鉄道の業界概要
21年度の鉄道旅客数は187億人超、3年ぶり増加
日本の鉄道業界は旧国鉄の分割・民営化でJRの旅客・貨物7社が発足して35年が経過。新幹線は九州を縦断して北海道ともつながったが、東海旅客鉄道(JR東海)など「本州3社」が稼ぎ、北海道旅客鉄道(JR北海道)など「三島会社」は総じて苦戦している。22年9月23日には北海道新幹線以来6年ぶりとなる西九州新幹線(武雄温泉~長崎)が部分開業した。
鉄道各社の収益は訪日客の増加などを追い風に堅調に推移してきたが、新型コロナウイルス感染の影響が重くのしかかっている。国土交通省の鉄道輸送統計によると、21年度の鉄道旅客数は前年度比6.3%増の187億8536万人で、3年ぶりに増加した。JRが同5.2%増の70億5638万人、JR以外の民鉄は同6.9%増の117億2898万人だった。(2023/03/05調査)
鉄道各社の収益は訪日客の増加などを追い風に堅調に推移してきたが、新型コロナウイルス感染の影響が重くのしかかっている。国土交通省の鉄道輸送統計によると、21年度の鉄道旅客数は前年度比6.3%増の187億8536万人で、3年ぶりに増加した。JRが同5.2%増の70億5638万人、JR以外の民鉄は同6.9%増の117億2898万人だった。(2023/03/05調査)
鉄道の市場動向
鉄道大手の収益底打ち 定期券収入は頭打ち
鉄道事業は固定費負担が重く、新型コロナウイルス禍による利用者減に対応し、各社とも事業の見直しを急いでいる。
JRと私鉄を合わせた鉄道大手18社の22年3月期の連結決算は、14社が最終黒字に転換した。前の期は全社が最終赤字だった。東急の最終損益は87億円の黒字(前の期は562億円の赤字)だった。東急電鉄など交通事業は39億円の営業赤字だったが、不動産事業の営業利益が56%増と伸びた。資産売却も利益を押し上げた。鉄道事業の割合が高いJR本州3社は赤字幅が大きく、JR東日本の最終損益は949億円の赤字(前の期は5779億円の赤字)。運輸収入はコロナ前の19年3月期に比べて4割減った。JR東海も東海道新幹線の利用が振るわず、運輸収入は同約5割減となった。(2023/03/05調査)
JRと私鉄を合わせた鉄道大手18社の22年3月期の連結決算は、14社が最終黒字に転換した。前の期は全社が最終赤字だった。東急の最終損益は87億円の黒字(前の期は562億円の赤字)だった。東急電鉄など交通事業は39億円の営業赤字だったが、不動産事業の営業利益が56%増と伸びた。資産売却も利益を押し上げた。鉄道事業の割合が高いJR本州3社は赤字幅が大きく、JR東日本の最終損益は949億円の赤字(前の期は5779億円の赤字)。運輸収入はコロナ前の19年3月期に比べて4割減った。JR東海も東海道新幹線の利用が振るわず、運輸収入は同約5割減となった。(2023/03/05調査)
鉄道の競合状況
JR東、「非鉄道」事業拡大へ構造改革推進
JR東日本は「コロナ後」に向けて構造改革に乗り出した。社員数を約4000人減らし成長分野に再配置し、28年3月期に鉄道事業の営業費用を20年3月期比で1000億円削減する一方、「非鉄道」事業の営業利益を26年3月期までに全体の25%まで伸ばす計画だ。2月14日、東急不動産ホールディングス(HD)と包括的業務提携契約を結んだと発表した。JR東が保有する土地や建物を活用し、分譲住宅や再生可能エネルギー発電施設などを開発する。東南アジアでの不動産開発や国内のホテル観光業でも連携し、今後5年間で1000億円程度の事業収益の創出を目指す。4月からは一般顧客がインターネットで口座を開設し預金や住宅ローンなどの金融サービスを利用できる「JRE BANK」を始める。
JR東海が注力するリニア中央新幹線の総事業費は37年の延伸を目指す大阪までで約9兆円を想定する。約3兆円を国から借り入れ、17年から建設を本格化した。ただ、水資源への影響を懸念する静岡県から着工許可を得られず、27年度中の品川―名古屋間の開業は延期が決定的。難工事への対応などで同区間の総工費は7兆円と従来計画から1.5兆円増える見通し。23年3月期の設備投資額は22年3月期の計画に比べ9%減の6830億円と9年ぶりに減らす。リニア中央には同13%減の3750億円投じる計画だ。(2023/03/05調査)
JR東海が注力するリニア中央新幹線の総事業費は37年の延伸を目指す大阪までで約9兆円を想定する。約3兆円を国から借り入れ、17年から建設を本格化した。ただ、水資源への影響を懸念する静岡県から着工許可を得られず、27年度中の品川―名古屋間の開業は延期が決定的。難工事への対応などで同区間の総工費は7兆円と従来計画から1.5兆円増える見通し。23年3月期の設備投資額は22年3月期の計画に比べ9%減の6830億円と9年ぶりに減らす。リニア中央には同13%減の3750億円投じる計画だ。(2023/03/05調査)