プロが伝授 おいしい写真をスマホで撮るワザ

自宅や店で食べたおいしい料理を写真に撮って、みんなに伝えたい。スマートフォン(スマホ)やSNS(交流サイト)が普及し、多くの人が料理写真を楽しむようになった。どうせならSNSでおいしさがより伝わるように撮りたい。今回はスマホカメラで料理を撮る際に重要な技を、写真家ら専門家に評価してもらった。
角度や構図 工夫してみて
重視されたのは光のあて方。「後ろ・斜め・横からの光で」「自然光で色鮮やかに」が1、2位を占めた。SNS投稿ならではの技も。3位の「メーン料理を大きく」や、肉を焼くときのジュージューいう音(sizzle)など感覚を刺激する印象づくりを意識した5位の「シズル感で食欲を刺激」はスマホの小さな画面でアピールするために欠かせない。
「一番重要なのは、どう撮りたいかをはっきりさせること」(写真家の佐藤朗さん)。写真家の木村文吾さんは「スマホのように手軽に撮れるカメラの登場で、料理を真上からのアングルでも自由に撮れるようになった」と話し、角度や構図など自分なりに工夫することを勧める。
無論、撮影の際は周りへの配慮も忘れずに。店員や周りの客が不快に感じることもある。マナーを守り、ランキングを参考に撮影の工夫を楽しもう。

料理に陰影、立体的な印象に

フラッシュNG、柔らかな印象に

主役はどれ?ぱっと目に留まる

スマホは一眼レフカメラなどに比べて構えずに撮れるが「脇を固めて撮るようにするだけで手ぶれがかなり防げる」(木村文吾さん)、「連写すればぶれていない1枚が撮れる。3枚連写で一番ピントがきているものを選ぶといい」(下村さん)。

「ハイライトやテカりを使ってライブ感を出す」(南都礼子さん)、「一番おいしいところに寄って撮ると艶が伝わりやすい」(樋口正樹さん)。料理写真では感覚を刺激する「シズル感」という言葉をよく使うが「艶やかさでシズル感が効果的に出る」(久間昌史さん)。

スマホは広角レンズなので「そのまま近づいて撮ると料理がゆがむ。少し離れてズームすれば1点にピントが合い、立体感や質感が生まれやすい」(原幹和さん)。「ズームで撮るとゆがみが減り、構図をすっきりさせられる」(木村さん)
影がくっきり出る強い光に比べ「柔らかい光は撮影全般に役立つ」(佐藤さん)。「白飛びや濃い影をなくすと、シズル感もきれいに出る」(南都さん)
スプーンやフォークも脇役になり「物語性が生まれる」(原さん)。「SNSではシーンをイメージさせる写真への反応がいいので、おしゃれに演出して」(小川さん)
質感を出しやすい。「白いシンプルな皿に盛って接写するのもおすすめ」(新井さん)、「30センチまで近づくと香りや匂いも伝わる」(古市さん)。
スマホは広角レンズで「余計なものが入りやすい。小物や花もゴチャゴチャしがちなので注意を」(新井さん)
<こんなテクニックも!>

◆料理の温度感を伝える→出来たてのおいしい瞬間を逃さずに
◆白い紙などをレフ板代わりに→影になる部分を明るく
◆ヨコ位置よりタテ位置で→奥行きを出す
◆高さのある料理は横から平たいものは俯瞰で→おいしく見える角度を見つけよう

◆箸を上げたりたれをかけたり→食べる瞬間を想像させるシーンに
◆暗いときはカメラの露出補正機能を活用→プラス補正で明るく
◆撮影後に編集作業→明るさや彩度などの調整でおいしそうに
◇ ◇ ◇
表の見方 順位の後の数字は選者の評価を点数にしたもの。
調査の方法 スマホで料理写真を撮るコツについて28の選択肢を用意。専門家に「SNSで見栄えする」という観点を重視しながら10位まで順位付けしてもらい、その評価を合算した。専門家は以下の通り(敬称略、五十音順)。
新井鏡子(カメラマン・ライター)▽小川由衣(オプトSNSビジュアルコンサルタント)▽木村文吾(写真家)▽久間昌史(写真家)▽佐藤朗(フォトグラファー)▽下村しのぶ(カメラマン)▽新里千晶(クックパッド投稿推進部記録グループ・グループ長)▽徳山喜行(フードフォトグラファー)▽南都礼子(料理写真家)▽原幹和(フォトグラファー)▽樋口正樹(料理研究家)▽古市和義(フォトグラファー)
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