「福祉」訴えるイタリアの極右 The Economist 8月9日 7月23日と24日、地中海でおんぼろ船から救出される移民の数が急増した。イタリア政局の混乱に呼応しているかのようだった。同国南部ランペドゥーサ島にある移民受け入れ施設には、2000人余りが殺到した。 その2日前、マッタレッラ大統領はドラギ首相の辞任を受けて、9月25日に総選挙が実施されると発表した。今よりもはるかに大きな危機下にあった2014~16年と同様に、移民数の増加はイタリアの極右勢力にと 「福祉」訴えるイタリアの極右
景気後退は世界経済強化の好機 The Economist 8月2日 通常、世界にリセッション(景気後退)がやってくるなどと予測することは、ごく一部の少数派による多数派への異論と捉えられる。だが今回は、世界経済が今や景気後退に陥るのを避けられるとみる方が圧倒的少数派だ。 数多くの国が金融引き締めに突き進むなか、その代表格の米国では、米連邦準備理事会(FRB)が7月27日にさらに0.75%の大幅利上げを決め、3月以降、政策金利を計2.25%引き上げた。この12月まで 景気後退は世界経済強化の好機
ESG投資、排出削減を軸に The Economist 7月26日 地球環境を害する、労働者を不当に扱う、経営者の取り巻きが役員会を固める――そんな企業を嫌悪する投資家なら、金融界で一番ホットなトレンドの一つであるESG(環境・社会・企業統治)投資のことを知っているはずだ。ESG投資とは資本主義をより良く機能させ、気候変動がもたらす深刻な脅威に対処しようとする試みだ。 近年その規模は急速に拡大し、調査によると、大手運用会社などが手掛ける資産の3分の1以上、合計で ESG投資、排出削減を軸に
新興国のインフレ退治 The Economist 7月19日 欧米の中央銀行は最近になってようやく、景気回復の推進から根強いインフレの退治へとかじを切った。だが一部の新興国は、この政策転換にずっと早くから着手していた。 ブラジル中央銀行が0.75%の利上げに踏み切ったのは2021年3月で、米連邦準備理事会(FRB)が同じ上げ幅で行うのより、1年3カ月早かった。先進国の財政刺激策でインフレリスクが高まり、それにより金融市場が動揺し、新興国に影響が及ぶと予測し 新興国のインフレ退治
中国ティックトック、なお残る疑念 The Economist 7月12日 元気なダンスや音楽に合わせ口を動かす「口パク」の動画があふれる中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は「インターネットに残る最後の日の当たる場所」を自称していた。 サービス開始から5年で10億人強の利用者を獲得し、彼らの心を温める一方、米シリコンバレーのSNS各社に激しい競争をもたらし、それまでつけいる隙がないと思われていた米テック業界の一角に大きな風穴を開けた。 だが消費者や 中国ティックトック、なお残る疑念
高まるインフレ期待、賃上げ加速 The Economist 7月5日 インフレに関する悪いニュースが引きも切らない。主要先進国の物価上昇率は前年同月比で軒並み9%を上回っており、1980年代以降最も高い水準にある。さらに、インフレ率がエコノミストの事前予想を上回る「インフレ・サプライズ」がかつてないほど頻発している。想定を超えたインフレが経済と金融市場に衝撃をもたらしている。 対応策として、各国の中央銀行が金利を引き上げ、国債買い入れに終止符を打ち、株価が下落した 高まるインフレ期待、賃上げ加速
エネ危機てこに気候対策改善を The Economist 6月28日 2022年に起きたエネルギー危機は、1973年と79年の中東発の石油危機以降で最も深刻だ。この2度の災難と同様、短期的には痛みをもたらすとともに、長期的にはエネルギー産業の変革が見込まれる。痛みを避けるすべはなく、燃料や電力価格の高騰により、ほとんどの国が低成長やインフレ、生活水準の低下、激しい政治的反発に直面している。 ただ、長期的な影響は決して予断を許さない。政府が対応をしくじれば、化石燃料 エネ危機てこに気候対策改善を
議会占拠、トランプ氏を罪に問えるか The Economist 6月21日 2021年1月6日に起きた米連邦議会占拠事件を調べている下院の「1月6日特別委員会」が今月、公聴会を開いた狙いは複数ある。同委員会の委員9人の一部は、トランプ氏が大統領選の結果を覆そうとした事実を記録に残すのが狙いだと語る。民主党所属の委員らは、秋の中間選挙での苦戦が予想されるだけに、何とか追い風にしたいと願っているのだろう。 しかし、副委員長を務める野党・共和党のチェイニー議員は昨年表明した通 議会占拠、トランプ氏を罪に問えるか
ESGはビジネスの領域なのか The Economist 6月14日 1999年、米タイム誌は米金融当局の重鎮3人を特集し「世界救済委員会」と呼んだ。当時の米連邦準備理事会(FRB)議長のアラン・グリーンスパン氏、95年から財務長官を務めたロバート・ルービン氏、99年に財務長官に就任したローレンス・サマーズ氏の3人だ。ロシア危機やブラジル通貨危機などの混乱が世界金融システムに波及するのを防いだ立役者たちだ。 確かに偉業ではあった。だが、現代の「地球救済委員会」とも ESGはビジネスの領域なのか
プーチン氏が揺るがす核秩序 The Economist 6月7日 ロシアのプーチン大統領は100日前、核攻撃をちらつかせてウクライナへの侵攻を開始した。自国の核兵器を高く評価し、ウクライナの征服を約束した同氏は、干渉しようとする国々を「歴史上直面したことのないような」事態に陥らせると威嚇した。それ以来、ロシアのテレビはアルマゲドン(世界最終戦争)を話題にして視聴者を引き寄せている。 プーチン氏はウクライナで核爆弾を使用しなくとも、すでに核の秩序を乱している。同 プーチン氏が揺るがす核秩序