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酒類・アルコール飲料

酒類・アルコール飲料の業界分類
酒類・アルコール飲料の業界定義
ビール、発泡酒、ワイン等の酒類を製造する。

酒類・アルコール飲料の業界概要

酒類製成数量、リキュールが首位に
国税庁によると、2020年度の酒類製成(生産)数量は745万キロリットル(kl)と、1999年度の959万klをピークに減り続けている。成人1人当たりの酒類消費数量も、92年度の101.8リットルをピークに減り続けている。20年度の品目別酒類製成数量をみると、リキュールの257万klが最も多く、ビールを抜いて首位になった。ビールは184万klと両品種がとびぬけて多い。それに次ぐのは、スピリッツ・原料アルコールの95万kl、発泡酒の39万kl、単式蒸留焼酎の38万kl、清酒31万klの順となっている。販売(消費)数量でみてもリキュール、ビールの上位2品目はとびぬけて多く、スピリッツ・原料アルコール、発泡酒、清酒が続く。リキュールやその他の醸造酒にはいわゆる第三のビールなどが含まれ、ビール、発泡酒を含めたビール系飲料でくくると全体の6割強を占める。
ビール系では大手4社(アサヒグループホールディングス(HD)、キリンHD、サントリーHD、サッポロHD)で市場のほぼ99%を占める。ビール以外のメーカーは事業規模が小さく、焼酎首位の宝HDは売上高が3009億円(22年3月期)、日本酒大手の白鶴酒造(神戸市)は278億円(21年3月期)となっている。(2023/02/19調査)

酒類・アルコール飲料の市場動向

22年のビール系飲料販売、18年ぶり前年比プラス
ビール大手4社の2022年のビール系飲料の国内販売数量(日経推定)は前年比2%増の約3億4000万ケースとなり、18年ぶりに前年を上回った。21年に緊急事態宣言下などでの酒類販売の制限で落ち込んだ反動に加えて、外食需要の回復が寄与し、飲食店向けなど業務用は前年比4割増えた。逆に「家飲み」の機会が減少、家庭向けは3%減った。ジャンル別ではビールが14%増、発泡酒が4%減、第三のビールは7%減だった。長期的には市場の縮小傾向は変わらず、23年はビール系飲料全体の販売数量が最大で3~4%減少する見通し。23年10月の酒税改正で増税となる第三のビールの落ち込みや、物価の高騰による消費の低迷を見込む。
若年や女性を中心に消費者の好みが多様化する中、ビール各社は製法や風味にこだわったクラフトビールに力を入れる。キリンホールディングス(HD)は20年に米ニュー・ベルジャン・ブルーイングを買収。アサヒビールも英ブリュードッグと日本で新会社を設立した。サッポロHDは22年8月に米ストーンブリューイングを買収する。また、低アルコールの炭酸飲料「ハードセルツァー」にも参入する。米国や豪州で若者を中心に市場が拡大した飲料で、キリンビールは22年3月に発売。アサヒビールも4月に発売した。(2023/02/19調査)

酒類・アルコール飲料の競合状況

22年ビール系販売、アサヒ再び首位
日本経済新聞社の調査によると、2022年のビール系飲料国内販売数量(日経推定)で、アサヒビールが3年ぶりにシェア首位となった。22年は外食需要が回復し、飲食店向けが伸びた。家庭用に強いキリンビールがシェアを落とす一方、業務用で高いシェアを持つアサヒは販売を増やした。ビール系飲料全体のシェアはアサヒが36.5%となり、35.7%のキリンを逆転した。
アサヒグループホールディングス(HD)は海外の高級ビール事業を成長の柱に据えている。16年にビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブの西欧ビール事業を、17年に東欧5カ国のビール事業を買収。20年6月にはインベブ傘下で豪州ビール最大手のカールトン&ユナイテッドブリュワリーズなど55社を買収した。海外事業が決算に大幅に寄与するようになる。(2023/02/19調査)

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