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日本の新幹線、世界で走れ インドに続く案件に挑む

首脳会談に臨む安倍首相(左)とインドのモディ首相(12日、ニューデリー)=共同

インドが高速鉄道に日本の新幹線方式を採用することを決めた。インドネシアでの受注競争に競り負けたばかりの日本は、今回の成功をきっかけに世界の高速鉄道市場で巻き返しを図る。

インド、日本の新幹線方式を採用

安倍晋三首相とインドのモディ首相は12日午前(日本時間同日午後)の首脳会談で、ムンバイとアーメダバードを結ぶインド初の高速鉄道建設を巡り、日本の新幹線方式を採用することで一致した。
印高速鉄道、日本の新幹線方式を採用 日印首脳会談(12月12日)
総事業費約9800億ルピー(約1兆8000億円)のうち、1兆円超の円借款を供与する方針だ。
外務省によると、2013年度までに日本が供与した円借款の累計額はインドネシアの4兆7220億円が最大で、2位がインドの4兆4564億円。(新幹線の採用で)インドへの供与が最大になる可能性がある。
インド、新幹線を採用 首脳会談で合意へ 円借款1兆円供与(12月8日)
インドが同国初の高速鉄道建設で、新幹線の採用を決めた背景には、各国と同程度の関係を保つ「等距離外交」の転換がある。
モディ政権は経済合理性を度外視してでも日印関係を強固にし、中国をけん制できる姿勢を示す思惑があった。
「中国に高速鉄道をつくらせるより約40%割高だが、我々は日印関係の多様な価値を考慮し新幹線を選んだ」。インド政府高官は7日、日本経済新聞にこう語った。
インド、等距離外交を転換 日本を優先(12月13日)
安倍首相は共同記者発表で「新幹線システムがインドの他の鉄道路線にも導入されることを強く期待する」と述べた。
印高速鉄道、日本の新幹線方式を採用 日印首脳会談(12月12日)

新幹線、海外初の採用は台湾

1964年の東海道新幹線の開業以来、日本は仏独などの西欧諸国と並んで世界の高速鉄道技術を主導してきた。
日本の新幹線輸出(2013年10月7日)
調印式を終え握手する三井物産、三菱重工など七社の「日本連合」の代表と台湾高鉄の代表ら(2000年12月)
海外で日本の新幹線方式が採用されているのは2007年に開業した台湾のみ。
インド、新幹線を採用 首脳会談で合意へ 円借款1兆円供与(12月8日)
台湾新幹線は台北―左営(高雄)間を最速1時間半で結ぶ。三井物産、三菱重工業などの日本7社連合が納入し、2007年に開業した。車両はJR東海道・山陽新幹線の700系を採用した。
スムーズな運行で快適な乗り心地が売り物の台湾新幹線
だが、経営は火の車だ。
運営する台湾高速鉄路(台湾高鉄)は10月末に6割を減資し、6月末時点で472億台湾ドルに達した累積損失の解消に着手。年末に当局系のファンドなどが300億台湾ドルを出資する。
台湾新幹線、当局が救済 甘い経営計画財務悪化(11月5日)

新駅開業や延伸で利便性を高めて利用を促す。

12月1日、3つの新駅を開業した。台湾北西部の苗栗県、中西部の彰化県、雲林県の3カ所で、新駅の開業は2007年の運行開始以降で初めて。沿線の観光集客やビジネスの利便性向上を見込む。
16年中には台北市内に南港駅も開業予定で、終点が現在の台北駅から南港駅に延伸することになる。
台湾新幹線、3つの新駅開業(12月1日)

インドネシアで中国に競り負ける

中国の本気度 見抜けず インドネシア高速鉄道、日本が受注失敗(11月7日)
インドネシア政府は9月29日、日本と中国が受注を競っていたジャワ島の高速鉄道計画について、中国案を採用する方針を日本政府に伝えた。中国側が破格の条件をインドネシア側に提示したためとみられる。
インドネシア高速鉄道 白紙一転、中国案を採用(9月30日)
インドネシアのジョコ政権が中国案の採用を決めた背景には、首都ジャカルタがあるジャワ島以外の開発を優先しようとする経済政策があった。
ジョコ政権はプロジェクトへの政府支出を拒み、多額の融資にも応じる姿勢を見せた中国勢が有利になった。
中国勢の受注が確実になったのは、ジャカルタとバンドンを結ぶ約140キロメートルのプロジェクト。スラバヤまで730キロメートルの建設構想の先行区間という位置づけだった。
日本勢は2013年末から国際協力機構(JICA)が事業化調査に乗り出しており、もともとは先行していた。
インドネシア鉄道、中国案採用 大統領「予算不要」優先(9月30日)
(インドネシアで中国に競り負けた日本は)インドでの巨額案件の受注により巻き返しを図る。
インド、新幹線を採用 首脳会談で合意へ 円借款1兆円供与(12月8日)

米でテキサス新幹線着々

東海旅客鉄道(JR東海)による「テキサス新幹線」が2021年の開業へ加速し始めた。米テキサス州に高速鉄道を走らせるプロジェクト。高速鉄道では珍しく「純民間」で担っている。着工までに必要な資金の約半分を確保するなど、推進体制が整い、駅用地の入手も進んでいる。
「テキサスはすべて東海道新幹線車両のN700系導入が前提。(中国など)他の車両が入ってくる余地はまったくない」。JR東海の小菅俊一常務執行役員(海外高速鉄道担当)は言い切る。
テキサス新幹線は最高時速300~320キロメートルの列車でテキサス州のダラスとヒューストンの約400キロメートルを結ぶ。高速道路で3時間以上かかっている両都市間の所要時間は、開通すれば1時間半以内に短縮される。
JR東海の悲願、海渡るN700系 テキサス新幹線の推進体制整う(11月22日)
東海旅客鉄道(JR東海)の柘植康英社長は2日、米ダラス―ヒューストン間(テキサス州、約400キロメートル)の新幹線計画について、鉄道の建設主体となる新会社に出資を検討すると正式に表明した。
米テキサスの新幹線計画に出資検討 JR東海が正式表明(12月2日)

今後の焦点は「マレーシア―シンガポール」

石井啓一国土交通相は15日の閣議後記者会見で、今後の焦点となる海外案件について、マレーシア―シンガポール間の高速鉄道計画で新幹線システムの導入を目指す方針を示した。
国交相「鉄道システムの海外展開に力」 インドの新幹線採用で(12月15日)

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