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囲碁も攻略 人工知能の進歩支える深層学習

(更新)

米グーグルが開発した囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁」が、プロ棋士である韓国の李世●(石の下に乙、イ・セドル)九段との5局勝負で4勝1敗と圧勝した。コンピューターとソフトウエアが日々進歩し、チェスや将棋の一流プロや「クイズ王」を下すなか、その奥深さゆえに最後の砦(とりで)とされてきた囲碁。短期間に世界トップ級の実力者をしのぐまでになった進歩を支えたのは、ディープラーニング(深層学習)という技術だった。

プロも脱帽 「強いの一言」

今回の対戦について井山裕太王座は「李九段が一つ勝って、太刀打ちできない相手でないことを証明してくれたのは大きいが、李九段ほどの棋士に4勝1敗の成績を残したのだから、悔しいけれどAIに(人間の)一歩先を行かれたと考えざるを得ない。(その打ちぶりは)強いの一言に尽きる」と話した。

コンピューター勝利に「10年かかる」はずが…

囲碁はチェスや将棋に比べて盤面が広く、局面の数は「10の360乗」に達するとされる。天文学的な数の局面をすべて計算し予測するのは最新のコンピューターでも不可能で、プロ棋士の能力を超えるのは早くて10年先とみられていた。

AI、自己対戦で腕磨く

グーグルの囲碁AI「アルファ碁」がプロ棋士を打ち負かした勝因は、人間の脳の神経回路をまねた「ディープラーニング(深層学習)」と呼ぶ最先端のAI技術だ。
アルファ碁の場合、まず開発に協力したプロの3000万種類の打ち手を見せて学習させ、対戦する人間の動きを57%の確率で予測できるようにした。その上でAIは自己対戦を数百万回繰り返し、勝ち負けの経験を重ねる中で徐々に勝ち方を身につけていった。碁石の配置全体を見て最適な手を選ぶやり方は、直感や勘も交えて判断する人間の脳の働きに近い。

そもそも深層学習とは

深層学習はAIの中核技術として発展してきた機械学習の新しい手法だ。今まではデータの分析方法をあらかじめ人が考えて組み込んでいたが、深層学習はコンピューター自らがデータから特徴を突き止める。東京大学准教授の松尾豊さんは「AI研究における50年来のブレークスルー」と評価する。
12年には米グーグルも深層学習を使ってAIが大量の画像からネコの判別に成功したと発表した。グーグルの深層学習があたかも人間と同じようにネコを判別できたということは、脳の中で無意識に進む情報処理を深層学習がある程度実現したことを示す。
AI、自ら学んで深化-人間の脳をまねて情報処理(2015年11月6日)

診断・自動運転、応用の可能性広がる

専門技能を持つ人たちの直感すらもAIで実現できれば、応用分野は格段に広がる。体内画像からベテランの医師並みの精度でがんを診断する検査機器のほか、危険を未然に察する自動運転、不審者を見破る警備カメラ、相手の気持ちをくみ取る接客ロボットなどが期待される。

AI、実は身近に

「ルンバ」などの掃除ロボットはセンサーで部屋の大きさや障害物の場所などを把握し、AIが最も効率的な掃除パターンを実行する方式が主流になっています。また、話しかけるとその音声を認識し、適切な答えを探して合成音声で回答してくれる音声アシスタント機能もAIの技術を活用しています。スマートフォンの「iPhone(アイフォーン)」に搭載される「Siri(シリ)」などが代表例です。
AI活用もっと広がる?感情も読み取り、労働力補う(2015年12月28日)
人工知能で暮らし便利に?(1月9日)

応用に課題も見えた?

今回の五番勝負は、ディープラーニングの強みに加えて、ディープラーニングを実社会に応用する上での二つの弱点を露呈させた。
一つは、AIが明らかに誤りと思える判断を出力した場合にも、その原因の解析が極めて困難であることだ。イ・セドル氏が勝利した第四局では、AlphaGoは明らかな悪手を繰り返した後に敗北したが、その原因は(開発者である)当のDeepMindのメンバーにも分からなかった。
アルゴリズムは人間にとってブラックボックスになっている。
もう一つは、高度に訓練されたAIは、例え結果的に正しい判断であっても、人間にはまったく理解できない行動を取る場合があることだ。
圧勝「囲碁AI」が露呈した人工知能の弱点(3月17日)

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