2019年5月27日(月)

サイバー「戦争」時代 ついに国家間の懸案事項に

2015/9/17 18:00
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サイバー攻撃が世界的に激しさを増している。日本国内でも6月に日本年金機構への攻撃で125万件の個人情報が流出したことが明らかになったのは記憶に新しいが、それ以外にも公的機関への攻撃が相次いでいる。日本年金機構の事件に関する報告書によると、国家レベルの組織が海を渡って攻撃してきていることを指摘しており、今や「戦争」といえるレベルにまで達している。最近では、米中など政府間の関係にも影を落とす懸念材料になりつつある。

個人情報流出について記者会見で謝罪する日本年金機構の水島藤一郎理事長

個人情報流出について記者会見で謝罪する日本年金機構の水島藤一郎理事長

■激しさ増す攻撃

日本年金機構の事件で注目を集めたサイバー攻撃だが、あれは氷山の一角にすぎず、昨年後半から日本の組織を対象とした攻撃は格段に増えている。

ウイルスを仕込んだメールを送りつける「標的型メール」や不正アクセスなどのサイバー攻撃で、今年上半期(1~6月)に日本年金機構や東京商工会議所など16組織で情報流出の被害が確認された

今年上期に警察が把握した標的型メール攻撃は1472件で、2014年上期(216件)と比べて6.8倍に増加。

「標的型攻撃」上期も高水準(17日)

年金機構の事件やその前後に相次いだ同様の事件から、日本はいまや日本国民の様々な個人情報まで狙われている「戦争」状態にある

もはやサイバー戦争 「年金機構」報告書に見る危機(9日)

■手口の巧妙化が進む

最近のサイバー攻撃では、不特定多数ではなく攻撃する相手を絞り込んだ上で、その相手に合わせた手法を駆使してくる「標的型攻撃」が主流だ。その手法も巧妙となっており、もはや「怪しいメール」などといったわかりやすい形にはなっておらず、防ぐのは至難の業だ。

標的型メール攻撃はウイルスを仕込んだ添付ファイルを受信者に開かせ、パソコンを感染させる。不正プログラムが作動することで組織内のネットワークに侵入され、情報が抜き取られる恐れがある。

標的型メール攻撃の手口では、14年はウイルスを送り込むのに9割超で圧縮ファイルが使われていたが、今年上期は35%に減少。代わって文書作成ソフト「ワード」のファイルが64%に急増した。

「標的型攻撃」上期も高水準(17日)

確定申告の連絡を装った攻撃が初めて確認され、送信元のアドレスを実在企業などに偽装したとみられる攻撃も6割超に上った

警察庁によると、今年上半期の標的型メール攻撃の送信先はインターネット上で非公開のアドレスが全体の約9割を占めていた。同庁はメールを送りつける組織や職員を調べるなど周到に準備し攻撃しているとみる。

標的型攻撃 巧妙に(17日)

攻撃者は、波状的に、執拗に攻撃を行ってくる。しかも単にシステム上の弱点を攻撃するだけではなく、守る側の能力を把握しながら、油断を引き起こす策も織り交ぜてくる。

もはやサイバー戦争 「年金機構」報告書に見る危機(9日)

日本年金機構、厚労省の第三者委員会、政府のサイバーセキュリティ戦略本部が取りまとめた報告書

日本年金機構、厚労省の第三者委員会、政府のサイバーセキュリティ戦略本部が取りまとめた報告書

■米中間の火種に

最近では、国家的な組織が攻撃をしているという分析もあり、まさに「サイバー戦争」といえる状態になりつつある。特に、米中政府間では経済制裁もありうる緊迫した状態になっており、9月下旬の首脳会談が注目される。

米国でも6月上旬から政府職員情報の大規模な流出事件が明らかになった。報道によると、攻撃を受けたのは政府職員の身辺や経歴を調査する人事管理局で、OBや現役職員の配偶者、同居者を含む2210万人分が流出した。これは米人口の7%に相当し、過去最大規模だという。

止まらぬ個人情報流出 真の狙いは「国家機密」(8月5日)

オバマ米大統領は11日に中国が関与するサイバー攻撃は「容認できない」と述べ、米中首脳会談で懸念を伝える考えを表明している。中国が関与するとみられるサイバー攻撃で約2200万人の米連邦政府職員らの個人情報などが盗まれており「核心的な国家安全保障の危機だ」(オバマ氏)と警戒感を強めている。

米中がサイバー協議 特使訪米、首脳会談控え4日間(14日)

(オバマ米大統領は)中国が関与するサイバー攻撃について習近平国家主席と議論する「最大の議題の一つになるだろう」と述べた。25日の米中首脳会談などの機会に習氏に懸念を直接伝える。

オバマ氏は中国政府が「産業スパイ、企業秘密や知的財産の盗難」に携わっていると批判した。

オバマ氏「サイバー攻撃、米中首脳会談最大の議題に」(17日)

中国のサイバー攻撃ではオバマ大統領が25日の首脳会談で、すぐに中止しなければ経済制裁を発動すると伝える方針だ。

中国は米国に譲るつもりはない。習氏はサイバー攻撃の問題で共産党の公安・司法担当トップ、孟建柱政治局員を特使として米国に派遣した。対立を避けながら譲歩もしない道を探る。

中国主席、22日に訪米 サイバー・南沙…対立深く(17日)

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