事業投資・企業再生・投資ファンド

投資家から集めた資金や自己資金を使って企業や不動産などへの投資事業を中心に展開する。
投資事業は投資先の種類で分けられる。創業間もない新興企業に投資するベンチャーキャピタル（ＶＣ）のほか、破綻企業や経営不振に陥った企業に投融資して事業を再生する企業再生投資、オフィスビルや賃貸マンションなど投資用不動産に資金を投じる不動産投資が代表格だ。(2023/05/13調査)

０８年のリーマン・ショックに端を発する金融危機で、新規株式公開（ＩＰＯ）市場は冷え込み、保有株式売却が思うように進まなくなったほか、投資先企業の業績も悪化。VC大手の日本アジア投資が、０９年６月に「事業再生ＡＤＲ」の手法を使って取引金融機関に対して負債の返済期限の延長を求めた。０９年１２月には不動産ファンド国内最大手のダヴィンチ・ホールディングスが不動産市況の悪化で債務超過に転落、後に上場廃止となった。
しかし、安倍内閣（当時）によるアベノミクスによる国内株式市場の回復により、１３年以降の新規株式公開（IPO）社数は好調に推移している。２０２１年は前年比３割増の１２０社を超え、ＩＰＯブームにわいた０６年以来１５年ぶりの高水準となった。しかしその後は、国内での新規株式公開（ＩＰＯ）は小粒になっている。国内での上場件数は２２年も９０社超と高水準を保つが、１社あたりの市場調達額は前年より４割減った模様だ。景気先行き不透明感などで大型案件が上場に慎重になったためだ。２３年に入って国内の新規株式公開（ＩＰＯ）に回復の兆しが出てきている。２３年１～３月は前年同期に比べ３社多い１８社が上場し、公募増資と売り出しの合計額は平均４９億円と３倍になる見通しだ。いずれも５四半期ぶりに前年同期比で増加に転じ、ウクライナ危機などが響いた２２年から持ち直す。(2023/05/13調査)

ＳＢＩホールディングスとジャフコの「２強」の投資額が突出しており、銀行系などは小規模な活動にとどまっている。ＳＢＩホールディングスでは、投資事業を中核とするアセットマネジメント事業の収益構成が全体の４割近くを占める。人工知能（ＡＩ）やブロックチェーン技術に関わる企業に投資する新たなファンドを創設する。ＩＴ、バイオ、環境・エネルギー、金融の四分野を主な投資先と位置づけ、アジア地域を中心とした潜在成長力の高い新興諸国での投資拡大に努めている。２０２３年３月期の売上高は前の期比３０．８％増の９９８５億５９００万円、税引き前利益は同７５．６％減の１００７億５３００万円だった。投資実行額は７９１億円と、前の期の９８７億円から大きく減った。投資先社数は１８９社（前の期は１９１社）で、国内が１２７社を占める。業種別ではインターネット・AI（人工知能）・ＩoＴが５５社と最も多い。
ＳＢＩはフィンテックなどを武器に地方銀行との提携強化。１９年に島根銀行、福島銀行、２０年１月には筑邦銀行（福岡県久留米市）、同２月には清水銀行（静岡市）と資本・業務提携すると発表した。２０年１０月には群馬県を地盤とする東和銀行と資本提携すると発表した。地方の活性化を目指す新会社、地方創生パートナーズ（東京・港）の設立に向けた検討を始める。さらに２０２４年には地方銀行向けの勘定系システムを開発する。ＩＴ（情報技術）コンサルティングのフューチャーアーキテクトと業務提携し、クラウド型の仕組みを取り入れる。(2023/05/13調査)