[FT]侵攻の先に見える大惨事 「力こそ正義」なら核戦争も ウクライナ侵攻 マーティン・ウルフ Think! ヨーロッパ FT FT commentators 3月23日 新しい世界が生まれつつある。平和な国際秩序への望みは薄れている。 かわりにロシアによるウクライナ侵攻や核兵器による世界最終戦争の脅威、西側諸国の結束、専制国家による同盟、かつてない規模の経済制裁、エネルギーや食料品価格の大幅な高騰が世界を襲っている。この先何が起きるかは誰にもわからない。だが、大惨事になりそうなことは誰もが知っている。 ■NATOの曖昧さ、侵攻の要因か そうなると誰かのせいにした [FT]侵攻の先に見える大惨事 「力こそ正義」なら核戦争も
[FT]インフレに後手のFRB 賃金と物価の連鎖上昇必至 マーティン・ウルフ FT FT commentators 2月18日 昨年11月22日にバイデン米大統領は、パウエル氏を米連邦準備理事会(FRB)議長に再指名した。その8日後、パウエル氏は上院で議会証言し「あの言葉を使うのはやめ、インフレについて我々がどう考えているかもっと明確に説明する必要がありそうだ」と述べた。あの言葉とは「一過性(transitory)」だ。 FRBはこの言葉を呪文のように繰り返し、経済が力強く回復する中で物価が上昇しても、超緩和的な金融政策 [FT]インフレに後手のFRB 賃金と物価の連鎖上昇必至
[FT]世界経済、いばらの回復 引き締めで浮上するリスク マーティン・ウルフ FT FT commentators 2月2日 2021年は力強い景気回復の年だったが、世界全域で回復したわけではなく、完全に元にも戻らなかった。残念ながら、現時点の22年の見通しは、昨年10月の国際通貨基金(IMF)の予想より悪くみえる。 IMFは、悪化の主因は新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」と供給不足、予想を超えた高いインフレ率だと論じている。成長予想の下方修正が特に顕著なのは米国と中国だ。不確実性は高く、下押し要因のリスクが集 [FT]世界経済、いばらの回復 引き締めで浮上するリスク
[FT]米、財政出動で民主主義守る マーティン・ウルフ FT FT commentators 5月21日 「米民主主義が長く続くかという問いは古くからあるが、差し迫った問題でもあり、米国が誕生した時から存在する」 バイデン米大統領は4月28日の施政方針演説でこう語り、自分の政権にどれほど重要なことがかかっているかを明確にした。世界の独裁者が、米民主主義は「我々を分断してきた噓や怒り、憎悪、恐怖を克服できない」とみているとも述べた。この認識は正しい。独裁者らの見方が正しい可能性さえある。 米二大政党の [FT]米、財政出動で民主主義守る
[FT]中国の米衰退論は間違い マーティン・ウルフ FT 中国・台湾 北米 FT commentators 5月7日 中国のエリート層は、米国はもはや反転できない衰退の道を歩んでいるとみている。米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のジュード・ブランシェット氏もそう指摘している。近年の米国、特に政治での出来事をみれば彼らの見方もうなずける。安定した自由民主主義国ならば、トランプ氏のような必要な資質と能力の全てを欠く人物を国の指導者に選ぶことはなかっただろう。 それでも、米国が衰退していると考えるのは行き [FT]中国の米衰退論は間違い
[FT]株価暴落、経済耐えられる マーティン・ウルフ FT FT commentators 3月26日 「2009年から続いた長い強気の市場はついに正真正銘の大型バブルになった。桁外れの過大評価に爆発的な価格高騰、無節操な新株発行に熱に浮かされたように投機に走る投資家の行動といった特徴がでそろっており、18世紀前半の南海泡沫(ほうまつ)事件、1929年の大暴落、2000年のハイテクバブルと並んで、金融史に残る巨大バブルの一つになると確信している」 伝説的な投資家で米資産運用会社GMOの共同創業者で [FT]株価暴落、経済耐えられる
[FT]弱まる自由民主主義の光 マーティン・ウルフ FT FT commentators 1月4日 「21世紀に入って初めて人口100万人超の国で民主主義国を非民主主義国が上回った」。歴史学者のT・G・アッシュ氏は「自由主義の未来」と題した小論でこう断じた。米スタンフォード大学のL・ダイアモンド氏のいう「民主主義の後退」のことだ。幸い米国でバイデン前副大統領が次期大統領に選ばれたが、それで話は終わらない。 今起きていることを理解するには、政治と経済の関係を明らかにする必要がある。米経済学者のブ [FT]弱まる自由民主主義の光
[FT]企業の目標 再定義を マーティン・ウルフ FT FT commentators 12月16日 事業会社の目標は何であるべきか。米経済学者のミルトン・フリードマンは、1970年9月の米ニューヨーク・タイムズ・マガジンの記事で「企業の社会的責任は利益の最大化」だと説いた。長年英語圏において、そして次第にほかの国でも、これが最も一般的な見解だった。筆者もかつてはそう信じていた。だが、今は間違っていたと言わざるを得ない。 この記事は通読をお薦めするが、核心は結論にある。「企業の社会的な責任はただ [FT]企業の目標 再定義を
[FT]人命重視が経済も救う マーティン・ウルフ FT FT commentators 12月2日 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から我々が学んだ唯一にして最大の教訓は、歴史的な観点でみると比較的緩やかなパンデミックであるにもかかわらず、大きな被害が生じてしまったことだ。 緩やかといっても、コロナがもたらした苦しみや、効果的なワクチンを世界に展開できるまで続く苦痛を軽んじているわけではない。だが、新型コロナは専門家の想像を大きく上回る社会的、経済的な脆弱性を明らかにした。なぜ [FT]人命重視が経済も救う
[FT]経済のコロナ後遺症防げ マーティン・ウルフ FT FT commentators 10月28日 新型コロナウイルスに感染した患者の中には、回復後もつらい症状に長く悩まされる人が多い。これは「コロナ後遺症」と呼ばれるが、経済にも同じことが起こり得る。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)によって世界経済は深刻な景気後退に陥るだけでなく、その後も何年にもわたって衰弱した状態から抜け出せなくなる恐れがある。この「経済のコロナ後遺症」の脅威に対応するためにも、政策決定にあたる当局者は2008年の [FT]経済のコロナ後遺症防げ
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チーフ・エコノミクス・コメンテーター
チーフ・エコノミクス・コメンテーター
Martin Wolf 英国生まれ。経済政策の間違いが第2次世界大戦を招いたとの問題意識から経済に関心を持つ。世界銀行のエコノミストなどを経て87年にFT入社。一貫して経済問題を執筆。現在最も影響力のあるジャーナリストとされ、その論評、発言は各国の財務相や中央銀行総裁も注目するという。
Martin Wolf 英国生まれ。経済政策の間違いが第2次世界大戦を招いたとの問題意識から経済に関心を持つ。世界銀行のエコノミストなどを経て87年にFT入社。一貫して経済問題を執筆。現在最も影響力のあるジャーナリストとされ、その論評、発言は各国の財務相や中央銀行総裁も注目するという。