医療用医薬品の業界概要
医療用医薬品の国内市場は11兆円超
医薬品は医薬品医療機器法(旧薬事法)で「疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」などと定義される。「医療用医薬品」と「一般用医薬品」に大別され、医療用医薬品は病院などで医師が使用したり、病気やけがの程度、くすりに対する感受性などを診断して発行した処方せんをもとに薬局で受け取ったりする医薬品。それ以外が一般用医薬品で、薬局やドラッグストアで購入できることから「カウンター越し(Over The Counter)」を意味する「OTC医薬品」とも呼ばれる。
医療用医薬品は発売までに長い期間が必要で、「基礎研究」「非臨床試験」「臨床試験(治験)」の3段階で計8~15年の期間が必要という。臨床試験には3つのフェーズがあり、厚生労働省に承認申請するまでに5つの階段をクリアする必要がある。その後、1~2年の審査期間を経て、承認されると製造販売にこぎ着けられる。医療用医薬品は新薬として発売された後、一定期間は特許によって守られるが、特許権存続期間が終了すると、有効成分の医薬品を他の製薬会社が製造・販売することが可能になり、こうしたものは「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」に分類される。(2022/12/24調査)
医療用医薬品は発売までに長い期間が必要で、「基礎研究」「非臨床試験」「臨床試験(治験)」の3段階で計8~15年の期間が必要という。臨床試験には3つのフェーズがあり、厚生労働省に承認申請するまでに5つの階段をクリアする必要がある。その後、1~2年の審査期間を経て、承認されると製造販売にこぎ着けられる。医療用医薬品は新薬として発売された後、一定期間は特許によって守られるが、特許権存続期間が終了すると、有効成分の医薬品を他の製薬会社が製造・販売することが可能になり、こうしたものは「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」に分類される。(2022/12/24調査)
医療用医薬品の市場動向
製薬8社、創薬へデータ相互開放
基礎研究段階の新規物質が実際の医薬品として承認される確率は約3万分の1とされ、臨床試験(治験)にたどり着いても有効性や安全性が確認・証明されなければ開発が中止される場合もある。このため、各社が重視しているのが「パイプライン(開発候補品)」の整備。パイプラインの不足部分を補い、継続的に新薬を供給するための体制を構築する「ポートフォリオマネジメント」も重要になっており、M&A(合併・買収)や他社から開発候補品の権利を取得するライセンス契約もこれを基準に進めるケースが多い。
医療用医薬品市場は新興国などで引き続き拡大が見込める一方、先進国では高齢化の進展などを受けて医療費を抑制する動きが強まり、成長が鈍化する見通し。国内でも後発医薬品への切り替えや薬価制度の見直しなどの抑制策が進むとみられる。政府は想定以上に販売額が増えた製品などに、薬価を最大50%下げられる「特例拡大再算定」を導入。2021年度からは薬価改定を毎年すると決めるなど、製薬会社に厳しい状況が続いている。22年度予算で薬価は1.35%引き下げられた。(2022/12/24調査)
医療用医薬品市場は新興国などで引き続き拡大が見込める一方、先進国では高齢化の進展などを受けて医療費を抑制する動きが強まり、成長が鈍化する見通し。国内でも後発医薬品への切り替えや薬価制度の見直しなどの抑制策が進むとみられる。政府は想定以上に販売額が増えた製品などに、薬価を最大50%下げられる「特例拡大再算定」を導入。2021年度からは薬価改定を毎年すると決めるなど、製薬会社に厳しい状況が続いている。22年度予算で薬価は1.35%引き下げられた。(2022/12/24調査)
医療用医薬品の競合状況
厚労省、塩野義のコロナ薬を緊急承認
世界の医療用医薬品市場では欧米勢の存在感が強い。日本製薬工業協会によると、世界の医薬品市場に占める日本発医薬品のシェアは1割程度。現在は新薬創出力で米国に次ぐ2番手グループと一定の国際競争力は維持している日本だが、大型新薬「ブロックバスター」を開発するための難易度は年々上昇している。国内市場で医療費抑制策が進行するなか、日本勢の地位が相対的に低下する可能性もある。
米IQVIAが調査した2021年の医療用医薬品の国内売上高ランキング(薬価ベース)では、中外製薬が武田薬品工業を抜いて首位となった。3位は英アストラゼネカで、抗がん剤に強い企業が上位を占めた。(2022/12/24調査)
米IQVIAが調査した2021年の医療用医薬品の国内売上高ランキング(薬価ベース)では、中外製薬が武田薬品工業を抜いて首位となった。3位は英アストラゼネカで、抗がん剤に強い企業が上位を占めた。(2022/12/24調査)