イベント通じ医学情報の普及を 私見卓見 3月30日 昭和の家庭には百科事典と並び「家庭の医学事典」のような書籍があった。監修者には医学博士や大学教授が名を連ねていた。最近は誰でもネットで簡単に医学情報を入手できるようになり、新型コロナ禍以降は医学・医療への意識が高まり、専門家レベルの情報を持つ人も少なくない。しかし例えば「頭痛」で検索すると、大学病院の頭痛外来案内から怪しげな対症療法までが混在し、正しい情報の選択が難しくなっている。 医学・医療専 イベント通じ医学情報の普及を
「県民モニター」で論理思考磨く 私見卓見 3月29日 「県民モニター」という制度をご存じだろうか。年4回程度、居住する自治体から送られる県政課題に関するアンケート調査に答えるものだ。意見や提案は自治体の施策や事業立案などに生かされるという。テーマは防災、医療、教育、観光、まちづくり、温暖化対策、文化、スポーツなど多岐にわたる。いずれも、すんなりと回答できるのはまれだろう。居住する地域課題へのアプローチを考えることは、リスキリング(学び直し)にもつな 「県民モニター」で論理思考磨く
行政機関の高い独立性保つには 私見卓見 3月28日 日銀の新総裁に元審議委員の植田和男氏を起用する政府の人事案が国会で承認された。中央銀行の金融政策の独立性は専門的知見に基づく決定を委ねるうえでも保障されねばならない。政策決定にあたる総裁・副総裁及び審議委員も5年の任期中の身分が保障され独立性が担保されている。中立的な判断や決定を求められる会計検査院、人事院、公正取引委員会など広義の行政機関も同じで、身分の保障と数年の任期が法律で認められている。 行政機関の高い独立性保つには
高度外国人材の受け入れ醸成を 私見卓見 3月27日 2月、政府は高度外国人材獲得に向け、滞在1年で永住権を申請でき、世界の上位大学の卒業生には2年の滞在を認めることを決めた。今回の決定は世界的な人材獲得競争が激化する中で心強い。 日本が高度専門職の外国人材に期待するのは、経済成長への貢献である。しかし、生身の人間を日本に呼んで「生産性」向上に寄与してもらうには、在留資格等の緩和だけでなく、外国人材が将来の日本にとって不可欠との認識を国民レベルで共 高度外国人材の受け入れ醸成を
違いを生かし変化を起こすには 私見卓見 3月24日 デザイン的な考え方を政策立案や事業計画に導入する「デザイン思考」が日本でも注目され始めた。ユーザーの潜在的なニーズを試行錯誤的に探索し、解決に生かす手法だが、うまく活用できていないケースも多い。本稿ではデザイン思考の前提にある考え方と、実践面での留意点を指摘したい。 デザイン思考が育った土壌には違いを尊重する文化がある。「違いを生かし変化を起こそう」だ。議論の場で「自由にアイデアを出してください 違いを生かし変化を起こすには
大砲かバターか、両方はない 私見卓見 3月23日 1979年に東京大学経済学部に進学したゼミの同期会に出席した。話題は政治・経済から歴史・宗教に及んだが、実家の処分や親の介護も悩ましいテーマだった。私の94歳の母も要支援1から2へと介護度が進行し、介護保険を中心とした支援の恩恵にあずかっている。これが働き盛りの40~50代だったら、仕事とサポートの両立が可能であったかどうか、心もとない。現在、こうした境遇にある後輩の悩みは察して余りある。 防衛 大砲かバターか、両方はない
出産女性に就業機会の確保を 私見卓見 3月22日 出産する女性には次の二つのことが欠かせない。子供を抱きとめてくれる複数の他人の手があてにできること、自分と子供を養う収入の見通しがあることである。この二つがなければ妊娠した女性は追いつめられる。 他人の手は、仕事を持つ女性だけが必要とするものではない。今、子供を保育園に通わせるには、母親が仕事に従事していることが前提となっている。原則として、就労証明書が必要だ。 また、仕事を休むなら、子供を休ま 出産女性に就業機会の確保を
財政運営には王道を尽くせ 私見卓見 3月21日 防衛費増額の財源確保をめぐり、国債の償還ルール見直しの動きがある。日本の財政の基本を定める財政法は、投資的経費に充てる借金(建設国債)だけを認める。その使途は、道路、空港、水道、防災、公共施設などの社会資本整備で、その利用が可能な期間の世代で負担すべきだとの論理から、対象資産の耐用年数とする60年で返済する制度となっている。その積み立てが定率繰り入れである。 一方、財政法が認めていない社会保障・ 財政運営には王道を尽くせ
スリランカ危機、汚職対策急げ 私見卓見 3月20日 スリランカで経済の混乱が続いている。債務不履行(デフォルト)に陥った2022年にインフレ率は約70%まで上昇し、世界銀行の推計によると貧困層の比率は倍増した。23年もマイナス成長が続く見通しだ。国際通貨基金(IMF)からの支援をつなぐだけでなく、持続可能な経済成長を取り戻すことが急務となっている。 最大の課題は汚職対策だ。官僚の資産申告の透明性を高めるといった取り組みが欠かせない。政府は汚職に対 スリランカ危機、汚職対策急げ
地域共創に地銀の力を生かせ 私見卓見 3月17日 私はPwCコンサルティングの経営に携わりながら、出身地の岡山県に移住し、産官学金が連携した地域共創を進めている。全国各地で地域共創が行われ、失敗も見られるなか、岡山では地域金融機関を中心に持続的な成果を上げるための「型」がつくられている。 まず地域共創を成功させるには、産官学金の連携が必要だ。一つのプレーヤーや専門性だけでは地域が抱えるマクロの課題は解けない。もはや「点」だけでは解決できない。地 地域共創に地銀の力を生かせ