ふるさと納税、制度のひずみ広がる

2016/4/13 18:00
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北海道上士幌町の交流イベントでは来場者向け体験ブースも(1月24日、大阪市)

北海道上士幌町の交流イベントでは来場者向け体験ブースも(1月24日、大阪市)

ふるさと納税は居住地とは別の自治体に寄付すると、寄付額から2000円を差し引いた全額が住民税と所得税から減税される制度。豪華な返礼品を競う自治体が相次ぎ、住民サービスに回るはずの財源が目減りするなど、ひずみも広がってきた。

■確定申告不要、ネットで簡単

2015年度からは確定申告しない方法も選べるようになった。申告しない場合は寄付先から居住地に寄付情報が伝わり、居住地の住民税が自動的に減税される。

ふるさと納税とは(4月13日)

寄付へのお礼として、コメや肉、魚介、果物、酒、加工品など地元の特産品を用意する自治体が多い。節税になるうえ全国各地の特産品を送ってもらえるため人気が高い。
便利なのが民間企業が相次ぎ開設している情報サイトだ。基本的な機能は同じ。返礼品の種類、地域、寄付金の使い道、寄付金額などを基準に、自治体を検索できる。
自治体を選んだ後に続けて寄付の手続きをサイト上でできるケースも増えている。

ふるさと納税、サイトで選ぶ 検索や寄付手軽に(2015年11月17日)

■返礼品競争が過熱

総務省がまとめた「ふるさと納税」の2014年実績によると東京、大阪、名古屋の三大都市圏の住民からの寄付額が全体の70.5%を占めた。都市部から地方に税収の一部を移す流れができつつある。一方で都市部の地方自治体には減収の影響が出始めている。
ふるさと納税の14年の総額は前年比2.4倍の341億円だった。寄付者の都道府県別の内訳をみると、東京都が83億円で最も多かった。東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)では150億円に達した。大阪圏(大阪、京都、兵庫)は51億円、名古屋圏(愛知、岐阜、三重)は38億円だった。
寄付先の多くは出身地の地方自治体や魅力的な返礼品を用意している自治体とみられる。

ふるさと納税、三大都市圏から7割 14年総額2.4倍に(4月9日)

2015年度の寄付総額が少なくとも全国10町村で年間の地方税収を上回った。自治体間では寄付を呼び込もうと返礼品の競争に拍車がかかっており、本来は住民サービスに回るはずの財源が目減りする課題も浮上している。
日本経済新聞社が全国の自治体の15年度のふるさと納税の寄付額と、14年度の地方税収(決算ベース)を比較した。税収を上回った10町村のうち、税収に対する寄付額の倍率が最も高かったのは高知県奈半利町の4.93倍(寄付額は13億5400万円)だった。次いで、宮崎県綾町の2.44倍(同13億8000万円)、北海道上士幌町の2.23倍(同15億3700万円)が続いた。

ふるさと納税額、全国10町村で地方税収超す(4月13日)

政府は2016年度から始める企業版ふるさと納税で、自治体の雇用創出につながる事業を寄付の対象にする。育児環境の整備、観光や農林水産業の振興といった事業を念頭に置き、政府が地域活性化の効果が高いと認めた事業に限定する。寄付の対象事業に一定の条件を設けることで、効果的に地方創生につなげられるようにする。

企業版ふるさと納税、雇用創出事業を対象に(2月16日)

寄付額は年収ごとに上限が設けられており、富裕層ほどふるさと納税の減税効果が大きい。
自治体にとっても富裕層から寄付を受けられるかで寄付額の差が大きくなるため、競争は過激だ。北海道当別町では100万円の寄付に「高級オーダー家具」を、鹿児島県鹿屋市は「特産品1年分」を用意している。100万円以上の寄付ができる年収3000万円以上の人はふるさと納税を利用すれば、1年間の食費がただになる可能性がある。

ふるさと納税、お得すぎる寄付 富裕層「食費タダ」も(2015年7月19日)

群馬県太田市は、ふるさと納税の返礼品として市内に製造拠点がある富士重工業のスバルブランドの乗用車を贈る。清水聖義市長は15年6月17日の記者会見で、「子供に車を買ってあげようという人は、太田市にふるさと納税をしてほしい」と話した。

群馬・太田市、ふるさと納税の返礼品にスバル車(2015年6月18日)

■総務省も見直しの動き

総務省は好きな自治体に寄付する「ふるさと納税」の見直しに着手した。商品券やパソコンなどお金に換えやすいものや豪華すぎるものをお礼としてあまり送らないよう、総務相名で全国の自治体に1日付で通知した。

ふるさと納税、豪華な「お礼」自粛を 総務省が自治体に(4月2日)

ふるさと納税の寄付額で全国有数の千葉県大多喜町は、返礼品として人気の高い「ふるさと感謝券」の内容を見直した。従来は1万円の寄付に対して7千円分の感謝券を返礼していたが、6千円に引き下げ、上限も設けた。返礼率の高さからネットオークションでの転売が盛んになり、総務省からも見直しを求められたため改善する。

千葉・大多喜町、ふるさと納税の人気返礼品「感謝券」を見直し(3月5日)

寄付金の使い道をもっと重視してもらいたい、と人々に働きかける自治体が増えている。ふるさと納税が具体的なまちづくりに役立っていることを知れば、満足感は一段と高まりそうだ。
1月24日、大阪市内で北海道上士幌町のふるさと納税に関する交流イベントが開かれた。関西に住み、同町にふるさと納税をした約1200人を招待。会場のスクリーンには、寄付で購入したスクールバスの映像などが流れた。竹中貢町長は「みなさんの寄付を見える形で生かしていく」とあいさつした。

ふるさと納税、寄付金使い道に注目-お礼もいいけど……(1月27日)

応援したい自治体に寄付する「ふるさと納税」を活用して大規模災害発生時に寄付を募るため、全国6市町がふるさと納税サイト運営会社と協定を締結した。自治体と運営会社との間で緊急時の連絡手段を決めておき、被災時に寄付募集を求めたり、被害状況を連絡したりする。

「ふるさと納税」で災害寄付募集 6市町、民間サイトと協定(1月13日)

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