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都市鉱山

都市鉱山の概要

都市で多量に排出される使用済み電子機器から貴金属を抽出する都市鉱山に関するビジネステーマ

都市鉱山の用語の定義

都市鉱山(英: urban mining)とは、都市から大量に廃棄される電子機器などの中に存在する有用な金属資源(レアメタルなど)を鉱山に見立てた言葉。 1980年代に東北大学選鉱製錬研究所(現多元物質科学研究所)の 南條道夫教授らによって提唱された。 都市に眠る廃棄対象の電子機器から貴金属資源を再生し、有効活用しようというサーキュラーエコノミー的なアプローチの一つといえる。

都市鉱山の背景

世界で生産、消費される電子機器は年々増加しており、金属資源全般のリサイクルの重要性が高まっている。また廃電子機器には鉄、アルミニウム、銅のほかに低濃度 ではあるが、数多くのレアメタルが使用されており、さまざまな地政学リスクが存在するレアメタル資源の確保の観点からも注目されている。また、金属製造時の二酸化炭素の発生量は、 鉱石から製造するよりも廃棄物から製造するほうが少なく、銅の場合には 3 分の 1 程度と推定されており 、都市鉱山からのリサイクルはCO2排出削減にも有効である。

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都市鉱山が解決する課題

CO2排出削減,地政学リスクの低減,希少資源確保,埋め立て処分場不足,資源ナショナリズム

都市鉱山の鍵となる技術

バイオミネラリゼーション
生物には貝殻や真珠,歯,骨などに象徴されるような無機固化物を生成できる能力がある。バイオミネラリゼーションは、こうした生物における無機物の形成作用を意味する。現在バイオミネラリゼーションを活用した環境浄化や金属資源回収への応用研究が進められており、レアメタルの回収についても研究が行われている。このような、生物反応を用いた有用元素の回収は、主流である物理化学的手法と異なり、常温・常圧で反応が進む。そのため、省エネルギーでかつ低コストのリサイクルプロセスが実現できるとの期待がある。
採算性の合うリサイクル技術
都市鉱山ビジネスにおいて採算性を高めるためには電子機器等を広域的に収集運搬するためのサプライチェーンの構築が必要不可欠となる。また特にレアメタルは電子機器単位当たりには微量しか存在しないため、高度な「採掘技術」も必要となる。  また、都市鉱山により「採掘」された有用金属の取引価格は、そららの市況価格の変動により不採算になるリスクがある。
リサイクルロボット
電子廃棄物から効率的に貴金属を取り出すには、電子機器の分解の効率化が重要となる。電子機器分解の自動化として注目されるのが自動分解ロボットだ。米アップルはiPhoneを自動的に分解して素材を回収する自動分解ロボット「Daisy(デイジー)」を開発。Daisyは1時間で200台のiPhoneを解体できるという。
溶媒抽出
溶媒抽出とは、水と油のように相互に混じり合わない二つの媒質を用いて物質を抽出する技法のこと。レアメタルのリサイクルでは、回収した家電製品などの解体・選別・粉砕の後に溶媒抽出のプロセスを経る。
エマルションフロー法
ミキサセトラ
ミキサセトラ(Mixer-settler)とは溶媒抽出時に使用される鉱物処理装置の一種。 2液を混合するミキサ(英: Mixer, 混合槽)と、重力により2液を分離するセトラ(英Settler,沈殿槽)で構成される。 精密に分離する必要がある場合には、複数のミキサーセトラーが用いられる。

都市鉱山に関連するビジネステーマ

携帯電話リサイクル
都市鉱山のテーマで象徴的な例として、しばしばあげられるのが携帯電話・スマートフォンで使われる部品の貴金属回収である。実際、内閣府が2021年に発表した「消費動向調査」によると、テレビやエアコンなどの主要耐久消費財の中で携帯電話の買い替え頻度は4.3年ともっとも高い。携帯の普及率の高さ(約96%)を考えると、リサイクルの重要性は極めて高いといえるだろう。スマートフォンには、金、銀など、回収可能なさまざまな希少元素が含まれている一方、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が発表した2019年度の携帯電話の回収率は約17%で、前年度と比べても横ばいが続くなど課題は多い。
自動車のEV化が今後すすむなか、EV用のリチウムイオン電池需要は今後急速に増加すると予想されている。一方で主要な電池材料であるコバルト等のレアメタルは供給不足が懸念されており、使用済みリチウムイオン電池のリユース・リサイクルが課題となっている。
金属のリサイクルシステムでは電子機器を破砕したあとに、剥離した金属・非金属などを正確に選別する工程において磁力選別機が利用される。
クリティカルマテリアル(CRM)
クリティカルマテリアル(英:Critical Raw Material、英略:CRM)とは日本語では重要な原材料を意味する言葉。経済上の重要性と供給リスクがある資源を指す。欧州委員会はEUにとって不可欠な鉱物資源のリスト「CRM list 」を公開している

都市鉱山に関する法規制

小型家電リサイクル法
正式名称は「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」。 小型家電リサイクル法は、使用済小型電子機器(デジタルカメラやゲーム機等)に含まれる貴金属やレアメタルなど価値の高い資源を部品の再資源化を促進する目的で制定された。市町村が分別して収集し、再資源化を担う認定事業者に引き渡す。

都市鉱山のレポート(最新10件)

都市鉱山の関連企業

株式会社エマルションフローテクノロジーズ-
株式会社エマルションフローテクノロジーズは、レアメタル精製装置を開発する企業。同社は、レアメタルを高純度で精製する装置を開発する。水中に溶け...
株式会社VOLTA
株式会社VOLTAは、リチウムイオン電池・ニッケル水素電池などの充電式電池のリサイクル事業を運営する企業。充電式電池を解体・破砕し、ブラック...
株式会社アサカ理研
精密部品等の回収再生・洗浄・貴金属(金・銀・白金・パラジウム他)の回収精錬・販売。工業薬品(塩化第二鉄液、銅粉等)の製造・販売。

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関連する人物・専門家

黒田武志13
都市鉱山の「採掘」本格化、リネット、名古屋でパソコン解体。

...背景にあるのが「都市鉱山」の広がりだ。パソコンなどの家電製品には金、銀、銅などの貴金属やレアメタル(希少金属)が含まれている。だが各家庭には古くなった機器が捨てられずに埋もれている。...

2019年5月21日
日本経済新聞 朝刊