
JOLED破綻、日の丸ディスプレー阻んだ技術・市場・投資
パナソニックホールディングスとソニーグループの有機EL事業を2015年に統合して発足したJOLED(ジェイオーレッド)は27日、民事再生手続きを申請した。韓国・中国への巻き返しを図り、低コストの製造方式で量産を目指したものの、収益化に至らなかった。官民ファンドが主導した「日の丸ディスプレー」構想は事実上、未完に終わった。背景には電機業界が何度も苦しみ克服できなかった3つの壁がある。 「めまぐるし…
米シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻して間もなく3週間。スタートアップを長年支えてきた金融機関が機能停止した衝撃は大きく、米中堅地銀による買収が決まっても先行きへの不安がくすぶる。地域のエコシステム(生態系)を熟知する3氏に影響を聞いた。 ゼネラル・カタリストCEO ヘマント・タネジャ氏 「スピード最優先、転機に」 Hemant Taneja 2002年から有力ベンチャーキャピタル(VC)の…
エレベーター大手のフジテックは28日、創業家出身の内山高一会長を同日付で会長から解職したと発表した。大株主で香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントが会社と創業家の間に疑わしい取引があると主張し、関係を絶つよう要求していた。 フジテックは理由を明らかにしておらず「開示がすべて」としている。内山氏との全ての契約を解除するという。 内山氏は同日、事実に反する主張で名誉を傷つけられたとして、オアシス…
日本の石油化学産業が再編に向けて揺れている。三菱ケミカルグループは他社と共同企業体(JV)を立ち上げると打ち出した。脱炭素化でリサイクルプラント建設の計画も相次ぐ。化学品の基礎原料「エチレン」の供給過多は続き、再編は待ったなしだ。日本の石化産業は生き残れるのか。石化コンビナートの現場を追った。 茨城県神栖市と鹿嶋市にまたがる鹿島臨海工業地帯。集積する企業数は150社を超え、2万2000人規模の従…
「あのときは韓国に売り飛ばされるかと思った」。今治造船グループ最大のドックである丸亀工場から岸壁続きに隣接する多度津造船(香川県多度津町)。総務勤労チーム長の田中雄一(53)は振り返る。同造船所は戦後にできた波止浜造船が源流だが、オイルショックによる造船不況で倒産する。その後ハシゾウ(現あいえす造船)を経て、2000年に常石造船に吸収された。田中は波止浜造船の入社だ。 設備削減応じず 13年には…
支援する側と助けられる側にミスマッチが発生することも知った。 海水を淡水化するシステムをホテルに導入したことで、それまで週2回しか入れなかった風呂を毎日使えるようになりました。それまではトイレも「できるだけ館外にある仮設トイレを使ってください」と依頼していたのですが、かなり自由度が増しました。 淡水化処理した水は水道水とほぼ変わらないとも聞きましたが、飲み水には公的な手続きが必要で、風呂やトイレ…
あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代を迎え、企業の知的財産戦略はモノからコトへの対応に変革を迫られている。せめぎ合いの最前線にあるのが「つながる車」の特許をめぐる攻防だ。通信の主要特許を持つ海外勢に日本の自動車業界は揺さぶられている。日本勢は技術で主導権を取り戻せるか。 スズキとライセンス交渉 2022年夏、スズキの阿部俊明・知的財産部長は横浜市を訪れた。目指したのは、横浜駅近くの20階…
KDDIとソフトバンクは27日、自社の契約者が通信障害などに備えて他社回線も持つことができる「副回線サービス」を始めると発表した。KDDIは29日、ソフトバンクは4月12日から提供する。月額基本料は両社ともに429円。NTTドコモも同様のサービスの導入を検討しており、近く3社が相互に回線を提供し合う体制が整う。緊急時に他社の通信網に自動接続する「ローミング」の実現には時間がかかる可能性があり、3…
東レは大矢光雄副社長(66)が社長に昇格する人事を固めた。日覚昭広社長(74)は空席だった代表権のある会長に就く。社長交代は13年ぶり。6月の株主総会後の取締役会を経て就任する。新型コロナウイルス禍などから業績は復調してきた。日覚、大矢両氏の2トップ体制のもと、航空機向け素材などをけん引役に成長軌道への回帰をめざす。 大矢氏は主力事業の一つである繊維部門での営業経験が長い。現在は副社長としてマー…
2022年度も最後の週になりました。4月から新社会人になる人、会社や職場を変わる人、起業する人など、仕事の環境が大きく変わる方が少なくないと思います。より生き生きと、成長を実感できるよい職場や人間関係をつくるためにはどうしたらいいのでしょうか。新年度を前に一緒に考えてみませんか。参考になる記事を選びました。(内容や肩書などは掲載当時のものです) 「ビジネス・クリップ」は日々の記事の中から、ビジネス…
日本の建設機械大手で中国を汎用品の輸出拠点に転換する動きが広がっている。日立建機は東南アジアや欧州向けの輸出規模を拡大。コマツも生産能力を削減しながら輸出を拡大している。中国は現地需要が低迷するものの、部品調達のしやすさや人件費の面で生産拠点としてなお優位性がある。余剰能力を活用して供給網を再構築する。 日立建機は中国、インド、インドネシアの拠点から他地域への輸出が2021年度は約700台だった…