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Question

ペットボトル

ペットボトルの業界分類
ペットボトルの業界定義
飲料等向けのペットボトルを製造する。

ペットボトルの業界概要

清涼飲料容器の7割超がペットボトル
PET(ポリエチレンテレフタレート)は石油から作るテレフタール酸とエチレングリコールを原料に、高温・高真空下で化学反応させて作られる樹脂の一つ。この樹脂を溶かして膨らませたものがペット(PET)ボトル。PETには透明性などに優れるが耐熱性の劣るA-PET(非結晶性PET)、耐熱性に優れるC-PET(結晶性PET)などがあり、用途に応じて使い分ける。ペットボトルはリシール性(再び閉じる)や軽量性、成形加工性、リサイクル性などが強み。
富士キメラ総研は、ペットボトルの2024年の市場規模を20年比17%増の4195億円と予測する。脱プラスチックの動きはあるが、リサイクル率の高さから紙容器への移行は少ないとみている。単価の高いリサイクル樹脂やバイオ樹脂の採用も増え、市場の伸びは大きいという。飲料用を中心としたボトル類では、植物由来のバイオ樹脂の利用が増えている。同社はボトル向けのバイオPET(ポリエチレンテレフタレート)とバイオPEF(ポリエチレンフラノエート)の世界市場が23年には67万トンと、19年比で27%拡大するとみる。(2023/05/19調査)

ペットボトルの市場動向

ボトルtoボトルの工場建設計画相次ぐ
ペットボトル市場は停滞期を迎え、プリフォーム需要も一定量で頭打ちとなっている。ペットボトルメーカーとプリフォームメーカーでは、軽量化技術や「ボトルtoボトル(再利用)」を含む環境対応技術、バリアボトルなどの機能性ボトルの開発技術の重要度が増している。
ペットボトルの再生利用に取り組む企業が増えている。日本ではペットボトルの仕様が統一され、リサイクル工場で何度もボトルに再生する「ボトルtoボトル」に向いている。矢野経済研究所の調査によると、飲料メーカーは清涼飲料容器に使用してきたバージンPETからリサイクルPETやバイオマスPETへの原料の切り替えに取り組むが、現状ではまだバイオマスPETの商業化には至っておらず、各社はリサイクルを主体に取り組みを進めている。(2023/05/19調査)

ペットボトルの競合状況

キリン、ペットボトルのビール製造ライン新設
国内ペットボトルのメーカーは東洋製缶、吉野工業所、北海製缶、大和製缶(東京・千代田)など。凸版印刷や三菱ケミカルなどは、外気の影響を受けにくいバリアボトルを手がける。飲料メーカーやパッカーはプリフォーム(ボトル成型前の中間製品)を仕入れてペットボトルを製造していたが、コスト削減のために自前で機械を購入してプリフォーム段階から手掛ける割合が増えている。
東洋製缶は環境負荷低減や高付加価値化を推進。ブランドオーナーのニーズに対応するプリフォームの供給や充填システムの提案、成形技術支援など総合的なソリューションの提供を進めている。2021年10月からは、ペットボトルといった樹脂などを対象に容器の原料調達から廃棄までの二酸化炭素(CO2)排出量を開示する。自らのCO2量を示し、自社の環境に優しい商品の採用につなげる。東洋製缶グループホールディングスの23年3月期は茶類向けなどのペットボトル・キャップの販売が夏場の猛暑の影響で増加した。(2023/05/19調査)