環境・資源需給のジレンマ 一目均衡 4月13日 英石油大手BPが3月に発表した2020年の年次報告書が波紋を広げている。石油会社が長く重視してきた指標の1つ、「RRR(リザーブ・リプレースメント・レシオ)」を今回、経営上の重要指標からはずした。 RRRは生産により減少した原油・ガスの埋蔵量をどれだけ回復できたかを示す。水筒の水を飲み続け補充しないと空になるのと同じで、生産した分を回復しないと埋蔵量が減り将来の生産に不安が生じる。そのため、石油 環境・資源需給のジレンマ
「金融」の再発見に脚光 一目均衡 4月6日 世界中で新型コロナウイルス禍が続き、収束の兆しが見えない。サービスなど非製造業は復活が遠く、多くの経営者が安定した収益をどう生むかに頭を悩ませている。そんな中で、ある業種に光が当たりつつある。好況に沸くIT(情報技術)に長らく隠れがちだった金融業だ。 米買収ファンド大手アポロ・グローバル・マネジメントは3月、保険大手アテネ・ホールディングを110億ドル(約1兆2千億円)で買収すると発表した。一定 「金融」の再発見に脚光
日銀、自縄自縛のETF買い 一目均衡 3月30日 予想通り、それは「点検」ではなく「同義語反復」に終わった。19日に日銀が公表した政策再点検の資料でETF(上場投資信託)買い入れの「効果」として調べたのは、煎じ詰めれば、超短期のマーケットインパクトだった。「効果あり」なのは明白で、検証は「株価を短期的に下支えした」という事実を言い換えたにすぎない。 「株式市場のリスクプレミアムへの働きかけ」で問われるべきは、企業や投資家の行動にどんな長期的変化 日銀、自縄自縛のETF買い
暗号資産にESGの宿題 一目均衡 3月23日 英資産運用会社ラファーは2020年11月、暗号資産(仮想通貨)ビットコインへの投資を始めた。当初振り向けたのは、受託資産3兆円強(216億ポンド、21年2月末)のうち2.5%。ビットコイン相場は参入時に1万ドル台後半だったのが21年初めにかけて倍以上に急騰した。一部を売って早くも1000億円規模の利益を手にしたようだ。 「ビットコインは超国家通貨としての金に挑む存在になってきた」。ジョナサン・ラ 暗号資産にESGの宿題
失われた価格発見機能 一目均衡 3月16日 株価がファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映しなくなっているのでは――。多くの投資家が今の株式市場に感じているであろう違和感の正体を、数字で解き明かした論文が今月発表された。 証券アナリストジャーナルが3月号に掲載した野村アセットマネジメントのクオンツやファンドマネジャーら3人の手による「バリュー投資の再考」と題した論文だ。 「2018年以降に限っていえば(企業の)利益の改善があったとして 失われた価格発見機能
株取引、バフェット氏の忠告 一目均衡 3月9日 4日午前のニューヨーク証券取引所。上場投資信託(ETF)の上場記念式典に著名なスポーツ専門ブロガー、デビッド・ポートノイ氏が登場した。同氏が関与したETF「BUZZ(バズ)」はSNS(交流サイト)で話題の銘柄群を基に毎月中身を入れ替える。1年前まで投資業界と無縁だった人物がウォール街の中心地で祝福を受けた。 □ ■ □ 同氏がデイトレーダーに転身したのは2020年春。コロナ禍でスポーツイベント 株取引、バフェット氏の忠告
社会の「幸せ」に共感マネー 一目均衡 3月2日 1929年、米株式市場の大暴落の直後にオランダ・ロッテルダムで設立された運用会社、ロベコ。90余年を経て行き着いた投資哲学は、日本の感覚ではかなりユニークなものに響く。 ロベコのジルベール・ヴァン・ハッセル最高経営責任者(CEO)は「マネーには良い社会をつくる力が備わっている」を持論とし、投資の3要素として「リスク」と「リターン」に加えて「ウェルビーイング」を挙げる。「幸せ」とか「良い状態」とい 社会の「幸せ」に共感マネー
中国、株不正まん延と代償 一目均衡 2月23日 「話は役員クラスの知り合いから直接聞いた」。上海市に住む40代の弁護士は2020年10月、IT(情報技術)大手、神州数碼集団の役員からある内部情報を耳打ちされた。米国の制裁で半導体調達に詰まった華為技術(ファーウェイ)がスマートフォンの低価格ブランド「HONOR」の売却を検討しており、その買い手として神州数碼が名乗りを上げるという計画だ。 神州数碼は19年、郭為董事長が別の買収案件を知人に漏らす 中国、株不正まん延と代償
資金調達に「グリーン基準」 一目均衡 2月16日 日経平均株価が3万円台を回復するなど金融市場はコロナ禍からの立ち直りが顕著だ。それを象徴するように債券市場ではグリーンボンドの発行が急増する兆しが出ている。欧州の政府や企業がけん引し、1兆ユーロ市場に成長するとの予測もある。制度作りの面でも先を行く欧州に早く追いつく必要があるだろう。 欧州政府で今年発行に踏み切ると予想されているのはイタリア、スペイン、デンマーク、ウクライナなど。脱炭素社会の実現 資金調達に「グリーン基準」
社外取、本質かすむ「数合わせ」 証券部次長 川上穣 一目均衡 2月9日 日本の企業統治を巡って周囲が騒がしい。今春に3年ぶりに改定されるコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)で独立社外取締役が3分の1以上と、現行の2人以上から引き上げられる。これがはたして企業価値の向上に直結するのか、肯定派と反対派の溝が深まっている。 2100社を超える東証第1部では、独立社外取締役が3分の1以上を超える比率が4割超にとどまる。指針の改定は6月の株主総会から適用される見通し 社外取、本質かすむ「数合わせ」 証券部次長 川上穣