熊本・大分で地震多発 その構造は?

2016/4/18 18:00
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地震で発生した崖崩れ(16日午前、熊本県南阿蘇村)=共同

地震で発生した崖崩れ(16日午前、熊本県南阿蘇村)=共同

熊本県では14日夜のマグニチュード(M)6.5の地震に続いて、16日未明にはM7.3の「本震」が発生、さらに震源域が阿蘇、大分地方へと広がり、被害が拡大した。内陸の広い範囲で強い地震が相次ぐ、直下型では異例の事態が起きている。

■M6.5の後にM7.3の「本震」

16日午前1時25分ごろ、熊本地方を震源とする地震があり、熊本市などで震度6強の揺れを観測した。
地震の規模はマグニチュード(M)7.3と推定される。気象庁は同地震が14日以降の熊本地震の「本震」との見解を示した。
16日午前1時25分ごろ発生したM7.3の本震は1995年の阪神大震災と同じ規模だった。震源の深さは約12キロ。九州地方ではその後、震度6強から5弱の強い地震が連続して起きた。

熊本 M7.3「本震」 阪神級、震度6クラス相次ぐ(4月16日)

熊本県益城町では半壊状態だった家が、本震で完全に倒壊し、避難所から戻っていた高齢夫婦が下敷きになった。近所に住む男性(75)は「自宅に帰ったばかりに被害に遭うなんて……」と唇をかんだ。
一連の地震は14日夜、熊本県益城町で震度7を観測したマグニチュード(M)6.5の地震から始まった。
気象庁は引き続き強い地震への警戒を呼びかけていたが、週末の天候悪化が予想される中、後片付けなどのために避難先から自宅に戻った住民もいた。

家に戻った直後に本震 熊本地震、唇かむ住民(4月17日)

 倒壊した住宅の状況を確認する警察官=17日、熊本県益城町

倒壊した住宅の状況を確認する警察官=17日、熊本県益城町

16日未明に熊本県の熊本地方でマグニチュード(M)7.3の本震が発生して以降、同地域では余震が多発している。
また阿蘇地方や大分県など離れた地域でも大きな地震が観測された。本震とは別の断層で起きた地震とみられ、専門家は一段の地震活動の広がりに警戒を強めている。
気象庁は熊本地震とは別の地震との見解だ。「今回のように100キロメートルを超える広い範囲で、3カ所同時にM5~7クラスの地震が起きるというのは例がない。今後の見通しが立ちにくくなった」としている。

阿蘇・大分でも地震 活動の広がり警戒(4月16日)

九州地方で14日夜から相次ぐ地震は、熊本から阿蘇、大分へと震源域が広がった。内陸の地震では異例だ。
京都大学の飯尾能久教授は「今回の地震はよくわからない、見たことのない現象が続いている」と話す。内陸で断層を原因とする地震はこれまで何度も起きているが、広域でマグニチュード(M)6級の地震が続くのは珍しいからだ。

断層の巣 地震連鎖 震源域3つ「前例ない」(4月17日)

■直下型地震とは

内陸の断層が動くタイプの地震で、震源が浅い。震源が都市に近いとマグニチュード(M)6~7程度でも大きな被害をもたらす。1995年の阪神大震災が代表例だ。
陸地や海底の岩盤が長年の地殻変動で、じわじわと押されたり引っ張られたりしながらできた大きな裂け目が断層だ。このうち今から約200万年前までの間に繰り返し動いていると一般的に活断層とする。
周囲から加えられた力がたまり、耐えられなくなると断層が一気にずれ動き、地震が起きる。

直下型地震(4月18日)

今回の地震は東日本大震災のような海底の岩板が起こすプレート型とは違う。

阪神と同じ直下型 熊本地震、気象庁「横ずれ断層型」(4月15日)

■東西に多数の断層

大分県から熊本県にかけては、九州地方を東西に横断する「別府―島原地溝帯」と呼ばれる多数の断層を伴う地形がある。
断層が集中すると、地震の群発につながりやすい。1つの断層が動いて地震が起こると、ほかの断層周辺にひずみがたまり、新たな地震を引き起こすという流れが考えられるためだ。

政府の地震調査研究推進本部は14日夜に熊本県益城町で震度7の揺れを観測した地震について「日奈久(ひなぐ)断層帯」と呼ぶ活断層の北側がずれることで起きたとする。

断層の巣 地震連鎖 震源域3つ「前例ない」(4月17日)

政府の地震調査委員会は17日に臨時の会合を開き、16日未明に熊本地方で起きたマグニチュード(M)7.3の本震を「布田川(ふたがわ)断層帯」の活動だと評価した。
同断層帯が従来の想定より長く、阿蘇山のカルデラ付近に達していたこともわかった。
さらなる震源域の拡大も考えられるが、地震調査委の平田直委員長は「現在の情報、知見では分からない」と述べるにとどめた。

本震は布田川断層帯と認定 政府の地震調査委(4月17日)

政府の地震調査研究推進本部は主要な活断層帯として97カ所を選び、地震の発生確率を計算して公表している。今回の地震で注目された布田川断層帯や日奈久断層帯、別府―万年山断層帯も主要な活断層帯に含まれていた。
ただ1つの活断層で大地震が起こる間隔は1000年から数万年と長く危険度の評価は難しい。

直下型地震(4月18日)

■地震の連鎖、直下型でも

本震の後は熊本地方、阿蘇地方、大分県の3地域を中心に地震が相次いだ。
国土地理院地理地殻活動研究センターの矢来博司地殻変動研究室長は「(本震が)周辺の断層に影響を与えた可能性がある」と指摘する。

別府―万年山断層帯を東に延ばすと、四国や紀伊半島など西日本を横断する巨大な断層構造「中央構造線」につながる。
豊後水道を越えて四国地方にまで影響が及ぶ可能性もあるが、気象庁は「中央構造線が活発化しているというようにはみえない」との見解だ。

断層の巣 地震連鎖 震源域3つ「前例ない」(4月17日)

東京大学地震研究所の古村孝志教授は、直下型地震で距離の離れた断層の地震を誘発することが他の地域でも起こりうると指摘する。

「2011年に起きたM9の巨大地震である東日本大震災は、周囲で多数の地震を誘発した。こうしたことをM7級の内陸型地震で観測するのは初めてといってよいだろう」
「それが今回起きたことで、他の断層にどう影響して誘発するのか、どのように連鎖するのか、仕組みを理解する鍵になる。同様のことが起こりうる場所は他にもたくさんあるはずだ」

熊本地震、直下型の常識覆す 専門家に聞く(4月18日)

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