日経プラス10「フカヨミ」

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クールジャパン戦略に新展開 映像から食へ
鈴木亮編集委員に聞く

2016/2/22 10:00
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■アジア各地で芸人が漫才やテレビ出演

小谷:日本のアニメやファッションなどの海外展開を後押しする官民ファンド「クールジャパン機構」について日本経済新聞の鈴木亮編集委員に聞きます。
なぜ今、クールジャパン機構に注目しているのですか。

小谷真生子メインキャスター

小谷真生子メインキャスター

鈴木亮編集委員(2016年2月17日放送)

鈴木亮編集委員(2016年2月17日放送)


「クールジャパン戦略は安倍晋三内閣の目玉戦略の一つで、スタートから3年目に入りました。過去2年間で13件ほど、海外展開に挑む日本企業のビジネスに出資しました。今年、これらの事業が続々と稼働し始めます。いわば今年はクールジャパンの『見える化』元年といえます」

小谷:その13件の中には、どんな事業がありますか。

「今、最も動きが進んでいるのがエンターテインメント、コンテンツ事業です。これは海外で日本の番組を現地の言葉で発信する事業です。例えば吉本興業などが出資しているMCIPホールディングスは、主にアジアで映像配信しています」

「台湾では、吉本興業の芸人が現地の言葉で漫才をしています。マレーシアでは、別の芸人が英語で漫談をしています。人気芸人も頑張っておりまして、ペナルティというグループのワッキーは、タイ語がペラペラなことから、現地の番組にレギュラー出演しているということです。吉本興業は今、5か国に若手芸人を13人派遣しています」

「映像事業がなぜ重要かと言いますと、日本の風景や食べ物、イベントなどを紹介する現地のテレビを見て『日本に行ってみたい』と思ったという訪日観光客が、調べてみると実に多いことがわかりました。テレビなどの映像が、結果として日本の経済成長に大いに貢献しているのです」

■インバウンド増加を追い風に

小谷:TPP、環太平洋経済連携協定はクールジャパンの追い風になりますか。

クールジャパン機構・小糸正樹専務執行役員

クールジャパン機構・小糸正樹専務執行役員

「TPPとインバウンドはクールジャパン戦略の追い風となっています。そのあたりのことをクールジャパン機構の小糸正樹専務執行役員に聞きました」

(小糸専務執行役員インタビュー)

【国内で投資する時には、エンターテインメント×インバウンド×地方創生のような切り口が大事だと思います。これだけ日本に外国人観光客が増え、五輪、パラリンピックの開催も視野に入れると、やはり早急にこの分野(インバウンド)には手を打っていくべきだと考えています。これまでアウトバウンドを中心にやってきましたが、アウトバウンドとインバウンドの好循環をどう作っていくかが大きな課題です。日本の良い商品やサービスを海外で発信して、それを見て、買って、また訪日していただく。これが究極のクールジャパン戦略のゴールだと思います】

■ラーメン、日本茶……食ビジネス始動

「まずは映像コンテンツ事業で幸先よくスタートしたクールジャパン機構ですが、これから注目されるのが『食』、食べ物です。これに関するビジネスが今年、続々と稼働します。19日にラーメンの博多一風堂がパリに店をオープンし、4月にはアメリカのロサンゼルスに日本茶カフェが開店します。シンガポールではジャパンフードタウン、日本食のフードコートが5月にオープンします。また、ベトナムでは日本食の普及を狙い、8月にコールドチェーンという冷凍庫や輸送のシステムを整える事業に出資します」

小谷:クールジャパン機構の今後の課題は。

「課題はいくつかあります。その点も小糸専務執行役員に聞きました」

(小糸専務執行役員インタビュー)

【クールジャパンの分野はこれまで民間資金が入ってきづらい面がありました。こうした海外展開がうまく進んでいない分野に光をあてて、支援をしていく組織がクールジャパン機構だと思います。必要に応じて大胆に投資をすることも、これから考えていかないといけないのかなと思っています】

■機構の支援が民間投資の呼び水に

「マイナス金利が始まりましたが、思ったよりも民間からの投融資は伸びていません。こうした中で、官民ファンドのクールジャパン機構の出資が呼び水となり、民間の投資が後からついてくるという、いい流れが生まれてくれば、機構は大きな役割を果たすことになります」

「また、和食などは、食文化にとどまらず、長寿や健康をキーワードに『ライフスタイル』にまでビジネスの対象が広がるでしょう。例えばマレーシアでは糖尿病患者の増加が問題となっていますが、和食の良さはそういう面でも注目されます」

「日本の産業と言えば『世界のトヨタ』、『世界のソニー』といった具合に、製造業、いわゆるハードウエアで世界市場を攻めてきました。今後はライフスタイルというソフトビジネスの分野で日本が世界を席巻し、これが日本の経済成長につながるという流れを期待したいと思います」

日経プラス10のホームページ http://www.bs-j.co.jp/plus10/

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