ＰＣ・ＯＡ機器卸

ＰＣ・ＯＡ機器卸は、法人ユーザーを中心としたパソコンや中小型プリンター、コピー機、ファクシミリなどの卸売りを中心に情報システム構築も手がける事業者。法人向け販売小売店、再販事業者だけではなく、システム構築事業の一環としてエンドユーザー企業に機器を直接納入するケースも増えている。販売業者やシステム・インテグレーター（ＳＩ、ＳＩer)事業者との境界はあいまいになりつつある。
調査会社のIDCジャパンによると、２０２１年暦年の国内トラディショナルPC（タブレットを含まず）市場出荷実績は前年比１８．３％減の１４１８万台だった。２０年は新型コロナ禍によるリモートワーク増加や政府のＧＩＧＡスクール構想（小・中学生にPCなどを1台ずつ配布）が始動したため、ノートＰCやタブレットの特需が発生したが、２１年はその反動で大きく落ち込んだ。(2023/01/08調査)

企業の情報システム投資は、１５年以降急回復している。少人数の職場向けの中小型プリンター導入台数は、急成長は見込めないものの底堅い。ただ、利益の出る消耗品補充サービスは、ネット通販事業に押されている。ＰＣ・ＯＡ機器卸の中には、こうした消耗品をオンラインで一元的に受注することで、売り上げを確保しようとするところが少なくない。例えば、大塚商会が展開するオフィス用品「たのめーる」、個人向け「パーソナルたのめーる」は好調だという。
ハードウエアの販売で利益を生むのが難しくなる中で、多くのＰＣ・ＯＡ機器卸はＳＩ事業への比重を高めている。今後活発化しそうなのが、利幅の薄いパソコン・サーバーなど機器本体を販売する代わりに、データセンターの利用を提案するといったクラウド・サービス事業である。力のある企業は顧客の業務を分析して、アプリケーションソフトをクラウド上に構築して、保守・運用でも利益を確保するＡＳＰ（Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ Ｓｅｒｖｉｃｅ Ｐｒｏｖｉｄｅｒ）事業やＳａａＳ（Ｓｏｆｔｗａｒｅ ａｓ ａ Ｓｅｒｖｉｃｅ）事業を手がける。(2023/01/08調査)

最大手であるキヤノンマーケティングジャパン（ＭＪ)の２０２１年１２月期売上高は、新型コロナ禍でビジネス機器販売が落ち込んだものの、中・高級ミラーレスカメラ・交換レンズ販売が伸び、前の期比１．３％増の５５２０億８５００万円だった。同社は、キヤノンの大型デジタル複合機（コピー・ファクシミリ・プリンター機能を持つ）リース販売の他に、金融機関向けＳＩサービス事業やプロダクト事業、デジタルカメラやインクジェットプリンター、半導体製造装置・検査装置や液晶パネル製造装置、医療用機器などの事業を抱える。
大型デジタル複合機では、富士フイルムビジネスイノベーション（旧富士ゼロックス）、リコージャパンなどと競合関係にある。いずれも、デジタル複合機のリースと消耗品販売だけではなく、法人ユーザーの業務やオフィス環境を基に、機器構成やレイアウト提案から保守までを一括サービスとして請け負う事業を重視している。(2023/01/08調査)