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アベノミクス「新3本の矢」を読み解く

24日、自民党総裁再選が正式決定し記者会見する安倍首相

安倍晋三首相は24日の記者会見で「アベノミクスは第2ステージに移る」と宣言し、経済成長の推進力として新たな「3本の矢」を発表した。これまでの3本の矢のうち市場や企業が最も期待した「成長戦略」が、なお道半ばと評されるなか、放たれる新しい矢とはどんなものだろうか。首相の発言をもとに、新旧を比べながら読み解いてみよう。

そもそも「旧」3本の矢とは

旧「3本の矢」は「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」の3つ。このうち日銀の協力を得た金融緩和は円安・株高でアベノミクスの基盤を築いた。財政政策は一時的な刺激策で評判はいまひとつ。市場が期待していたのが「道半ば」と言われ続けた3本目の矢の成長戦略だった。
「新3本の矢」 問われる具体策(9月25日)

第2次安倍政権が発足したのは2012年12月。この間、株価は2倍超になり、企業の業績も過去最高水準に回復してきた。

だが「円安が輸出増に」「企業業績拡大が設備投資増加に」「雇用増が消費増に」という好循環は明確ではない。
アベ・クロ相場第2幕 待ち受ける試練(9月13日)

企業経営者らの間では、金融政策以外の2本の矢の効果を高く評価する声は少ない。オリックスのシニア・チェアマンである宮内義彦氏は日経電子版の経営者ブログで次のように評している。

成長戦略に欠かせない規制緩和は進まず、財政の健全化に必要な社会保障費などの削減も、ほとんど手が付けられていません。利害調整が難しい施策は後回しとなり、金融緩和だけが先行しています。
今の経済を支えているのは日銀による異次元の金融政策とそれに触発された一部民間部門の元気、回復が加わった結果です。要は日銀の一本足打法が当たったのです。
金融緩和の「一本足打法」、その行く末は(宮内義彦氏の経営者ブログ、7月24日)

「新」3本の矢 希望と夢と安心…

新たな3本の矢は、2020年に向けた経済成長のエンジン――。首相はこう位置づける。では新しい矢はどんなものか、もう少し具体的に見てみよう。

新たな3本の矢は(1)希望を生み出す強い経済(2)夢を紡ぐ子育て支援(3)安心につながる社会保障――の3項目。首相は「長年手つかずだった日本社会の構造的課題である少子高齢化の問題に真正面から挑戦したい」と意気込みを示した。

強い経済=20年のGDP600兆円に

14年度に490兆円だった名目GDPを2割増やすため、女性や高齢者、障がい者らの雇用拡大や地方創生を本格化して「生産性革命を大胆に進める」とした。

子育て支援=合計特殊出生率を1.8に回復

子育て支援では、現在1.4程度の出生率を1.8まで回復させる目標を掲げた。子育てにかかる経済的負担を軽くするための幼児教育の無償化、結婚支援や不妊治療支援に取り組む。
子育て支援では、保育園に入れない待機児童をゼロにすることや幼児教育の無償化拡大なども目標に掲げた

社会保障=介護離職ゼロに

家族らの介護を理由に退職せざるを得ない「介護離職」をゼロにしたいとの目標を示した。
働く意欲がある高齢者への就業機会を増やす考えを明らかにした。これらを20年に向けた「日本1億総活躍プラン」としてまとめ、「50年後も人口1億人を維持する国家としての意思を明確にしたい」と語った。
出生率1.8へ子育て支援 首相が総裁再選会見(9月25日)

具体策、どう打ち出す?

今後の焦点は、新3本の矢を実現する具体策に移る。

問題はそうした子育てや社会保障の充実策と、国の借金が1000兆円を超す財政再建策をどう両立させていくかだ。
祖父の「次」も狙う 首相の新経済戦略(9月25日)

2016年夏の参院選を控え、安倍政権がどこまで説得力のある道筋を示せるかに注目だ。

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