人民元、円超える国際通貨に? SDRの仕組みを知る

2015/12/1 18:00
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国際通貨基金(IMF)は11月30日の理事会で加盟国に配るSDR(特別引き出し権)に中国・人民元を採用すると決めた。SDRとは、通貨危機などに備えてIMFが加盟国に配るもの。これに組み入れられることは、世界で広く決済や投資に使われる国際通貨としてお墨付きを得た形になる。為替相場や資本取引に制限が多く、「不自由な通貨」とされる人民元の改革は進むのか。円の地位に影響はあるのか。SDRの仕組みと合わせて見てみよう。

人民元の紙幣

人民元の紙幣

■SDRは通貨危機への備え

SDRはIMFに加盟する国や公的な主体だけに保有することが認められた、帳簿上に存在する「通貨の請求権」だ。
例えば、外貨不足に陥ってドル建てなどの対外債務の返済難に直面した加盟国は、SDRを差し出すことでドルやユーロなどの主要通貨を獲得する。請求権を行使したこの段階で初めて国家間で現金が動く。
SDR全体の規模はおよそ3000億ドル程度(約37兆円)とそれほど大きくない。

■中国経済台頭 人民元、円上回る比重に

IMFがSDRの通貨構成を見直すのは現在の仕組みが発足してから約35年ぶり。中国が世界第2位の経済大国に台頭したことで、元も主要通貨にふさわしい貿易量や取引の広がりがあると判断した。

SDRはこれまで、米ドル41.9%、ユーロ37.4%、英ポンド11.3%、円が9.4%という構成だった。今回決まった人民元の構成比は10.92%で、円の8.33%を抜いて3位になる。実際に組み入れられるのは2016年の10月からという。

SDRになるとIMFからいつでも換金可能な「自由利用可能通貨」とみなされる点で信用度が高まる利点がある。
5大主要通貨に位置づけられることで貿易・投資で中長期的には元の利用に弾みがつきそうだ。

■人民元の存在感、外貨準備から?

中国人民銀行によると、4月末に各国が外貨準備で保有する元は約6700億元(約12兆7千億円)。世界の外貨準備の1%前後だ。SDR入りすれば外貨準備全体の1割程度、1兆ドル(約121兆円)相当が元に切り替わるとの見方もある。

人民元、「国際通貨」へ一歩 IMF準備通貨入りへ(10月27日)

中国と経済関係が深い新興国の間で、外貨準備として中国国債の保有を増やす動きが出てくるとの見方もある。

■人民元の「改革と開放」進むか

中国人民銀行(中央銀行)は1日、2016年10月からの元のSDR入りを歓迎し、「中国は今後も揺るがずに全面的に改革を深化させ、金融改革と対外開放を加速する」とする声明を発表した。
08年のリーマン・ショックで米ドルの信認が一時揺らぐと、中国はドル依存から脱却しようと、海外との貿易や投資で元の使用を増やす「元の国際化」へカジを切った。一方で海外への資金流出を警戒し、当局の目の届く範囲で徐々に規制を緩める手法を採ってきた。
着実な市場経済化や政治安定で「国際準備通貨」の名にふさわしい信認を得ることができるかが問われる。
北京にある中国人民銀行=共同

北京にある中国人民銀行=共同

■円の魅力向上、日本の課題に

円は、国際通貨として相対的な地位を脅かされることになる。

円は8月に決済通貨としての世界シェアで人民元に抜かれて5位に転落した。民間企業の元建て決済も増える可能性があり、日本は同じアジア通貨として円の魅力をどう高めるかが課題となる。
米、外堀埋まり容認 円の地位低下の懸念(10月27日)

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