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核融合発電

核融合発電の概要

次世代の発電技術「核融合発電」に関するビジネステーマ

核融合発電の用語の定義

核融合発電とは、燃料に重水素と三重水素(トリチウム)を利用する発電技術のこと。核融合炉の中で、1億度以上のプラズマ状態にした「重水素」の原子核と、重水素の中性子とリチウムの反応による「三重水素」の原子核を高速で衝突させると、水素より重いヘリウムの原子核に変化する核融合反応が起きる。その際に生み出される膨大な熱エネルギーを利用して蒸気タービンを回し発電する。 核融合の手法には、磁場を利用して高温プラズマを安定的に閉じ込めて核融合反応を起こす「磁場閉じ込め方式」(トカマク型やヘリカル型など)のほかに、レーザーなどを照射して燃料を圧縮・加熱して瞬間的に反応を起こす「慣性閉じ込め方式」がある。

核融合発電の背景

原子力発電と核融合発電は共にCO2を排出しない点では脱炭素に寄与する発電技術である。しかし、原子力発電は核分裂反応による発電のため、地震やテロなどによる電源喪失が起きた場合、メルトダウン(炉心溶融)や水素爆発の恐れがあるため、熱源の温度を制御し続ける必要がある。 一方、核融合発電は核融合による発電なので電源が失われると核融合反応も止まり、核分裂反応に比べ制御しやすいとされる。また燃料の重水素が海水に含まれていることもメリットだ。国際的な共同プロジェクトに加え、スタートアップ企業も参入するなど注目されているが、現時点では研究段階であり実用化には時間を要する。

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CO2削減

核融合発電に関連するビジネステーマ

ITER(イーター:国際熱核融合実験炉)
ITERとは、日本・欧州・米国・ロシア・韓国・中国・インドによる核融合エネルギー開発プロジェクトの実験装置のこと。フランスにトカマク型の熱核融合実験炉を建設中。2025年の運転開始を目指す。研究用のため、発電する機能はない。
JT60SA
JT60SAとは、核融合エネルギーの実現を加速することを目的とした日本と欧州による共同プロジェクトの実験装置のこと。量子科学技術研究開発機構の茨城県那珂研究所に、ITER(イーター:国際熱核融合実験炉)と同じトカマク型の実験炉がある。核融合発電の実用化に向け、高出力の運転方法の確立などITERを支援・補完する役割を担う。
トロイダル磁場コイル
トロイダル磁場コイルとは、核融合の効率を高めるのにつかう巨大な超電導コイルのこと。ITER(イーター:国際熱核融合実験炉)の中核部品として使われる。
ダイバータ
ダイバータとは、核融合反応の過程で生じるヘリウムを排気・除去する装置。
ブランケット
ブランケットとは、核融合炉の内壁にある装置のこと。ブランケット炉内で発生した熱を外部に取り出したり、核融合発電の燃料のひとつである三重水素(トリチウム)をリチウムから作り出したりする機能をもつ。

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