決する課題

CO2排出量の削減,エネルギー効率の向上,省エネ,脱ロシア産エネルギー依存

ヒートポンプに関連するビジネステーマ

日本のヒートポンプ導入政策
日本はZEHやZEB基準を満たす建物に対して補助事業を行っており、基準の中にヒートポンプを搭載する省エネ機器も含まれる。また、建築物の省エネ対策を加速させるために、2022年9月30日に「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」の一部施行に向け、「建築物省エネ法」や「建築基準法」などに関係する政省令の改正案を公表した。集合住宅や老人ホームなどにヒートポンプなどを活用した高効率な給湯設備を設置しやすくするために、機械室の容積率を緩和したり手続きを合理化したりする方針だ。(2022年10月調査時点)
米国のヒートポンプ導入政策
米国はエネルギー効率の高い住宅用再生可能エネルギー製品やENERGY STAR認定製品に対して税額控除をもうけている。ヒートポンプも対象だが、熱源の違いやサービスの開始時期により税額控除の割合や有効期限が異なるため、ENERGY STARのサイトで確認が必要である。(2022年10月調査時点)
EUのヒートポンプ導入政策
欧州連合(EU)は2021年7月に発表した「fit-for-55 政策パッケージ」で、2030年までに温室効果ガスを1990年度比55%以上削減する目標を掲げた。ヒートポンプも再生可能エネルギーの一つと位置付け導入を後押しする。欧州ヒートポンプ協会(ehpa)によると、2021年の販売台数実績は21か国で218万台にのぼり前年比56万台増加した。EU加盟各国も独自に導入支援を行っており、今後もヒートポンプ市場は拡大すると見込まれる。 また、EUは22年8月に、ロシア産天然ガス依存の脱却を目指すドイツに対し29.8億ユーロの援助を決めた。複数の建物に配管を通じで熱供給する地域暖房システムの事業者に対して支援を行い、既存の化石由来の熱源を利用したシステムの脱炭素化や再エネと排熱由来の熱源が75%以上の新しい地域暖房システムの建設などを促す。(2022年10月調査時点)
英国のヒートポンプ導入政策
英国は、脱炭素を促す制度「Boiler Upgrade Scheme」を通じ、2025年までヒートポンプの導入を支援する。イングランドもしくはウェールズに在住する不動産所有者が化石燃料を熱源とするガスボイラーから空気熱もしくは地中熱ヒートポンプなどに交換する場合に助成する。(2022年10月調査時点)

ヒートポンプに関する法規制

建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)
建築物省エネ法とは、建築物の省エネ性能の向上を図るため2015年7月に制定された法律のこと。同法は、新築などの際、省エネ基準への適合を義務付ける「大規模非住宅建築物の省エネ基準適合義務等の規制措置」と、省エネのための設備については通常の床面積を超える部分を不算入にし省エネを促す「省エネ基準に適合している旨の表示制度および誘導基準に適合した建築物の容積率特例の誘導措置」の2つに大きく分かれる。2022年6月には、さらなる省エネ性能の向上や、木材利用を促進するための規制緩和などを講じるための改正法が公布された。(2022年10月調査時点)
建築基準法
建築基準法とは、建築物の敷地や構造、設備、用途に関する基準を定めた法律のこと。政府は、省令に適合していれば集合住宅や老人ホームなどに設置する給湯設備の機械室等について容積率緩和の手続きを合理化する方針を打ち出しており、建築基準法第52条を改正して「住宅等の機械室等の容積率不算入に係る認定制度」を新設する。「改正建築物省エネ法」が公布された2022年6月17日から1年以内に施行することが決まっているが、具体的な時期は政令で決定される。(2022年10月調査時点)

ヒートポンプのレポート(最新10件)

ヒートポンプの関連企業

富士電機株式会社
電力・産業向けプラント設備、FAシステム、クリーンエネルギー関連製品、パワー半導体等の開発・製造・販売
株式会社コロナ
暖房機器、空調・家電機器、住宅設備機器の製造・販売

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...欧州では石油やガスなどを燃料に使うボイラー式暖房からヒートポンプ式への置き換えを進める。各国政府がヒートポンプに補助金を出しており、更新需要を取り込む。空気清浄機の市場も拡大し「トルコなどでの生産も視...

2020年11月5日 日本経済新聞電子版 547文字