外資、まだら模様の中国回帰 NIKKEI Asia Opinion 3月26日 今年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は「外資企業の投資は歓迎され、中国への扉はさらに開かれる」と明快なメッセージを発した。しかし最近、中国を去る企業の決断が目立っている。 中国に進出する外資企業にとって2022年は厳しく、不安な年だった。いわゆる「ゼロコロナ」政策は需要を弱め、サプライチェーン(供給網)を混乱させた。米国が中国への先端半導体の輸出を禁 外資、まだら模様の中国回帰
ポスト「一帯一路」、西側への挑戦 NIKKEI Asia Opinion 3月19日 中国の「一帯一路」構想が外交の柱となって10年が過ぎた。中国の経済協力や開発援助はこの構想の下に集約されてきたが、いまや唯一のメニューではなくなった。 2021年9月、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は国連総会で「グローバル開発イニシアチブ(GDI)」を発表した。GDIは現在、発展途上国との戦略的な関係を再確認する外交的な場として機能しているようだ。国連では約60カ国がGDIの「友人グルー ポスト「一帯一路」、西側への挑戦
パキスタン復興は世界の責務 NIKKEI Asia Opinion 3月12日 パキスタンが2022年8月の壊滅的な洪水による被害を受け続けている。 1700人超の命を奪い、数百万人に避難を強いた洪水により、パキスタンは気候変動被害の象徴的存在となった。半年が経過した今も多くの地域がよどんだ水に覆われ、世界に責任と道徳的義務を問いかけている。 パキスタンの復興は前途多難だ。政治や治安が乱れており、経済危機にも見舞われている。外貨準備高は減少し、イスラム過激派による攻撃も増え パキスタン復興は世界の責務
スリランカ危機と「子ども食堂」 NIKKEI Asia Opinion 3月5日 世界的インフレにより食糧難が深刻化している。過去15年で3度目の食糧危機により、急性飢餓の人々は2021年時点で1億9300万人に上ると推計されている。 危機から立ち直るためにはコミュニティーの回復力が必要になる。そして人道的な対応でも欠かせないのが権限の委譲だ。地域の事情をよく知る人々にこそ、危機に対処する能力を期待できる。 南アジアではスリランカが最も深刻な状況で、食糧のインフレ率は世界で6 スリランカ危機と「子ども食堂」
シンガポール、同性婚に揺れる NIKKEI Asia Opinion 2月26日 シンガポールは1月、成人男性同士の性行為を犯罪とする刑法の一部を廃止した。一方、結婚は男女間のものとする伝統的な法の定義は争う余地がないものとしている。 リー・シェンロン首相は昨年、男性間性交渉を禁じる刑法377A条を撤廃するには「抑制され、慎重に検討された方法」が要ると述べた。これは性的少数者(LGBTQ)のコミュニティーによる承認要求を満たしつつ、社会規範に劇的な変化をもたらすことを回避しよ シンガポール、同性婚に揺れる
モンゴル、中ロ依存に危うさ NIKKEI Asia Opinion 2月19日 モンゴルが新型コロナウイルスやウクライナ戦争の影響を受け、隣国の中国とロシアへの依存をますます強めている。他国や国際機関、企業が再び関与しなければ、モンゴルは国際社会から遠ざかることになる。 国際通貨基金(IMF)はモンゴルの財政再建に協力し、世界保健機関(WHO)の「コバックス」構想がコロナワクチンの供給を補完している。しかしこうした支援だけではモンゴルの地位を維持することはできない。モンゴル モンゴル、中ロ依存に危うさ
アーダーン氏は「全てを得た」 NIKKEI Asia Opinion 2月12日 ニュージーランドの首相を辞任したジャシンダ・アーダーン氏の決断が大きな議論を呼んでいる。体力が持たないというのが、彼女の辞任理由だった。反響が大きいのは、女性リーダーが少ないため、大きな期待が寄せられていたからかもしれない。 女性の政治家は十分な存在感を示していない。国連によると2021年1月時点で女性の国家元首がいるのは9カ国にすぎず、閣僚の女性比率は22%にとどまった。 制度的な障壁により、 アーダーン氏は「全てを得た」
ベトナムの粛清は成長損なう NIKKEI Asia Opinion 2月5日 ベトナムでは新年早々に2人の副首相が解任された。1月17日にはグエン・スアン・フック国家主席も辞任し、一党支配の共産党による粛清の動きが広がっている。 粛清は政府内の他のポストに及ぶとの見方もある。ハノイやホーチミンの指導部も混乱しており、ホーチミンの党書記は2020年以降に2度交代している。 ベトナムは2022年にアジア最高の8%の経済成長を記録した。多国籍企業がサプライチェーン(供給網)の中 ベトナムの粛清は成長損なう
韓中貿易、黄金期には戻れず NIKKEI Asia Opinion 1月29日 尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏は2022年、米国との同盟関係の強化を掲げ、韓国大統領に当選した。投資家は尹氏の姿勢が中国を怒らせ、韓国経済に打撃を与えるのではないかと懸念していた。 しかし尹大統領は中国に対して予想外にソフトなアプローチをとっている。22年8月、ペロシ米下院議長が台湾などアジアを歴訪した際、尹氏が中国の反発を買いそうなペロシ氏との会談を拒否したことからも明らかである。 22年末に中 韓中貿易、黄金期には戻れず
ミャンマー西部に支援回廊を NIKKEI Asia Opinion 1月22日 2022年11月下旬、ミャンマー国軍と西部ラカイン州の少数民族武装勢力、アラカン軍との間で非公式な停戦が成立した。数カ月の激戦は終わったが、停戦合意は危機を取り除いたわけではない。 国軍は21年2月から、抵抗勢力を根絶するため全土で軍事行動を展開しているが、ラカイン州は別だ。同州は歴史や文化、政治力学が異なる。地域政党が長く支配し、国政が大きな影響力を持つことはなかった。ラカイン州の少数民族でイ ミャンマー西部に支援回廊を