公益重視は古き良き経営で 大機小機 5月26日 日本政府は企業が貧困や環境改善など公益を重視した経営ができる新しい会社制度をつくるという。5月17日付の日本経済新聞によると米国のPBC(パブリック・ベネフィット・コーポレーション)を参考にしたものだという。ただ、新しい制度をつくればよいというものではない。制度をうまく機能させるためには、その国の文化との親和性や他の社会制度との整合性を考えねばならない。会社制度も例外ではない。 そもそも公益と私 公益重視は古き良き経営で
バブル崩壊、残る本物を見抜け 大機小機 5月25日 米国の株式市場が大きく値を崩している。下落の主役はハイテク株である。今世紀初頭に崩壊したインターネットバブルを思い出した関係者も多いのではないか。 ついでにもう1つ思い出すのなら、そのバブルを生き延びたハイテク企業が今や世界を席巻している事実である。マイクロソフトやアップルの社歴は比較的長い。この2社に比べ、アマゾンとグーグルの創業は遅いとはいえ、今世紀に入る前である。これらの企業はバブル崩壊以 バブル崩壊、残る本物を見抜け
インフレ、1年後に一巡も 大機小機 5月24日 ロシアのウクライナ侵攻で石油はじめ穀物、海運など国際商品価格が軒並み高騰し、価格転嫁でインフレの波が世界に広がっている。世界主要50カ国の消費者物価の上昇率は今年3月、27年ぶりに7%を突破した。物価高騰が家計を直撃し、各国政府はインフレとの戦いを強いられている。インフレの先行きをどうみればよいだろうか。 いつの時代も戦争の行方を予測することは難しい。だが、歴史を振り返ると過去100年間に主な戦 インフレ、1年後に一巡も
リスキリングは企業の責任 大機小機 5月21日 春の大型連休中に外遊した岸田文雄首相が英国で講演した際、人への投資の重要性を指摘し「リスキリングに力を入れる」と力説した。歓迎だ。日本経済が長期停滞から抜け出すには、従業員の学び直しによる生産性向上が決定的に必要だからである。 リスキリングは一般に、デジタル人材への転身に必要なスキルを再教育で身に付けることを指す。企業が従業員のために取り組めば、リストラを最小限に抑えて、レガシー部門から成長部門 リスキリングは企業の責任
対韓輸出規制という黒歴史 大機小機 5月20日 間もなくバイデン米大統領が訪日する。先に韓国ソウルを訪れ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領との会談を済ませてからとなる。北朝鮮の脅威が高まる中で、「日韓関係の改善」は米国の北東アジア政策の中でも優先順位が高いことは言をまたない。 日韓間の争点は多々あれど、この機会に確認しておきたいことがある。3年前に実施した半導体材料の輸出規制は失敗だったということだ。 2019年7月、経済産業省はレジスト( 対韓輸出規制という黒歴史
世界情勢が生む日本の好機 大機小機 5月19日 ウクライナを暴力的に強奪しようとするロシアは、地球上には人を殺すことに何の痛痒(つうよう)も感じないリーダーが存在する事実を見せつけている。 一部には、米国や北大西洋条約機構(NATO)の思惑が、ロシアを侵略に駆り立てたとの言説もある。だが、国際政治上の駆け引きやパワーゲームと、現在のロシアの暴虐を同じレベルで語ること自体が誤りだ。一方的に丸腰の市民を虐殺する行為を正当化できるものはない。 新型 世界情勢が生む日本の好機
ブロック超える新国際秩序を 大機小機 5月18日 ロシアのウクライナ侵攻に対し、西側諸国は極めて厳しい制裁を決定、実行している。天然ガス、原油などエネルギーの輸入停止、ロシア有力銀行の国際銀行間通信協会(SWIFT)やユーロクリアからの排除のみならず、量子コンピューターなど高度技術品の輸出禁止、貿易の最恵国待遇廃止に及んでいる。 5月上旬の主要7カ国(G7)は制裁の強化や武器供与の継続も合意し、米国議会は400億ドル(約5兆2千億円)に達するウ ブロック超える新国際秩序を
市場に忖度なし 大機小機 5月17日 市場は冷徹で、市場に忖度(そんたく)はない。 世界的にインフレ圧力が高まっている中でトルコのインフレが際立っている。どう対処するか。強権的ともいわれるエルドアン大統領の信念のもと、採られているのはなんと金利引き下げ、抑制策である。消費者や企業の負担を軽くするのが狙いという。経済理論とは真逆の奇策である。 大統領の力は圧倒的。誰も逆らわない。だが市場では理屈に合わない忖度は働かない。4月の消費者物 市場に忖度なし
ウクライナ危機と日本 大機小機 5月14日 ロシアのウクライナ侵攻は、民主主義諸国と権威主義諸国の分断を世界に明らかにすることになった。東西冷戦終結後、世界はグローバリゼーションの夢を描いていた。グローバリゼーションの中で、発展途上国が先進国を上回る成長を始め、それまでの南北問題がなくなり世界が豊かになれば、民主主義が広がっていくはずだった。 しかしながら、実際に起きたのは格差の拡大による先進国、発展途上国を問わない社会の分断で、それは東 ウクライナ危機と日本
新たな戦争の形 大機小機 5月13日 故サッチャー元英首相には今を見通したスピーチがある。「共産主義は崩壊しましたが、ロシア人も悲惨な時代を表現するユーモアを忘れていません。スターリンとフルシチョフ、ブレジネフが一緒に旅行していた時、乗っていた列車がガタガタと揺れて止まってしまいました」 「『直せ!』。スターリンは命令しました。技術者が懸命に働きましたが、動きません。『射殺しろ!』。スターリンが吠え、技術者たちは粛清されました。しか 新たな戦争の形