少子化対策、消費増税を中心に 大機小機 6月3日 異次元の少子化対策の財源は、6月の骨太方針から年末に延期された。当初案は事業規模3兆円で、歳出改革と社会保険料への上乗せ1兆円弱などを柱として議論されたが、党内外の反発が強くまとまらなかった。この規模・内容ではとても異次元の対策と言えず、膨らんだ国民の期待を大きく裏切ることになるという判断もあったのだろう。 なぜこのようなことになったのか。国民の批判を恐れ、消費税など税での対応を早々に排除したた 少子化対策、消費増税を中心に
失敗から学ぶことの大切さ 大機小機 6月2日 「失敗の図書館(Library of Mistakes)」。そんな変わった名前の図書館が金融都市としても有名な英スコットランドの古都エディンバラにある。経済・金融における過去の様々な失敗、過ちに関する書物や展示物が並べられている。 その失敗の図書館が「出張」する形で、ロンドン・シティーにあるイングランド銀行本店で5月中旬、「失敗の祭典」が開かれた。金融危機や失敗の歴史から学ぶ催しだ。昨秋の英年金 失敗から学ぶことの大切さ
令和日本の夢、実現の鍵はDX 大機小機 6月1日 日本は人口減少のただ中にある。周囲を見回すと、観光客を含め、知らぬ間に外国人ばかりである。しかも所得が増えない。この国がどこに漂着するのか、不安になる。 かつて日本の夢は所得を倍増させ、欧米の生活水準に追いつくことだった。この夢を目指し、国民は懸命に働いた。しかし欧米に並んだ瞬間、目標を失い、結果として停滞に迷い込んだ。 今も明確な目標がない。政府は人口減への対策を講じるが、札束で頬(ほお)を張 令和日本の夢、実現の鍵はDX
米国で深刻さ増す企業債務 大機小機 5月31日 歴史的なペースで金融引き締めが実施されるなかでも、米国経済はなお失速を免れている。引き締めの影響は金利に敏感な個人の住宅投資、自動車購入をまず悪化させ、その影響が経済全体に波及する形で景気が後退に陥るのが従来の典型的なパターンだ。しかし、今回はその経験則が当てはまらない。 そこには、米国の個人債務の状況が大きく影響しているだろう。不動産価格の高騰と並行して急速に膨張した個人債務は、2008年のリ 米国で深刻さ増す企業債務
根拠に基づく政策の立案を 大機小機 5月30日 岸田政権の異次元の少子化対策は、果たして異次元の効果を上げることができるだろうか。今回の少子化対策では、児童手当の拡充など多子加算の強化が検討されている。しかし、結婚や出産に至らない世帯が増えており、むしろ、そうした層への支援を拡充する方が効果を期待できるとの指摘もある。 そもそも異次元の少子化対策というなら、日本の少子化の要因分析や、これまでの少子化対策の効果の検証が必要である。それを踏まえて 根拠に基づく政策の立案を
若年層の政治関与を高める方策 大機小機 5月27日 先月行われた兵庫県芦屋市の市長選挙で、全国で歴代最年少となる26歳の高島崚輔市長が誕生した。市区町村長の被選挙権の資格年齢は満25歳なので、この最年少記録は当分続くであろう。 国立国会図書館の「諸外国の選挙権年齢及び被選挙権年齢」(平成27年12月号)によると、国際的には199の国・地域のうち176の国・地域で選挙権を18歳まで認めている一方、被選挙権は194の国・地域のうち、18歳が54カ国、 若年層の政治関与を高める方策
低PBRは機関投資家の不作為 大機小機 5月26日 海外投資家からの東証の評判が良い。市場区分の見直しで不評を買った東証だが、起死回生で放ったPBR(株価純資産倍率)の1倍割れ問題への対応が高く評価されている。日本株も上昇している。 プライム市場上場企業の約半数でPBRが1倍を下回っている。これを東証が問題視して企業に改善を要請しているのだ。標準的な企業価値評価モデルを前提とすれば、PBR1倍割れとは、その企業の自己資本利益率(ROE)が資本コス 低PBRは機関投資家の不作為
財政問題、日本の政治は別空間 大機小機 5月25日 米国では連邦債務の上限引き上げを巡る協議が一大政治イシューとなり、市場と金融、経済そのものも揺るがしかねない事態になっている。翻って日本の政界は、財政の健全化に関する議論は極めて乏しいのが現状だ。一体、なぜこんなことになってしまったのだろうか。 ここ10年ほど、自民党の財政をめぐる主流派は安倍晋三元首相を中心とする「積極財政派」になる。安倍氏が回顧録でいみじくも指摘していたように、この流派の人た 財政問題、日本の政治は別空間
中国経済「日本化」のわな 大機小機 5月24日 「中国経済は日本化の新たな波に直面している」。そんな海外メディアの記事や評論が目につく。中国が不動産バブル崩壊を機に長期停滞に陥った日本の二の舞いを演じるのでは、との見方だ。 ゼロコロナ政策を終えた後の経済のリバウンドに勢いがない。労働節の休暇は人出こそ多かったが、消費者の財布のヒモは固かった。 公式統計でも若年層(16~24歳)の5人に1人が失業中だ。卒業が失業に直結する就職氷河期が到来し、大 中国経済「日本化」のわな
野党の責務を考える 大機小機 5月23日 民主主義体制では政権交代が政治の常道だ。2020年に米国、21年にドイツ、22年にはオーストラリア、ブラジルで政権が交代した。トルコでは、長年政権を担ってきたエルドアン氏が5月14日の大統領選の1回目投票で過半数を取れず、野党統一候補との決選投票に持ち込まれた。 これに比べ、日本の政治は異例だ。1955年に自由民主党が結成されて以来約70年間、同党から政権が移ったことはわずか2回、合計4年ほどに 野党の責務を考える