新型コロナ禍による緊急事態宣言下で迎えた2021年の通常国会は歴史に残るものになる。出席者がみなマスクを着用し、発言者の前に透明の板が置かれる議場の風景を「あのころは……」と苦笑いして振り返れる日が早く来てほしいと切に願う。
議場の風景がずいぶん変わった一方、平時とまったく変わらないのが国の予算をめぐる融通のきかなさだ。国会の冒頭で成立を急いだ20年度第3次補正予算に「Go To トラベル」絡み
直前になって東京発着を対象から外すなど、すったもんだの末に政府の国内旅行喚起策「Go To トラベル」キャンペーンが始まって1カ月余りたった。お盆の帰省を控えるよう促す自治体がある中での官製キャンペーンがちぐはぐな印象を与えたのは周知の通り。社会活動が夏には元に戻るだろうという期待が裏切られた現状を見るにつけ、コロナ禍の深刻さを改めて思い知らされる。
天災で失われた需要を政府が代わりにつくって業
本社コメンテーター
金融・経済政策
金融ビジネスや金融政策、税制・財政をはじめとする経済政策、社会保障の現場を取材してきた。2010年からのロンドン駐在では欧州債務危機に揺れる政治や行政、人々の暮らしをのぞいた。編集委員を経て18年から現職。