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READYFORの米良はるか社長

READYFORの米良はるか社長

気候変動や富の偏在、少子高齢化などの社会課題に直面する日本。これから50年の流通や消費のかたちはどう変わるのか。消費者の新しいニーズをとらえたビジネスに取り組む若手経営者に聞いた。

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クラウドファンディング、コロナで過去最多に

READYFOR 米良はるか社長

コロナ禍で多くの中小零細や地域が苦境に立った2020年。寄付や商品・サービス購入などのかたちでプロジェクトを支援するクラウドファンディングの市場が急成長した。民間調査によると、緊急事態宣言中の20年5月のプロジェクト発足数は3000件超と過去最多を記録した。

「資金を集めたい人と、応援したい人をつなぐ手段として日本に定着してきた」。日本のクラウドファンディングの草分けであるREADYFOR(レディーフォー、東京・千代田)の米良はるか社長(33)は振り返る。レディーフォーも20年のプロジェクト支援者数や支援金額が前の年比で3~4倍に増えた。

11年にクラウドファンディングを立ち上げ、「NPOや芸術など資本主義の仕組みではお金が届きづらかった分野にお金が流れることを目指してきた」。コロナ禍では、資金に余力のない中小零細の飲食店や小売業者の経営が追い詰められた。日本商工会議所と連携し、中小の飲食店を支援するプロジェクトを全国約60カ所で展開した。

「正直さ」重視する時代に

「お金は人間にとって血液のような存在。きちんと流れないと、社会全体も危うくなる」。医療機関もコロナへの対応に追われ、資金的に苦しい状況となった。そこで医療機関などを支援する「新型コロナウイルス感染症拡大防止活動基金」を設立した。同基金は20年で国内のクラウドファンディング最多の8億7000万円の寄付を集めた。

クルマやタワーマンション、高級時計、海外ブランド……。この50年、高額の消費をすることがステータスとなる時代もあった。現在は「自分のためだけにお金をつかうことが、かっこよくない」。むしろ、自分が好きなお店やアーティスト、スポーツチームなどを仲間と一緒に支えたい――。働く職場や地域を超えて、好きなことでつながるコミュニティーのための応援消費が盛り上がりを見せている。クラウドファンディングが、こうした新しいお金の流れを支える。

「人は環境や社会に貢献する商品・サービスにこそ共感したり、応援したりする」。ただ、これまでは環境や社会に良いかどうか分からない商品も少なくなかった。テクノロジーの進化で環境への貢献度合いなどを可視化できるようになり、これからは「企業は消費者に対して噓をつけなくなる」。

環境や社会にとって良いビジネスが市場から評価され、お金もより集まる時代が来るとみる。そのお金の流れの一翼を担うのがクラウドファンディングという。正直で世の中に貢献する企業が支持を集める時代は「20年、30年先とは言わず、もっと早く到来する」。

「旬八青果店」のアグリゲート 左今克憲CEO

アグリゲートの左今克憲社長

アグリゲートの左今克憲社長

2009年創業のアグリゲート(東京・品川)が都内で9店舗展開する青果店「旬八青果店」。全国各地で売れ残って廃棄されていた規格外の青果などを仕入れて割安に販売することで、「都市住民の食生活を豊かにする」ことを目指している。左今克憲・最高経営責任者(CEO、38)は「コロナ禍で多くの人が身近な生活圏の良さを見直した」と語る。

コロナ禍の飲食店需要の急減で販路を失い、経営難の農家なども出てきた。「生鮮品の生産や消費で大きなパラダイムシフトが起きている」と語る。それまで飲食店で食べていたウニといった高級食材を自宅で楽しもうと、旬八青果店で購入する人も増えているという。

家庭向けと飲食店向けでは青果物の大きさが異なっている。例えば、小松菜は飲食店向けは大きく育てていた。外食需要が減るなか、「産地でつくる青果物の内容も変わっていく」。

大量消費を前提にしたビジネスモデルで、多くの小売業が成長してきた。だが消費者の環境意識が高まり、食品では廃棄ロスに注目が集まり、アパレルでは大量在庫への批判が強まっている。これからは「大量消費型と、少量でも生産者と消費者がつながるビジネスに二極化する」とみる。

ローカルにこそ商機 

自分の消費がどう社会に貢献しているのかを意識する若者も増えるなか、「産地とつながり、稼げる青果店のビジネスモデルを確立する」。旬八青果店のビジネスモデルの変革を急いでいる。

従来の品ぞろえの中心は青果だった。最近は青果や鮮魚、精肉のほか、総菜や加工食品を扱う新型店の開発に取り組む。

約80平方メートルの店内で約300品目を並べ、住宅街での多店舗化を想定している。商品数は一般的なスーパーの10分の1にも満たない。ただ「旬の青果や加工食品を入れ替えることで、常に新しい商品と出合えるようにしたい」。

これまで商業施設への出店に軸足を置いていたが、今後は住宅街など生活圏での多店舗化を目指す。「小さなお店でも日常の食卓を支える存在となりたい」。在宅勤務などで身近な生活圏を見直す人が増え、住宅地にあるコンビニエンスストアでも生鮮品を販売する動きが広がっている。「ローカルにこそ大きな市場が眠っている」

(日経MJ)