時代遅れ米農業、再構築を FINANCIAL TIMES 7月1日 米国では長らく食べ物の価格は安いとされてきた。だが実はそのことがいかに経済的、政治的なコストを招いているかを知るために米中西部の農業地帯に行くことをお勧めしたい。 筆者もこのほど同地域を訪れた。ウィスコンシン州からミズーリ州まで車で南下すること数百キロ、トウモロコシ畑や大豆畑が延々と広がる。ただ、そのほとんどは食品としてではなく飼料として作付けされている。 途中、小さな町でファストフード店や赤身 時代遅れ米農業、再構築を
熱波があおる貧困・紛争 FINANCIAL TIMES 6月29日 筆者はここスペイン・マドリードにおいて、人生で最も長く、最も激しい熱波を経験したところだ。1週間以上にわたり、日中の最高気温が40度か40度近くで推移した(なお、英国の観測史上最高気温は38.7度だ)。 夜になると、暑さで息を詰まらせるより騒がしい外音のほうがましだと思い、扇風機を回し、窓を開けて寝た。 マドリードの街は生産性が落ち、楽しさが薄れた。徒歩10分の移動が長すぎるように感じ、子供の通 熱波があおる貧困・紛争
その商品、「環境配慮」は本当か FINANCIAL TIMES 6月27日 英国の広告自主規制機関、広告基準評議会(ASA)の判断が冷凍庫の冷気のように経営陣の背筋を凍らせた。狙い通りの効果と言ったところか。 ASAは6月上旬、英スーパー大手テスコに対し、同社の植物由来原料のハンバーグ製品は環境への負荷が低いことを示していないと指摘し、そうPRする広告の打ち切りを求めた。 奇妙な見解だ。みな食肉の消費を減らすのが地球環境のために好ましいとうすうす分かっている。ASAもそ その商品、「環境配慮」は本当か
日本襲うランサムウエア FINANCIAL TIMES 6月24日 徳島県つるぎ町にある町立半田病院は、四国ののどかな地域にある何の変哲もない中規模病院だ。吉野川を見下ろす丘のふもとにあり、最近の統計では人口8048人という高齢化が進むこの町の医療を支えている。 人々のささやかな日常へと最近、攻撃の範囲を広げつつある世界で最も冷酷なサイバー犯罪集団にとって、こうした組織は格好の攻撃対象だ。彼らは世界規模で展開するランサムウエア(身代金要求型ウイルス)による攻撃の 日本襲うランサムウエア
スイス、経済では「脱中立」 FINANCIAL TIMES 6月22日 スイスのチューリヒ美術館新館は、著名建築家のデビッド・チッパーフィールド氏が設計し、磨き上げられた石灰岩と金色を基調としている。 その中には、スイスが経済的中立を貫いたことで負った道徳的な負債を償うことを目的とした展示室がある。個人が収集した近代欧州芸術コレクションとしては世界屈指の規模であるビュールレ・コレクションだ。 コレクションを収集したエミール・ビュールレは第2次大戦中に武器製造販売で財 スイス、経済では「脱中立」
宅配アプリ、金利上昇が直撃 FINANCIAL TIMES 6月20日 最初に端末操作一つで家に来てくれたのは配車アプリ「ウーバー」の運転手だった。今ではビスケットや鎮痛剤を自宅に届けてくれる人たちもいる。最短10分で日用品を配達するアプリも続々登場し、その魅力は抗しがたい。 いつでも要求に応えてくれるオンデマンド型のアプリを使えば、誰もが使用人に物を頼むぜいたくを味わえるようになった。もっとも要望に応じてくれるのは毎回見知らぬ「使用人」で、再び顔を合わせる機会は多 宅配アプリ、金利上昇が直撃
EU充電規格統一の是非 FINANCIAL TIMES 6月17日 米アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏はデザインに明確な方針を持っていた。「シンプルに。とにかくシンプルに」と公言もしていた。独デザイン学校バウハウスの機能美を重視し、その「レス・イズ・モア(少ないほど美しい)」という規範を自らも徹底して追求した。 だから筆者の自宅の机の充電コーナーを彼が見たら我慢できたか疑問だ。そこにはワイヤレスの充電器2台と端子がすべて異なる3本のケーブルがつながれている EU充電規格統一の是非
未公開株に市場の審判 金利上昇、選別厳しく FINANCIAL TIMES 6月16日 先日出席した投資専門家の会議では複数のプライベートエクイティ(PE、未公開株)ファンドが、今年の株安で損失を被った投資家の資金がPEに向かうだろう、と豪語していた。強気の関係者は、PEは株式・債券市場が今年受けたような審判は免れると自信がある様子だった。投資環境の変化に対して構造的な免疫があるという。 私は彼らの強気が虚勢となり、その自信は見当違いだったと分かるときが来ると考えている。実体経済、 未公開株に市場の審判 金利上昇、選別厳しく
LMEの取引停止は失態 FINANCIAL TIMES 6月15日 今から10年前、当時英イングランド銀行(中央銀行)副総裁だったポール・タッカー氏は金融関係者と仲間である規制当局者に熱烈なメッセージを送った。取引所を支えるクリアリングハウス(清算機関)の周辺に潜む危険に目を覚ますよう訴えかけたのだ。 タッカー氏は、自身の記憶に残る限りでも清算機関が3社破綻している、と警告した。2社は1974年と83年にコモディティー(商品)価格の乱高下のために破綻した。87年 LMEの取引停止は失態
マスク氏「オフィスで働け」 FINANCIAL TIMES 6月10日 米起業家のイーロン・マスク氏は、他の経営者なら世間には見せない衝動的、本能的なエネルギーを隠すことはしないようだ。つまり、社会通念や企業の一般的行動規範といった制約などは一切、お構いなしの行動によく出る。他の経営者なら考えているだけのことをマスク氏は、口にしたときの影響も考えずに大声で発言する。 その最たる例が、マスク氏が率いるテスラと宇宙企業スペースXの社員に5月31日に送ったメールだ。従業員 マスク氏「オフィスで働け」