2018年10月22日(月)

衆院定数10減決まる 選挙制度改革まとめ

2016/3/15 18:00
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衆院選挙制度改革関連法が与党などの賛成多数で可決、成立した参院本会議(20日午前)

衆院選挙制度改革関連法が与党などの賛成多数で可決、成立した参院本会議(20日午前)

衆院の選挙制度改革を巡り、議員の定数を10減らして465議席とする改正公選法などが、20日成立した。小選挙区で「0増6減」、比例代表で「0増4減」する。各地の議員定数を計算・配分する際に人口比をより反映しやすくする「アダムズ方式」の導入も決まったが、適用は2022年以降になる見通し。「1票の格差」の抜本的な是正は一部が先送りされた形だ。今回の選挙制度改革について、おさらいしておこう。

■定数減、小選挙区は青森・岩手など…適用は来夏以降に

定数削減は小選挙区が青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県で、比例代表は東北、北陸信越、近畿、九州の各ブロックが1減の対象となる。

新定数の465は戦後最少。

首相の諮問機関である衆院選挙区画定審議会(区割り審)が半年程度かけて小選挙区の境界の見直しや新たな区割りを作成する。区割り審の勧告を受け、政府が関連法案を提出し、成立後約1カ月の周知期間を経て施行される運びだ。

早ければ来夏以降に適用される。

衆院定数10減、改正法成立 アダムズ方式22年以降(5月20日)

新たな区割りは、選挙区間の格差が2倍を超えない前提で決められることになる。

■「違憲状態」 最高裁判断が迫った改革

衆院選の議席配分のしくみが抜本的に変わるのは、1996年に小選挙区比例代表並立制を導入して以来、初めて。

制度改革を余儀なくされた理由は、最高裁が2009年以降の衆院選を3回連続で「違憲状態」としたためだ。最高裁は2倍を判断の目安としているが、前回14年の選挙区の「1票の格差」は2.13倍だった。

「1票の格差」2倍以内に 衆院選改革法案 成立へ(4月29日)

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■問題は「1人別枠方式」にも

格差の是正に向け、最高裁は「1人別枠方式」の見直しも求めてきた。これは現在までの定数配分のやり方。まず各都道府県に無条件で1議席を与え、それから人口に応じて議席を配分するので、どうしても地方に手厚くなる。これを維持する限り、格差の解消はおぼつかないというわけだ。今回、これに代わる形で「アダムズ方式」の導入が決まった。

■アダムズ方式でどう変わる

都道府県の人口比を反映しやすい議席配分方法「アダムズ方式」は2020年国勢調査を基準に導入する。

政府が公表している20年の人口予測で計算すると、小選挙区は現行の議席配分から「9増15減」の大規模な見直しが必要となる。

区割り変更などを経て、実際にこの方式が適用されるのは22年以降となる見通し

衆院定数10減、改正法成立 アダムズ方式22年以降(5月20日)

選挙制度改革を検討する衆院選挙制度調査会の佐々木毅座長(中央左)が1月14日、大島理森衆院議長に答申を提出。「アダムズ方式」はこれに盛り込まれて注目されるようになった=共同

選挙制度改革を検討する衆院選挙制度調査会の佐々木毅座長(中央左)が1月14日、大島理森衆院議長に答申を提出。「アダムズ方式」はこれに盛り込まれて注目されるようになった=共同

■そもそもアダムズ方式とは

その名前は、米国の第6代大統領を務めたアダムズ氏が1830年代に提唱したのに由来する。各州への下院議員の配分を決める計算方法で、ポイントは「小数点以下」の扱いだ。

定数を人口比例で配分するには、総人口を総定数で割って定数1当たりの基準人口を出し、その値で各州の人口を割って定数を求める。その際、小数点以下の端数が出るが、その端数の扱いによって定数が変わってくるため問題になる。

例えば、定数10を人口がそれぞれ7.5万人と2.5万人の2つの州に割り振る場合、定数1当たりの基準人口は1万人。単純計算なら定数は7.5と2.5になるが、実際は8と2か、7と3にしなければならない。

小数点以下を一律に切り上げるのがアダムズ方式だ。切り上げると、先の例は定数が8と3になり、総定数の10を超えてしまう。そこで総定数内に収まるよう基準人口を調整する。当初は1万人としたが、これを1.1万人で計算し直せば6.8と2.2。切り上げて7と3となる。

(Q&A)議席配分「アダムズ方式」特徴は 定数、端数切り上げ(2月25日)

■日本では…地方に手厚く

小数点以下を切り捨てる方式に比べ、切り上げは人口が少ないところに手厚くなるのが特徴だ。日本なら人口の少ない地方に配慮した形になる。

衆院選挙制度調査会は議席配分の方法として(1)都道府県間の1票の格差ができるだけ小さい(2)都道府県ごとの議席の変動が小さい――などの基準を設けた。アダムズ方式のほか、小数点以下を四捨五入する「サンラグ方式」など計9方式を比較。2010年の国勢調査に基づくと、格差が最も小さく、議席の増減も少ないのがアダムズ方式だった。人口が最も少ない鳥取県も定数は2のままで地方への配慮にもなる。

(Q&A)議席配分「アダムズ方式」特徴は 定数、端数切り上げ(2月25日)

自民党には「1人別枠方式」への未練からか、アダムズ方式への慎重論が残るとの指摘もある。国会で決まったとはいえ、実際に適用されるのは6年も先。関心をもって見守る必要がありそうだ。

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