藤井聡太はどこまで強くなるのか 谷川浩司氏 あとがきのあと 2月4日 将棋界の若きスター、藤井聡太五冠の現状と今後を、いまだ史上最年少名人の記録を持つレジェンドが分析した。2021年春に刊行した『藤井聡太論』に続く著書となるが、「1年もたたないうちに本の内容が古くなっていく。それだけ藤井さんの進化がすごい」と笑顔で語る。 藤井五冠が今期の順位戦A級を勝ち上がって挑戦者となり名人戦七番勝負を制すると、自身が持つ最年少名人の記録は更新される。以前は「そのことに複雑な気 藤井聡太はどこまで強くなるのか 谷川浩司氏
湯あがりみたいに、ホッとして 塩谷歩波氏 あとがきのあと 1月28日 激務のあまり建築事務所を休職したとき、心を癒やしてくれたのが銭湯だった。浴室内部を建築の図法で緻密に描いたイラストがSNS(交流サイト)で話題になり、東京・高円寺の老舗銭湯で働かないかと誘われた。「番頭兼イラストレーター」を経て画業に専念。銭湯で遭遇した珍事件や番頭を辞めた思いをエッセー集にまとめた。 「番台に立てば振り回されてばかりだが、お客さんの感謝がすぐ伝わる。自分の仕事に誇りを取り戻すき 湯あがりみたいに、ホッとして 塩谷歩波氏
親子は生きづらい 勝又栄政氏 あとがきのあと 1月21日 兄が2人いる。そして母親にとって待望の女の子として生まれた。今も残るピンクのドレスを着た七五三の記念写真。「嫌だ!」と叫びたかったが、家族は「キレイ」と喜んだ。ここからだ。自分の感情を押し隠しながら暮らし始めたのは――。本書は性別違和を抱えながら過ごした30年の記憶と、それを受け入れがたい母の回想でつづられた、親子の対立と接近の記録だ。 女性の身体で生まれ、男性の性自認があるトランスジェンダー男 親子は生きづらい 勝又栄政氏
シベリアのビートルズ 多田麻美氏 あとがきのあと 1月14日 2018年からロシア・シベリアのイルクーツクに暮らす。バイカル湖のほとりの街は、アジアと欧州、ロシアの文化が混ざる「文明の十字路」だ。そこでビートルズマニアの画家スラバ・カロッテ氏と出会い結婚した。ソ連からペレストロイカ(改革)を経てロシアという激動の中たくましく生きてきた彼の姿に、世界を歩いてきた自らを重ね、エッセーにまとめた。 10代前半を米ミシガン州で過ごした。「移民が多かったので、ベール シベリアのビートルズ 多田麻美氏
異彩を、放て。 松田文登氏、松田崇弥氏 あとがきのあと 1月7日 ラーメンの袋をこすったり、体の揺れに合わせて椅子をカタカタさせたり。知的障害のある人や自閉症の人には特定の行動を繰り返す傾向がみられる。そうした日常的な行動が発する音が、プロの音楽家によって格好いい楽曲に生まれ変わった。「ROUTINE RECORDS」と名付けられ、今、金沢21世紀美術館で披露されている。 仕掛けたのは主に知的障害のある作家のアートから様々な商品を企画・販売する会社「ヘラルボニ 異彩を、放て。 松田文登氏、松田崇弥氏
日本人が知らない世界の祝祭日事典 斗鬼正一氏 あとがきのあと 12月17日 貧富を忘れ国民が熱狂するブラジル「リオのカーニバル」、色水を掛けあいカースト制から一時解放されるインド「ホーリー祭」。エスカレーター研究などで知られる文化人類学者が、世界の祝祭や年中行事を紹介し、その背景を考える。 「なぜ正月はめでたいのか」。そんな疑問にも、他国から見えてくることがある。スリランカの正月は4月半ば。事前に占星術で導かれたスケジュールに沿って「時間厳守」で過ごす。台所の使い始めの 日本人が知らない世界の祝祭日事典 斗鬼正一氏
イタリアの美しい村を歩く 中山久美子氏 あとがきのあと 12月10日 「ローマやフィレンツェなど有名な都市もすてきだが、小さくてもそれに負けない魅力を持つ村がイタリアには数多く存在する。自然や街並みを大切に保存している村々に足を運んでほしいと考えました」 21年間イタリアに住み、中部トスカーナ州の情報を発信する。ウェブサイト「トスカーナ自由自在」の主宰者が、300以上の「イタリアの最も美しい村」の中から30村を選び、そこへの旅の様子をつづった。 フランスから始まっ イタリアの美しい村を歩く 中山久美子氏
老いてきたけど、まぁ~いっか。 野沢直子氏 あとがきのあと 12月3日 「自分の顔が魚のフナに見えた」「何かをやっている最中に別のことを思い出し元の作業を忘れる」。子育てが終わり還暦を目前に控えた59歳。ここ数年、見た目も中身も衰え、急に老いを意識するようになった。しかし人生100年時代。「先は長い。ネガティブになったりいじけたり。どうにか前向きになりたい。自分を励ましたい」。そんな思いでエッセーを書いた。 約30年前、フジテレビ系バラエティー「夢で逢(あ)えたら」 老いてきたけど、まぁ~いっか。 野沢直子氏
「新海誠」 土居伸彰氏 あとがきのあと 11月26日 アニメ映画「君の名は。」などで知られ、新作「すずめの戸締まり」が公開中の国民的アニメ作家、新海誠の創作について解き明かした。アニメの配給や映画祭に携わりながら、学術的にも研究してきた経験を生かし、「新海誠を日本から剥がして、世界アニメ史の中に位置づけようとした」。 新海は、宮崎駿や庵野秀明らとは異なり、大きなスタジオに所属したことがない「異端児」とされてきた。出世作となった2002年の短編「ほし 「新海誠」 土居伸彰氏
おしゃべりなドイツ語 綿谷エリナ氏 あとがきのあと 11月19日 「語学は確かにツール。技術が進めば翻訳のスキルはいらなくなるともいわれる。でも相手のことを知りたい、分かり合いたいと思ったときには『最強のツール』になります」。ドイツで生まれ育ち8カ国語に堪能。ラジオパーソナリティーとして活動しながら執筆した初めての著書は、一風変わったドイツ語の語学書だ。文法や語彙ではなく、さまざまな相づちの表現を紹介し、ニュアンスを伝える「心態詞」について易しく解説する。 「 おしゃべりなドイツ語 綿谷エリナ氏