ネット広告（ネットマーケティング支援）

広告代理店のうち、インターネットを活用した各種販促（マーケティング）支援が主な事業分野になっている企業を本欄では取り上げる。各種媒体の広告を手掛ける大手広告代理店などの傘下にある企業も含める。具体的には、顧客企業に対し販促について企画立案や助言をすると同時に、販促活動も手伝う。一連の作業対価を顧客企業から得ることで収益を上げている。
ネット販促支援には明確な定義はない。主にインターネット上の検索エンジン利用時に、特定の用語を上位に表示させるよう最適化する「ＳＥＯ」サービスやウェブサイトの利用状況を分析して改良点を指南するサービス、広告目的のメールマガジンの発行と運用を行うサービスなど多岐にわたる。(2023/01/24調査)

国内で本格的にネット販促支援市場が立ち上がったのは９０年代後半で、当初は検索エンジン最適化サービス「ＳＥＯ」が中心だった。アウンコンサルティングやアイレップ、フルスピードなどのＳＥＯ専門業者が相次ぎ創業した。続いて企業のネット利用全般を支援する販促専門業者が登場した。ネットイヤーグループ、アイ・エム・ジェイ、メンバーズなどがその代表だ。インターネットの普及でウェブサイトの媒体価値に企業が注目するようになり、歩調を合わせるようにして大手のネット広告代理店など多くの企業が参入するようになった。
ネット販促支援は高い専門性が求められることから、従来、販促の種類ごとに個別の業者と契約するのが一般的とされてきた。ただ昨今は顧客企業がネット上のさまざまなメディアを横断的に活用して商品やサービスを販促したいという需要が急増。このため大手ネット広告代理店による系列化も進んでいる。(2023/01/24調査)

検索エンジン最適化サービス「ＳＥＯ」などを手掛ける企業から発展した代表例にアイレップやフルスピードなどがある。
アイレップは総合デジタルマーケティングエージェンシーで、ＳＥＯをはじめとしたＳＥＭ（検索エンジンマーケティング）に強い。大手広告業の博報堂ＤYホールディングスの連結子会社。決算公告によると、２２年３月期の収益は１５６億７３００万円。２２年３月期から収益認識会計基準を採用している。営業利益は２４億４７００万円で前の期比７７．５％増。２２年１２月、デジタル人材が居住地域に左右されずにフルリモート環境で活躍することに貢献する事業を手がけるため、１００％出資の連結子会社「アイレップフレール」（東京・渋谷）を設立した。企業の販売促進の企画、立案、実施などを事業内容に掲げている。社名にあるフレールは、Flexible（柔軟）＋yell（応援）の造語で、柔軟な働き方を応援する意味を込めた。デジタル分野のフリーランスの交流や働き方に役立つ会員制コミュニティー向け情報サービス「DIGIFULベース」の提供も１１月に始めている。(2023/01/24調査)